ウイルスは、アルコールで死ぬの? | エセ化学者の理科の学校

ウイルスは、アルコールで死ぬの?

前回の続きを少々。


 インフルエンザ感染防止策として手洗いや、うがいが推奨されています。

また、デパートや公共の施設の入り口にもアルコールスプレーなどが置いてありますね。

でもこれでウイルスは死ぬのでしょうか?


 前回も紹介したとおり、ウイルスは生物というよりは増殖能力を持ったたんぱく質です。

ですから殺すというよりも、この増殖能力を抑えるにはといった方が正しいかもしれません。

まず、回答から先に言えば、通常手洗いに用いる洗剤やアルコールではウイルスは死にません。


 ウイルスはたんぱく質といったとおり、これを変性させるには、熱か紫外線、あるいは薬でしたら強力なアルカリ、酸化剤といったものが必要となります。


 それではどうして、インフルエンザやかぜのウイルスを防ぐのにうがいや手洗いが有効なのでしょうか?

これらのウイルスは主に飛沫感染、経口感染で流行るからなんです。

飛沫の意味は、感染している人がクシャミ、呼吸をすることで、ウイルスを含んだ唾液や鼻水を細かい粒子として空気中に放たてることです。これが近くにいる人の口や呼吸器系に入り込んで感染したり、また飛沫が物につき。それを触った人の口から入るなど、さまざまです。


 つまり、この飛沫により取り込みかけているウイルスを、水で洗い流してあげれば感染せずにすむわけで、うがいや手洗いは感染防止に最も有効なんですね。


 アルコールスプレーで、ウイルス自体は死にませんが、手についた細菌類をある程度消毒することが可能です。インフルエンザやかぜはそれ自体よりも、細菌類の感染により合併症を起こし、それによって劇症化します。その意味では、アルコールスプレーも 有効だと思います。