“大先輩”の実感を聞きたくなる時があるのよ | 美容・医療ジャーナリスト 海野由利子のブログ

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美と健康にまつわるさまざまなニュースや注目していること、雑誌に載せきれなかった情報をお伝えします。

先を歩いてきた“先輩方”の言葉に、今まで何度励まされ、気持ちを引き締めることができたか、数え切れません。

それは、「結婚しても子供を産んでもずーっと仕事を続ける女」がまだ少ない時代を生きてきたからかも。

 

特に、バリバリ働く出版界、美容界、広告・PR界の先輩には、60代ってどんな感じ? 70歳と75歳ではどう違う?などと尋ねて、近い将来への指針とさせていただいてきました。

 

が、コロナ禍では会って話をお聞きしたい、と思っても難しくなり、そんなときに発売されたのが作家である佐藤愛子さんのエッセイ。「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」(小学館)です。

 

 

もうすぐ98歳、というときまでエッセイを書き続けていらっしゃるというのが素晴らしいです。

内容は、90歳を過ぎてからの体調、その変化、日々の暮らし、その不満、文句、昔の記憶、、などなどなど。

 

「何もしていない。なのにヘトヘトなのはなぜだ!」とあれば、90代の体調はそうなのか、と予備知識を得られるし、

去年だったか一昨年だったか、東京オリ・パラの組織委員会長をしていらした森喜朗氏の「女性が多いと会議の進行に時間がかかる」発言が女性蔑視だと騒がれていることに対しては

「それは経験を重ねての森さんの“実感”であろう。他人が“思った”ことが自分の考えとは違うからといって文句をいってもいいという常識はないだろう」と、釈然としない思いを述べている。

世間の風潮やあおりに乗せられない、こういう言葉を先輩から聞くのが私は好きなのです。

 

このエッセイを「最後」として「筆を措く(おく)」として

最終ページには

「みなさん、さようなら。ご機嫌よう。ご挨拶して罷り去ります。」とあり、直筆のサインも。

 

ご自身で決められたことだけれど、この先輩の文章はもう読めない。ああ残念、と思っていましたが、つい最近、嬉しいニュースを目にしました!

「断筆したら毎日が暇すぎて」また筆を執ることにしたとのこと。

 

今年の秋には九十九歳になられる大先輩ご自身が書かれるエッセイは、楽しみでしかありません。