酸化還元反応(硫酸酸性ニクロム酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)の反応 | エセ化学者の理科の学校

酸化還元反応(硫酸酸性ニクロム酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)の反応

お久しぶりです。

酸化還元反応の講義を求められましたので、解説しようと思います。


今日は硫酸酸性における二クロム酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)の反応です。

古い表記では、二クロム酸カリウムを重クロム酸カリウム、硫酸鉄(Ⅱ)を硫酸第一鉄となっている場合もあります。


二クロム酸カリウムの酸化反応については、以前に解説していますので、詳しくはこちらをクリック


以下の式のとおりになります。


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これが二クロム酸イオンの半反応式です。


これを反応する硫酸鉄(Ⅱ)は、2価の鉄イオンから3価のイオンに酸化されます。

すなわち、2価の鉄イオンから3価の鉄イオンに変化し、この際に1個の電子を放出します。
ニクロム酸1
上の二クロム酸の半反応式では、6個の電子が必要ですので、下の式を6倍して、両者をたしてみましょう。


ニクロム酸2

これが、二クロム酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)の半反応式です、


 それでは、次に全反応式を完成させましょう。二クロム酸イオンは二クロム酸カリウムに変え、ここでミソなのは、硫酸酸性というキーワードです。14H+ のソースは硫酸分子の水素(プロトン)と言うことになります。硫酸は2価の酸ですから、7モルの硫酸が必要となります。

 生成系(矢印の右側)では、3価のクロムの硫酸塩ができます。硫酸イオンは2価ですから、係数あわせに注意です。硫酸クロム(Ⅲ)は、Cr2(SO4)3 ですね。同様に鉄イオンも2価から3価に変化していますから、生じる硫酸鉄は、Fe2(SO4)3 となります。

 さらに忘れてはいけないのは、二クロム酸カリウムのカリウムも最後に硫酸塩になります。カリウムは1価ですから、硫酸カリウムはK2SO4です。



ニクロム酸3






 これで硫酸酸性における二クロム酸カリウムと硫酸鉄(Ⅱ)の全反応式の完成です。

この反応ではたくさんの生成物が出てきて混乱すると思いますが、全ての陽イオンは硫酸塩になることがわかります。

 最初に書いたような、半反応式が導ければ、係数あわせだけで、あとは足し算だけですね。

左辺と右辺の陽イオン、陰イオンの数が合っているかどうか、最後に確認することをお勧めします。


理解できましたか?