有り余る淋しさと一緒に私を拾って食べて
脆く頼りないからそれさえ言えずに
不安のたぎる目の奥に揺れる鼓動
あなたにも伝ってしまう、切なくて

そんな心は剥ぎ取って温もりだけ抱きしめるの
それでもいいと思っているの、本当に?

大切にされるのが怖いの
生温いため息が前髪に降りかかる
蔑ろにされるのが怖いの
ただ何度でも、あと一回のキスを願う

小さな私
頼りない私
消えそうな私
涙の雫になるの私
途切れそうな身体で
女の子にされたい私、わたし

やっと見つけてくれたら
触れただけで脆く崩れ去るよ
ただ綺麗に壊れられたらいいのに
薄付きのピンク色した花びらみたいに
やっぱりあなたは私にとっての一番だから
風のやまないこの場所から今日も
東の空を眺めて夜を待つんだよ
遠く、遠くに輝くあなたの名前もわからない

やっぱりあなたにとって私は一番ではないんだ
本当は分かっていたよ、そんなことくらい
あなたの宇宙から、私の小さな光は見えますか
届くはずの光にも気付かないのなら仕方がない

誰にとっても私はそれなり
まだもう少し一人でここにいられるよ
あなたが雲間に隠れて見えない日でも
私はあなたを思い描き、焦がれているよ

たった一人の人にとっての一番になれるのなら
泣き虫な私だって弱さを脱ぎ捨てられるかな
西の空へと消えていくはかない光だって
優しい気持ちで抱きしめてあげられるかな

それが確かに温もりだったと言えるのかしら
せめてあなたの冷えた身体すべて包み込んで
淋しいのならその心を埋めて
そんなことの為に私を使ってくれるのならいいとまで思ったよ

けれどたったひとつだけ、爪痕を残させてよ
触って確かめられるくらいの何かをちょうだい
赤く腫れた隙間から涙が覗けたなら
私はあなた以外の何も考えられなくなる

夜を消耗し、尽きない欲望を消化して
むせ返るほどの匂い、息づき、乱暴なセックス

掻いて掻いて取れなくなった思い
背中に爪を立てて残しておくから
会いたいと言っても君は「また今度」とか「暇だったら」なんて言って
諦めかけた時にだけ電話がくる
どうでもいい話だけしてすぐに切れた電話の、着信履歴に残る君の、名前
私の頭の中には君が触れた熱だけ

会いたいともう一度だけ言ってみた、これが最後のつもりで
「いつでも」と言った君
その途端、今度は私の方が忙しくなってしまった

ジャズピアノの音色にまどろみ、眠りかけたときに
ほろ酔いの君から電話
ただの興味本位なのかな
君の挑発に乗ってしまった私は宿した熱に
また眠れなくなってしまったよ
手洗いに3回行き、その分の水分をとり、煙草を5本消費してしまった

会いに行くから、近いうち
また教えて
温もりと愛の違いを
そのどちらかを
あなたに言える言葉がひとつも見つからないのです
素直に会いたいって言ってみたり
素っ気ない態度をとってみたり
笑ってごまかしたり、弱いところ見せたり
もう自分が誰なのかさえわからなくなってしまいそうです

だからあなたにもこの切なさを分けてあげたい
指先だけでも触れられれば伝えるのに
愛し合うのは簡単なことのはずなのに
あなたの輪郭は霞んで、距離感さえ掴めない

私の切り取った断片を見てくれますか
その目で見て確かめることができるのなら
靄が晴れて終わるのでしょうか
少し大人になれれば、立場が変わるのでしょうか



北西からの冷たい冬の風
少し青空が覗けているけれど
私の頭上、分厚い雲はまだ去らない
大人だから、辛いときも耐えなくちゃ、ね

誰もなんにも言ってはくれないけれど
守られる前に守ってもらう気でいちゃだめだよね
あのひとは厳しい顔つきで言っていた
みんなそうやって今をやり過ごすしかないんだから

季節が巡り、またひとつ年を重ね
きっと私も少しは変わったと思う
今だから笑って話せることもある
けれど私の心はまだ晴れないまま

あともう少しだけ風に吹かれて
強く、強くなれたらと思う
常に頑張るのが当たり前というのなら
報われない日だってあるはず

疲れたときには泣いて
となりにあのひとはもういないけれど
風向きが変わったのなら
きっともうすぐ晴れになるから

できれば見届けてほしかったな
たとえ雨に立ち止まることがあっても
いつかはまた踏み出さなきゃいけないから
思いがけず春が来たら、もう忘れているよ
カーテンの隙間から漏れる陽射しが
フローリングの床に反射してきらきらと迷惑だ
蒼色に染まった部屋に隠れて二人だけの秘密を話そう
そうして疲れ切って眠ってしまうまで抱きしめていて
夢の中でも二人で続きをしよう

嵐のような痛みが過ぎ去った翌朝には
ひとしずくの愛しさだけが残っていた
あなたの温もりは影かたちだけになって
今も思い出とともに抱きしめているよ

心にぽっかり空いた穴は
あなたの輪郭に切り取られた
もう二度と誰にも弱い心は見せないと決めたはずだけれど
あなたに預けたいよ、本当を、二人だけの秘密の話
あなたがいれば未来は明るい
そんな気がしてならなかった
眩しい夏の陽射しに唆されて浮かれているだけなのかも知れない
それでもいいとさえ思った
過去のばかみたいな痛い恋も
あなたには関係ない
まだ出会ったばかりの、謎だらけのあなたに
無性に触れたくて
そんな衝動だけで動き出す身体に
もうブレーキなんて機能はなかった
鮮やかに映し出される海も風も
ふっとつく溜め息の隙間、セピアになって
夏が終わっていたこと、私は気付かなかったよ

あなたの言葉は全部気まぐれで嘘にされて
ゆるゆると私の心を放す
あなたの視線はどこか遠くの方を真っ直ぐに射抜くような強さで
あなたが触れている世界のきらめきを私は知ることもできないまま
冬が来て、それでも色褪せる記憶の中のあなたは
私に明るい未来の予感を誘う
今はその距離さえつかめない
触れたことさえ嘘だったような気がする
眩しくて見えない私のヒーロー

着信履歴に残る凛としたあなたの名前
もう一度呼ぶのも今ではもう虚しいだけだから
誰にも内緒で、何も言わないで
さよならをするね、少し口惜しいけど

眩しさに焼け焦げてセピア色に褪せた夏
何も言えないままで、永遠のヒーロー


****
BONNIE PINKのこの曲を聞くと、このひと夏の恋を思い出します…笑。



彼の去り際に放った一言が頭の中にこだまする




喉の奥に小さなガラスの破片でも刺さっているようだ




鋭利な言葉の尖




傷をつけたのは誰だ




傷をつけられたのは誰だ




呼応する痛みの数々




もう繰り返したくない



繰り返したくないんだって




泣いているのなら




誰か優しい人を拠り処にしてはだめだ



言葉を拠り処にしてはだめだ




弱くなる


弱くなってはだめだ、もう



傷をつけてはだめだ



一人でいて尖ってしまっては


だめだ




じゃあね、また
性懲りもなく、根拠もなく、いつかまた会えるって思ってた
あなたのこと、もう思い出しもしないのなら
さよならの味も忘れて
始まりを夢見る、際限もなく

あ、この歌…懐かしいね。
もう誰の心にも住み着かないことにしてから
春は遠く霞み、ただ記憶を呼ぶ風
風がこれから始まる歌になる