友達には内緒でこっそりキスをした
愛おしげにおでこをくっつけて
好きだと君が漏らした瞬間
正直言って、動揺してしまったんだ
そしてその動揺を悟られまいとして、自分でも気付かなかったふりをした

閉じ込めていた思い出が涙になって少しずつ溢れ出す
自分が傷付いてでも、好きな人を傷付けてしまう方がつらいでしょう
精巧に作られた機械の奥の、些細で、でも大事なネジを緩め
まるで時限爆弾を仕掛けるみたいに壊した
僕はあのひとの心と身体を
捩切れた薄いピンク色を見てしまったとき悲しかった

僕の手首にはだらしの無い傷がうっすらと残っていた

誰も僕のこと守ろうとしないでいい
易々と心を預けてはだめなんだ
大事にされるのがもう怖いんだ


だから




こんなにも寒い季節が巡り巡ってまたやって来た
触れたその温かさにひどく怯えていた
君はそんな僕のこと何も知らずに
微笑んだ、本当に本当に、愛おしそうに触れた



狭い車内にRhythm & Beat
二人の鼓動と同期して響いていた
だけど運転席と助手席の間はこんなにも広い
私はあなたについて何も知らないことをまたかみ締める

かけられる言葉が見つからないまま
それでも平気だというように振舞うので精一杯で
決定的なことが何も探れないまま
お互いにこのままがいいと思うだけ

恋に落ちるのは簡単なことだけれど
恋をしようと思うならそれは難しいでしょう

私専用のRemote Controler今だけ貸してあげるから
失くさないようにあなたの為に、扱って



安易に触れられる
後は何も考えられなくなる

何にも代え難い温もりが
心と身体を切り離す

中身は痛いけれど
それでも構わないから
怖がらずに触れてよ
愛しい表情をつくってみせる

傍で眠らせて
心が通わないこと
知っていて諦めているなら
せめて身体だけでも繋ぎたいと思った


乾かない洗濯物
干からびていく食物
出しそびれたごみ
溜まる吸殻

身体に染み付く他人の匂い
覚えがないのに汚れていく
うつむくたびにこぼれる髪
かたまって動かなくなる筋肉

私の身体はもう私だけのものじゃない
だからあなただって好きにすればいい
そうやって少しずつ心と身体を切り離す作業に慣れたなら
今度は快感さえ鈍り、どうでもよくなる

目の細かい美しい砂が流れ落ちる
尽きればまた逆さにして繰り返す
何色ともつかない陽の色や
夜を染める空気の闇

感じない私なんてあなたは欲しがらない
大人になってそれくらいもう分かるようになった
だから夜毎注ぎ落とす白い声に
咽返る日常の空虚
自分でも本当に信じられない程
弱い自分を隠し頑張っていたこと忘れそうに
ああ、こんなにも泣きたかったんだ、疲れていたんだ
深呼吸ついてばっかりの自分に

今は何も考えずに眠れれば
愛しい記憶の中で
私が消える夢をみる
そんな夢が現実になるかも知れないね


一人分の呼吸
それでは充分じゃない
二人分の呼吸なら
些か息苦しい

毎夜眠りに就くことがこんなに淋しいなんて
現実に対峙できない時は
ひたすらに眠り、時間が過ぎていくのを見送った
あなたと眠った記憶

温かいストーブのオレンジ色の明かり
ベッドに沈み込む今日一日の疲労感
どうしてこんなにも簡単な思いを
伝えられないのか

あなたがその理由を握っているなら
心を許し合えない
淋しさ、安堵
もう誰とも、誰にも、心を開かない

私が弱いから


ハロー、コールして僕の声に応えて
少しでも君の言動が本当なら
その心を掻き回し、乱し、嘘と本当を分けるよ
曖昧に絡み合うマーブル色の
純粋に愛されたい気持ちも淋しい気持ちも
君にも分けてあげたいさ、切ない気持ち
君には全く見えない曇り色の
有りったけの僕の頼りなく滲んだマーブルな気持ち



僕にメッセージをちょうだい、僕に
君を好きな理由が分からない
理由、なんかは必要なんじゃないでも
君が僕を好きになるには理由が欲しい、のかも

曖昧なこじつけ、持て余す時間と吐き出せない淋しさ
理由なく触れれば、ただ温かいだけ
触れれば二度と離せなくなるだけ

痛かった、か細い声で伝えた
その痛みだけが確かな事実だった
どんな優しい気持ちで触れていたとしても
簡単に分かる理由は性的衝動

ねぇ、ね、
もう一度触れて
曖昧な理由でいいから
そして確たる理由でもう二度と離さないで


嫌いだよと言いたくなる
僕が何か間違ったことをしているかい
たとえそうだとしても二度後悔しないと決めたんだ
いつも自分の心にそれを確かめるから

もう泣くのはやめなよ、と優しい声
少し困ったようなあの人の顔
前にも後ろにも倒れられないことに
その時に気付いた僕、僕が忘れられない人

君がいたから泣き止むことができた
自分をもう一度見つめ直すことができた
そしてどうしようもない自分や皆が分かって
泣くことは本当はもっと難しいことだった

誰かがじゃなくて、嫌いだよ、誰もかも
あんなにも愛しかった自分も皆も
後悔するのじゃなくて、泣くのでもなくて
嫌いだよと呟いた、自分が嫌いだよ
リボンはほどけやすいように少し緩めにしておく
だから優しくしてね、止めないでね

触れることが簡単になってしまう、あなたには
真面目に話すから、ちゃんと答えて
興味がないのね、あなたは他人のことなんて
躊躇いがあるうちは大事にしよう

わたしの問いかけが風になって耳元をすり抜けたら
気付かれないままにさようなら、さようなら

だけどわたしにとってあなたは初めての楽しみ
胸の結び目が綻んだ瞬間は、はらり、どきり