天ぷらを上手に揚げるには
今日のお昼は、自分でかき揚げの天ぷらを揚げて、大好きな天ぷらうどんとしました。
さて、上手に天ぷらを揚げる基本として以下のことをよく言われます。
○ 粉は薄力粉を用いる。
○ 材料を冷やしておく。
○ 衣をあまりかき混ぜない。
この3つを守ると、カラッとした美味しい天ぷらができますが、これはどうしてでしょう。
もうお解りかと思いますが、これは小麦粉中のたんぱく質、グルテンの結合を出来るだけ防ごうとする方法なんです。 グルテンは、粘り気の強いガムのような物質で、これが衣の中で結合すると、べたっとした食感になってしまいます。
先ず、薄力粉は小麦粉の中でもグルテンの少ない小麦粉です。 最初にグルテンの量を少なくしています。
そして、材料や衣を冷やすことにより、グルテンの結合しにくい条件を作っています。温度が低いほうが結合を作りにくい条件です。
最後に、あまりかき混ぜないというのは、グルテンの結合頻度を下げることになるます。
この逆なのが、パン生地です。
パン生地はグルテンの結合を出来るだけ多くする方法で、強力粉を使う、室温程度の温度で、叩いたりも場したりを繰り返す。そして、生じたグルテンの結合の中に、イースト菌の発酵で生じる炭酸ガスを閉じ込める役目をします。
天ぷらとパン、どちらも美味しいものですが、これらの製法が、真逆であることが分かりましたでしょうか?
酸化還元反応 余談ですが。。
酸化還元反応について、ちょっとしたアドバイスです。
なぜ、酸化還元反応というのでしょうか? 通常、酸化反応と還元反応はそれぞれ分けて考えることが多いものです。しかし、酸化反応と還元反応は常に同時に起こっています。
すなわち、相手を酸化したときは、自身が還元されて別のものに変わっているはずです。
例えば、二酸化マンガンが塩化物イオンを酸化して塩素となったとき、二酸化マンガンは還元され、マンガンイオンとなるわけです。
酸化反応というと、酸素と化合する反応が基本です。例えば炭化水素が燃焼し、炭酸ガスと水になる反応は酸素と化合する酸化反応です。
しかしここで取り上げた例はそのような反応ではありません。
高校の化学では、酸化数という概念を導入し、この数が増えれば酸化、減れば還元ということになっています。
もう少し高等な考え方は、電子のやり取りです。これまで解説した酸化還元反応のイオン反応式には、いくつかの電子が動く式がありました。これこそ、酸化還元反応の定義となっています。
電子を放出するのが酸化反応(ドナー)、電子を受容するのが還元反応(アクセプター)です。
この考え方は少々難しいですが、慣れてしまえばそれほど難しいものではありません。
この電子のやり取りは、ある意味「酸」と「塩基」によく似ています。
酸化還元反応(塩化スズ(Ⅱ)と塩化水銀(Ⅱ)の反応)
今日は塩化スズ(Ⅱ)と塩化水銀(Ⅱ)の反応について解説します。
塩化スズ(Ⅱ)は、旧命名法では塩化第一スズ、塩化水銀(Ⅱ)は、塩化第二水銀、または昇コウともよばれます。
さて、解説に入ります。
塩化スズ(Ⅱ)は、還元性を持った物質で、その反応はスズが2価のイオンから、4価のイオンに変化することで相手を還元します。式に書いてみましょう。
もう慣れましたね。これでは電荷が合いません。そこで右辺に2個の電子を入れます。
さて、今度は還元される相手を見てみましょう。この反応では2価の水銀イオンが0価、すなわち金属の水銀に還元されます。式を書いてみましょう。
これが水銀イオン(Ⅱ)の半反応式です。2つの式とも2個の電子をやり取りしていますから、このまま両式を足してみます。2個の電子が相殺されます。
得られた式が、この反応のイオン反応式です。これに対イオンを加えて全反応式を完成させましょう。
今回の反応は、水素イオンが関与していません。よって、対イオンは、塩化物イオンのみで、生じるスズ(Ⅳ)も塩化物です。
今回はシンプルな式になりましたね。
理解でしましたか?
酸化還元反応(硫酸酸性における二酸化マンガンによる食塩の酸化反応)
昨日に引き続いて、今日は硫酸酸性における二酸化マンガンによる食塩の酸化について解説します。
二酸化マンガンといえば、小学校のときにオキシドールにくわえて酸素を出す反応をやったと思います。この時の二酸化マンガンは触媒として働き、化合することはありませんでしたが、今回は酸化剤として働きます。
まず二酸化マンガンMnO2 が酸素を放出し、この酸素分子がすべて水に変わると考えましょう。そして、マンガンは反応後に2価のイオンに変化します。これを敷に書くと、以下のようになります。
2つの酸素分子を水分子にするため4つの水素イオン(プロトン)を加え、右辺は2価のマンガンイオンと生成する2分子の水です。
ただし、これでは両辺の電荷が会いません。左辺は+4、右辺は+2です。これを是正するため、左辺に2つの電子を加えます。
これがに酸化マンガンの半反応式です。
今度は酸化される食塩について考えます。酸化されるのは塩化物イオンでこれから電子が奪われる(すなわち酸化)ことで塩素ガスが発生します。これを式にすると、
これが食塩側のイオン式です。今度は両方とも2つの電子がやり取りされているため、係数合わせが要りませんね。2つの式をたしてみましょう。
これで酸化還元反応のイオン式が完成しました。同じように対イオンをつけて全反応式を完成させましょう。昨日と同様、4つの水素イオン(プロトン)のソースは硫酸分子から来ています。そして食塩のナトリウムイオンは硫酸塩になることをお忘れなく。
以上が全反応式です。この式で理論上は間違いではないのですが、一般に硫酸が過剰にあることとしていますので、もう1つ硫酸分子をたして、生成物として硫酸ナトリウムではなく、硫酸水素ナトリウムとして書くほうが正しいようです。それが以下の式です。
いかがですか?理解できましたか?
酸化還元反応(硫酸酸性ニクロム酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)の反応
お久しぶりです。
酸化還元反応の講義を求められましたので、解説しようと思います。
今日は硫酸酸性における二クロム酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)の反応です。
古い表記では、二クロム酸カリウムを重クロム酸カリウム、硫酸鉄(Ⅱ)を硫酸第一鉄となっている場合もあります。
二クロム酸カリウムの酸化反応については、以前に解説していますので、詳しくはこちらをクリック 、
以下の式のとおりになります。
これが二クロム酸イオンの半反応式です。
これを反応する硫酸鉄(Ⅱ)は、2価の鉄イオンから3価のイオンに酸化されます。
すなわち、2価の鉄イオンから3価の鉄イオンに変化し、この際に1個の電子を放出します。
上の二クロム酸の半反応式では、6個の電子が必要ですので、下の式を6倍して、両者をたしてみましょう。
これが、二クロム酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)の半反応式です、
それでは、次に全反応式を完成させましょう。二クロム酸イオンは二クロム酸カリウムに変え、ここでミソなのは、硫酸酸性というキーワードです。14H+ のソースは硫酸分子の水素(プロトン)と言うことになります。硫酸は2価の酸ですから、7モルの硫酸が必要となります。
生成系(矢印の右側)では、3価のクロムの硫酸塩ができます。硫酸イオンは2価ですから、係数あわせに注意です。硫酸クロム(Ⅲ)は、Cr2(SO4)3 ですね。同様に鉄イオンも2価から3価に変化していますから、生じる硫酸鉄は、Fe2(SO4)3 となります。
さらに忘れてはいけないのは、二クロム酸カリウムのカリウムも最後に硫酸塩になります。カリウムは1価ですから、硫酸カリウムはK2SO4です。
これで硫酸酸性における二クロム酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)の全反応式の完成です。
この反応ではたくさんの生成物が出てきて混乱すると思いますが、全ての陽イオンは硫酸塩になることがわかります。
最初に書いたような、半反応式が導ければ、係数あわせだけで、あとは足し算だけですね。
左辺と右辺の陽イオン、陰イオンの数が合っているかどうか、最後に確認することをお勧めします。
理解できましたか?
ディズニーランドから風船が消えると、大変なことになる。(かも?)
お久しぶりです。
さて、2ヶ月ほど前になりますが、ディズニーランドなどの遊園地から風船が消えたとニュースがあったのをご存知でしょうか?この事件が未だに解決せず、とうとう我々の生活を脅かすかもしれません。
風船の中身は、ヘリウムガスです。実はこのヘリウムを生産している会社が世界に数社しかなく、日本はその殆どをアメリカから輸入していました。このアメリカの会社の生産ラインの故障が原因です。
この生産ラインが復旧すれば問題ないのですが、いまだに直っておらず、我々の生活を蝕むようになるかのもしれません。
たかが、風船の中に入れるガス。だから遊園地に行ってもほかのおもちゃを買えば済むし、私の生活には関係ない。 と多くの方が思うことでしょう。ところがこのヘリウムがないと困ることが起きるのです。
その一例を挙げてみましょう。
ヘリウムは、化学反応を絶対に起こさない、非常に軽い原子です。-269℃まで下げないと液化することもありません。そしてこの液化ヘリウムは超伝導磁石を用いている機械には欠かすことのできないものなのです。
この超伝導磁石を用いている機器として、リニアモーターカー、核磁気共鳴分析装置などがあります。
前者はまだ日本でも実験段階でありますので、あまり影響がありませんが、後者は化学系の分析装置のほか、医療関係で用いられるMRIがこれに当たります。ヘリウムが潤沢にないと、このMRIも運転できないことになってしまいます。
さらに医薬品、化学、食品関係の製造および品質管理に、ガスクロマトグラフィーを多く用いていますが、このキャリアーガスとしてヘリウムが多く用いられています。そのためこの分析装置が動かないと多くの食品メーカー、化学メーカー、医薬品メーカーが品質管理をすることができなくなり、生産ラインを動かすこともできなくなってしまいます。
こうなる前に、何とかこのヘリウムの生産ラインが復旧することを願っています。
ヘリウムは化学合成などで作ることができません。空気中に含まれるごく微量のヘリウムを、液化と蒸留を繰り返すことで得られる非常に貴重なものです。日本にこの生産ラインがないというのも驚きですね。
訂正です。いろいろ調べたところ、ヘリウムの生産にはヘリウム含有量の比較的高いガス田のガスを利用しているらしいです。不足の原因は生産ラインの故障ではなく、ガス田の枯渇という話もありますので、一朝一夕には片付きそうもありませんね。
このまま新しいガス田が見つからないと、本当に上記のように空気中から採取するしかありません。(放射性物質のα崩壊という意見もありますが、量的に実用的ではありません。
トランス脂肪酸よりも… 思ったとおりだ!
おひさしぶりです。
以前にトランス脂肪酸についてどういうものか書いたことがありました。(読まれてない方はこちら とこちら をチェック)
トランス脂肪酸が体によくないという話が出たのが4年ほど前のことですが、当時から私は懐疑的でした。
そして、トランス脂肪酸よりも、むしろ気にするのは飽和脂肪酸であると。。。
当時、その危険性をあおるブログに見かねて私がコメントしたのが、以下のブログです。まだ見れますね。(ページの一番下の方です)
http://hmyf.blog122.fc2.com/blog-entry-110.html
ところが、最近になって私がコメントした通りの記事が出ていました。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120605-00000302-wedge-soci
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120605-00000303-wedge-soci
トランス脂肪酸があぶないという発想は、おそらく医学部由来の論文が元になっているのではと思います。ところが残念なことに医者はあまり化学(科学)を知りません。医者の論文は統計論から入ることが多いのです。ですのでその他の要因や相互作用が多いのかもしれないのに、短絡的に犯人探しをしたがります。(全部はそうとはかぎりませんが)
たとえば、統計的に朝、味噌汁を毎日飲む人にガンが少ないという話は有名です。(やりすぎで高血圧になった人も出たとか)、
科学的に根拠のない「マイナスイオン」も確か東大の医学部の先生だったと思います。
でも医者の話はインパクトがあり、これに同乗しようとする商業主義も重なって、話がおおきくなるのでしょうな?結果的にこれが報道されると、科学者の意見など力を持ちません。
たまには、統計ではなく理論から入る科学者の話にも耳を傾けてほしいものです。
(エセ化学者だからダメか?)
これからまた、ちょくちょく更新しようと思います。これからもよろしく
ジャカルタに行ってきました。
一ヶ月以上、間が開いてしまいました。
仕事でジャカルタに行ってきました。
今回の仕事は、インドネシアの虫除けメーカーへのプレゼンです。
一言で言うと、「すごい所へ来てしまった。」という感想です。
ジャカルタのスカルノ・ハッタ空港から、ホテルまでリムジンサービスを利用しますが、
なかなかホテルに着きません。
近くにサッカー場があり、ホームチームのゲームが終わったところらしく‥
通常は一時間もかからず着くらしいですが‥大渋滞です。
ジャカルタはハイウェイが整備され、道路も問題ない状況ですが、横断歩道があまりないために
人々は走っている車の前を平気で通ります。またバイクの多いこと、多いこと。
よく事故にならないな?という感じです。
そして度肝を抜いたのは、サッカーのサポーターらが走っているバスの上に100人ぐらいいて、みんなが屋根の上で飛び跳ねていました。
バスが揺れていましたが、壊れないのでしょうか?(イナバ物置より丈夫のようです)
結局、ホテルまで2時間半もかかりました。
化学で使う「無水」の意味
前回はエタノールの脱水法について解説しましたが、脱水したエタノールを無水エタノールと呼びました。
「無水」とは、もちろん水が入っていないという意味になりますが、化学ではこの「無水」に3種類あるんです。
1つは前回と同じ、水が含まれていないという「無水」の意味。無水エタノール、無水トルエン、無水アセトニトリル… など、脱水した溶媒などに多く用いられます。英語では、dried, anhydrous, absolute という表現になります。
2つ目は、結晶水を持たないという意味。例えば硫酸銅の青い結晶は1つの硫酸銅分子に対して5つの水を含む水和物として形成されています。(CuSO4・5H2O) これを加熱すると、結晶水が飛んで、結晶水を含まない「無水硫酸銅」(CuSO4)が得られます。5水和物が青い色を持っているのに対し、無水物になるとこの色が消えてしまうんですね。おもしろいでしょう?
(クリックすると拡大できます)
さて、3番目の意味はある化合物が分子内で縮合して、1つの「水」分子が放出されたためにできる「無水物」で、多くの場合、カルボン酸の無水物です。これは元の化合物とは化学的に全く異なる化合物です。
例えば、無水酢酸、無水マレイン酸、無水フタル酸などで、元の酢酸、マレイン酸、フタル酸とはそれぞれ異なる化合物となります。
さて、それでは問題です。
水を含まない酢酸を何というでしょう?
そして、理系高校生以上にもう1題。
マレイン酸、フタル酸の類似物で、フマル酸、テレフタル酸がありますが、これらが無水物を作らない理由を考えてください。









