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アロマオイル解説 ユーカリオイル(その4)シネオールは光学異性体が存在する?

シネオールに光学異性体があるかどうか、問題を出していましたね。

お分かりでしょうか?



エセ化学者の理科の学校 シネオールは、1,8体、1,4対共に線対称の構造をしています。

つまりこれを鏡に映した分子は、元の像と一致すので、光学異性体は存在しないことになります。

 このように分子の対象性から、不斉あるいは非不斉を予測するアプローチの方法もあるんですね。この対象性を論じる学問を、群論(ぐんろん)といいます。
 機会がありましたら、この群論からのアプローチも解説してみたいと思います。




神奈川県ジュニア強化練習

毎月行われている神奈川県のジュニア強化練習も今年はこれで最後です。

昨日は紅白戦が行われました。

毎回練習は内容が単調で、特別な技術指導があるわけでもなく、私にとってはちょっと疑問です。


この日の紅白戦も1人2試合だけで、あとは待ち時間。

県立武道館には正規の試合場が4面あり、使用したのは男女それぞれ1面のみ。

設備の使い方、時間の使い方、両方とも非常にもったいないと思います。


観覧席には柔道熱心な父兄や指導者もたくさんいます。(もちろんこの中には柔道の指導者、ライセンスを持った人も)こういう人たちを審判やコーチにどうして起用しないのか、設備、時間、人材の使い方を再考するべきだと思います。

せっかく遠いところまで来て、わずか2試合だけじゃ誰もが満足しません。



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インドに生息するカリッサの根から取れるエッセンシャルオイル

今日は、エッセンシャルオイルに関する最新の文献を紹介します。

科学の文献で使われる英語の勉強にもなりますよ。

Carissa opaca がわからなかったので、Wikipediaで調べました。Carissa opaca Stapf ex Hainesは品種の名前でした。カリッサ属(Carissa)はキョウチクトウ科の常緑低木からなる属で、観賞用に、また果物として果実を食用にするため栽培され、花は白または桃色で、クチナシのような芳香のあるものもある。果実は酸味が強いがよい香りがあり、ジャムなどにすることが多いそうです。

 ただし、この文献で使われたものは、インドのニューデリーにあるアラハリ山の周囲に野生で生息するものだそうです。今回はその根っこから取れた精油の話です。


タイトル

2-Hydroxyacetophenone, the Main Component of the Essential Oil of the Roots of Carissa opaca Stapf ex Haines


National Institute of Plant Genome Research (India) 所属です。インドの国立植物ゲノム研究所でしょうか?
Sushil Kumar et,al. ( et,al. ~ら  研究者が複数いるときに代表者以外略したことを示します
J.Essent. Oil Res., 21, 385 (2009) 文献の出展です。斜体で書いてあるのが雑誌の名前、太字は巻号(下線で書くこともあります)、ノーマル体がページを表し、カッコ内が西暦です。これで文献が特定できるんですね。

 実は雑誌名も略してあって、J.Essent. Oil Res. は、Journal of Essential Oil Research を略しています。略した単語の後は、必ずピリオドを打ちます。


Abstract
The volatile oil obtained by hydrodistillation of the roots of Carissa opaca was analyzed by GC and GC/MS to study its composition. Thirty-five compounds representing 98.3% of the oil were identified. Si-gel chromatography of the oil yielded 2-hydroxyacetophenone, which was characterized by spectral method (1H-, 13-NMR and mass), as the main component, amounting to 89.5% of the oil.

(以下本文より抜粋)
In an earlier study on the flower oil contained mainly hexadecanoic acid (82.5%). This compound was found as a minor constituent of the oil of the roots of the plant. Methyl salicylate was found as minor component in both of flower and root oils. 2-hydroxyacetophenone which was found as the main component of the oil of the roots, was not detected in the flower oil.


 この植物の根っこを水蒸気蒸留して得られた揮発性の精油は、GC(ガスクロマトグラフィー)、GC/MS(ガスクロがついた質量分析装置(マススペクトル)により分析した結果、35種の化合物でその精油の98.3%を占めるものでした。シリカゲルクロマトグラフィーで分離した結果、2-ヒドロキシアセトフェノンが精油中に82.5%含まれていることがわかりました。また、この構造は プロトンNMR、13C NMR、およびマススペクトルで決定しました。

原文をそのまま書きましたが、1H と 13Cの後にハイフンをつけてはいけません。またフォントの都合で表示できませんが、1 および13は上付きで書きます


 初期の研究で、この植物の花からとれる精油は主にヘキサデカン酸を82.5%含んでいました。しかしこの化合物は根っこから取れる精油にはわずかしか含まれていません。サリチル酸メチルは花にも根にも微量含めれていて、根っこに最も多く含まれている2-ヒドロキシアセトフェノンは、花から取れる精油には検出されませんでした。


ザット見て、文献の内容はこれだけでした。2-ヒドロキシアセトフェノンが検出されました!だからどうした?と聞きたくなります。なぜそうなのかの考察(私としては植物中の生合成経路の推察)などをしてほしかったのですが… 最新の文献にしては少々お粗末な感じです。(国立植物ゲノム研究所なのにね?)


最後に今日の宿題です。


 エッセンシャルオイルを勉強していらっしゃる皆様へ、ここで出てきた2-ヒドロキシアセトフェノン、ヘキサデカン酸、サリチル酸メチルの構造がわかりますか?考えてみてください。

 

 さらに、理系の大学生の方へ、プロトンNMRで得られる情報を3つ挙げてください。

筋肉の作り方 (運動の種類)エアロビクスとアネロビクス

こちらの講座もしばらく時間が空いてしまいました。

今日から、運動の種類について解説していきます。

もうご存じの通り、筋肉の動かし方によって、エアロビクスアネロビクスに分類できます。

エアロビクスは有酸素運動のことで、酸素を十分に取りながら、筋肉に大きな負荷を与えることなく、比較的長時間行う運動をいいます。

 これに対し、アネロビクスは無酸素運動のことで、ほとんど酸素を摂取せず、筋肉に負荷を掛けたり、瞬発力を利用して行う短時間の運動のことをいいます。


 前者は、たとえばウォーキング、ジョギングなどの運動で、成人病予防や健康増進に進められる運動です。比較的長い時間を行うことで、体内の脂肪分を燃焼することができます。

 これに対して後者は、100m走や、ウェイトリフティングのような瞬発力を要する運動で、筋肉に負荷を与えますが、この運動で脂肪を燃焼するには至りません。つまりアネロビクス運動の栄養源は、ほとんど糖分(グリコーゲンを含む)で賄われるわけです。

 また酸素がないと、糖分の完全燃焼には至らず、解糖系と呼ばれるサイクルを経て、筋肉内に乳酸を生じます。これが疲労物質になるわけなんですね。また、このような過程がないと、筋肉が増強しないのも確かなことです。


 もうお気づきかもしれませんが、エアロビクスでは、主に遅筋(赤筋)を使いアネロビクスでは主に速筋(白筋)を使うことになります。

 さて、筋肉をつけるには、基本的にはアネロビクスのような筋肉に負荷をかける運動が必要です。逆にエアロビクスだけでは、筋肉を増強させることはできないんですね。

 

 さて、減量したい人は比較的長い時間を要するエアロビクスがお勧めですが、やっているのになかなか減量できない人がいます。この1つの原因は、筋肉量が少なすぎて、エアロビクスをやっても消費するカロリーが少なすぎて、その結果、減量の効果が出ないという方が多いと聞きます。

 こういう方は、まずアネロビクスで筋肉量を増やしてからエアロビクスを行うのが効率的だと思います。

アロマオイル解説 ユーカリオイル(その3)シネオールについて

実は、シネオールには2種類の化合物があります。1つは1,8-シネオール、もう一つは1,4-シネオールです。

通常私たちがシネオールと呼んでいるのは、1,8-シネオールのことで、局所刺激作用、消炎作用の効果を持っているため、気管支炎、鼻かぜなどの医薬品に併用されたり吸入剤に使用されるほか、歯磨、口腔洗浄剤、殺菌防臭剤、エアーフレッシュナーなど幅広い用途に用いられます。

これに対して、1,4-シネオールは、含有量も少なく、あまり有用性も認められていません。



エセ化学者の理科の学校 化学構造的には、酸素の持つ2つの手が、両方とも炭素原子についていることから、(エーテル基)、水酸基のような水素結合がないため、水との親和性がなく、水には難溶性になり、また同じ程度の分子量のアルコールと比較して、沸点が低くなります。

 ですので、アロマに用いると、揮発性が高いため、トップノートのインパクトが強くなります。





また、1つの環の一部が、隣り合う炭素原子以外の部分で別の環を構成する時(ナフタレンのようなものを除くという意味です)この二環構造をビシクロ環(bicyclo)(bi は2を意味し、cyclo が環状です)といいます。


さて、それでは私から今日は1つ問題です。

このシネオールの分子には、光学異性体が存在するでしょうか?

ちょっと考えてみてください。答えとして、コメントでも頂けると非常にうれしいです



最後に、以前指摘した以下のようなWikipediaの間違いは、現在は見られませんでした。訂正されていました。アロマの本に以下のようなことが書いてありましたら、これは間違いですので、ご注意を。

「ユーカリプトール(1,8-シネオール)はエポキシ化合物である。殺菌剤としての効果を持ち、主にユーカリや月桂樹、あるいは1,4-シネオールとともにビャクシンに含まれる。」


 エポキシとは、3員環のエーテルのことを指し、例を挙げれば、リモネンが酸化して得られるリモネンオキシドがこの構造を持っています。ですからこの3員環エーテル構造を持たない1,8-シネオールはエポキシ化合物ではありません

 「オキシド」または「オキサイド」という言葉はもともと酸化物、すなわち酸素と化合してできたものという意味です。リモネンオキシドはリモネンと酸素が化合して得られますが、例えばローズオキサイドはオキサイドという名前がついてはいますが、単純な酸化物ではありません。これらは酸素を含んだ環状エーテル構造を持っているため、慣例的にこの名前になったと考えられます。シネオールも同じことです。つまり、エーテルとオキサイドという意味は全く異なることを覚えておいてください。


アロマオイル解説 ユーカリオイル(その2) シネオール系ユーカリオイル

ユーカリオイルは、大きく分けて、3つに分けることができました。今日はその1つであるシネオール系ユーカリオイルについて、解説します。


その名の通り、シネオールを多く含み、用途として口腔洗浄剤、うがい薬、咳止め、歯磨きなどの薬用のほか、殺虫剤、忌避剤、防虫剤などにも用いられます。


シネオール系ユーカリオイルとは、シネオール含量が70%以上含むものをいいます。

これが採れるユーカリとしては、主に7種類とされています。代表的なものは、Eucalyptus dives var. C (シネオール含量70 - 75%), Eucalyptus smithii (シネオール含量70 - 75%), Eucalyptus globulus (シネオール含量70 - 80%), そして、Eucalyptus polybractea はもっとも含量が高く、シネオール含量が、78 - 94%にも及びます。


ユーカリは生育も早く、採油率もその葉の水蒸気蒸留により0.75 - 1.25%と高いため、石油枯渇後の資源として考えられているものです。このユーカリ類が一部の植物事典で有毒とされるのは、シネオールのような殺菌性のテルペン類を多く含むからであると考えられますね。


シネオールについては過去に振れたことがありますが、覚えていらっしゃいますか?

次回、もう一度シネオールについて解説します。

アロマオイル解説 ユーカリオイル(その1)

本日から、またアロマオイルの講義を復活します。楽しみにしていただいた方、またよろしくお願いいたします。

 さて、復帰第一弾はユーカリオイルについて解説します。

ユーカリオイル、正式にはユーカリプタスオイル(Eucalyptus oil)と呼びます。

採取できる植物はふともも科ユーカリ属の植物です。ユーカリといえば、コアラの餌としても有名ですよね。また、ユニークなテルペン類を多量に含むことから、これを原料として「植物から石油が取れる」といった記事を見たことがある方もいるかと思います。

 日本でよく見られるキョウチクトウもこの仲間に入りますね。

 ユーカリプタス属の植物を総称してユーカリと呼んでいますが、前述のとおりコアラで知られるオーストラリアが原産であり、分類上650種もの種類がある植物です。ですので、この種類ごとに含まれているオイルの成分が異なるわけですが、大きく分けて、以下の3つに大別されます。


      1) シネオールを多く含むシネオール系ユーカリオイル

      2) シトロネラール、ゲラニルアセテート系ユーカリオイル

      3) ピペリトン、フェランドレン系ユーカリオイル


 次回以降で、これらの詳細について、述べていきます。

ウイルスは、アルコールで死ぬの?

前回の続きを少々。


 インフルエンザ感染防止策として手洗いや、うがいが推奨されています。

また、デパートや公共の施設の入り口にもアルコールスプレーなどが置いてありますね。

でもこれでウイルスは死ぬのでしょうか?


 前回も紹介したとおり、ウイルスは生物というよりは増殖能力を持ったたんぱく質です。

ですから殺すというよりも、この増殖能力を抑えるにはといった方が正しいかもしれません。

まず、回答から先に言えば、通常手洗いに用いる洗剤やアルコールではウイルスは死にません。


 ウイルスはたんぱく質といったとおり、これを変性させるには、熱か紫外線、あるいは薬でしたら強力なアルカリ、酸化剤といったものが必要となります。


 それではどうして、インフルエンザやかぜのウイルスを防ぐのにうがいや手洗いが有効なのでしょうか?

これらのウイルスは主に飛沫感染、経口感染で流行るからなんです。

飛沫の意味は、感染している人がクシャミ、呼吸をすることで、ウイルスを含んだ唾液や鼻水を細かい粒子として空気中に放たてることです。これが近くにいる人の口や呼吸器系に入り込んで感染したり、また飛沫が物につき。それを触った人の口から入るなど、さまざまです。


 つまり、この飛沫により取り込みかけているウイルスを、水で洗い流してあげれば感染せずにすむわけで、うがいや手洗いは感染防止に最も有効なんですね。


 アルコールスプレーで、ウイルス自体は死にませんが、手についた細菌類をある程度消毒することが可能です。インフルエンザやかぜはそれ自体よりも、細菌類の感染により合併症を起こし、それによって劇症化します。その意味では、アルコールスプレーも 有効だと思います。



ウイルスの増殖のはなし

新型インフルエンザが流行っていますが、大丈夫ですか?

最近テレビのCMでチョット気になったことを紹介します。

何かのスプレーで、これでインフルエンザウイルスを消毒、除菌完了!(だったかな?)


でも、ウイルスは菌(細菌)ではないのは御存知ですよね?(だから消毒、除菌というのはおかしい!)


細菌は生物ですが、ウイルスとはなんでしょう?普通の顕微鏡では見えないんです。

実は、ウイルスが生物になるかは微妙なんですね。

ウイルスの構造はというと、…

 我々人間を含めて生物は種族保存のため、遺伝情報を持っています。これがよく知られたDNA(デオキシリボ核酸)です。この遺伝情報が、細胞の中に格納されているわけです。

このDNAは二重らせん構造をしていて、これは2つに分かれることがあります。1つはRNAと呼ばれ、離れた方はRNAの雛形になるわけです。これを使ってコピーを行い、遺伝情報が次に生まれる細胞に引き継がれるわけですね。つまりたんぱく質の一種なんです。

 いまRNA(DNAが2つに裂けたもの)の説明をしましたが、ウイルスというのは、このRNAの切れっ端のようなものだと思ってください。しかし、コピー能力を持ち、1つの細胞にとり付くと、細胞内の核酸を自分の形に転写を行い、コピーをたくさん作ります。取り付かれた細胞は、そこで死んでしまい、1つのウイルスがコピーした何百ものウイルスが放出されるわけです。

 この仕組みが、ウイルスの増殖の仕方なんですね。これに対して、細菌は1つの細胞が2つに分かれるといった体細胞分裂を経て増殖するため、増殖のスピードがぜんぜん違うんです。

 逆に、細菌の栄養源は、糖分や脂肪、たんぱく質などの栄養源であるのに対し、ウイルスは細胞がないと増殖できないわけですね。

 

 人体の中で、ウイルスが爆発的に増殖すると、白血球では対応できず、体はある防御反応を出します。

これが発熱なんですね。人体は発熱を引き起こすことによって、ウイルスの増殖を防いでいるんです。

ですから、かぜをひいて熱が出たからといって、すぐに薬で熱を下げるのは、この防御反応を回避することになり、余計に症状を悪化させることもあるんです。

 


審判講習に行ってきました。

 昨日は、神奈川県立武道館で行われた審判講習に行ってきました。

春にもあったのですが、さぼってしまって、道場の方にご迷惑をかけております。

新規のC級ライセンスの取得を目指します。


 講習内容は最近目まぐるしく変わるIJTのルール、講道館ルールの違い、そして講道館少年規定と中学校体育連盟の見解の差異など、内容として盛りだくさんでした。



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 神奈川県では、新規取得の場合、この講習のほかに実技試験が必要です。

神奈川県の昇級試験、昇段試験での審判を行わなければなりません。


 12月13日に行われる湘南地区の試験に行こうと思っています。

 この日に試験を受けられる方は、もしかしたら私が審判をするのかの知れません。よろしくね。