ひとりぽっちの妖怪暮らし20240106駅で一人ぼっちになった。 | ソラトスレスレノウミ

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秩父のお寺に行った。
 
いつも元興寺と朱の盤がついてくるのだが、
今回は上手いこと、2人にバレずにこっそりと出発できた。
 
でも電車が遅れていて、7時過ぎに家を出たのに、
秩父についたのが11時過ぎだった。
 
第二十六から二十九番札所を廻って最寄り駅に向かったが、
3分早く電車が出てしまっていた。
 
第三十番札所まで徒歩で行くと、2時間かかる。
50分くらいなら歩いてもいいが、
次の1時間後の電車を待つことにした。
 
 
15時過ぎに、三十番札所行きとは反対の電車が着て、

駅のホームにいた2,3人が乗り込んだ。

 

駅員さん2人も「それでは」と私に挨拶して、
その電車に乗って行ってしまった。
 
「え?」
 
私はひとりになった。
こんなことあるんだ。
冬の暮れゆくホームで、私は少し呆然となった。
 
 
駅のホームで誰もいないなんて。
 
 
怖い話大好きな私は、「きさらぎ駅」を思って、
ワクワクした。
 
 

 
やがて山に向かう方面の電車が着た。
特に異変も無く、今日の最後の目的地のお寺がある駅で
降りると、ホームの端の木のベンチに、
 
いのこがいた。
 
元興寺や朱の盤には見つからなかったけど、
いのこは私がいつ秩父に行くのか、
ずっと気にしていたのだと思う。
 
でも。
 
「これから行く最後のお寺に、ぎょーきんさんはいないよ」
 
私がそういうと、いのこはホッとしたような、
そして少し残念そうな素振りを見せた。
 
そうか、この娘は、
 
ぎょーきんに叱られたのだったな。