両親が離婚してから
父が家に居なくなったのは良かったのですが
思春期のわたしはずっと影のある10代でした
音楽を聴くことに没頭し
音楽好きの少し変わった友だちとつるんで
ライブを観に行って
母親は何度も学校に呼び出されていました
未成年なので夜遅くまでライブに出かけるのを学校から禁止され
厳重注意を受けたのですが
規則を破ってライブに出かけ
終電に間に合わずみんなで外泊することもありました
当時のわたしは放課後にどう過ごそうが
わたしの自由なのになんでダメなの?
と
好きな音楽を聴きに行くことが楽しくて
悪いことをしている感覚がありませんでした
そんなわたしに手を焼いた母は
たぶん父に相談したのでしょう
父がわたしを捕まえて何度も説教しました
お前は五体満足だから感謝もせず勉強もせず
好き放題に遊んでいる
お前の右手首を包丁でぶった切ってやる
そしたら少しは真面目に生きるだろう
というのが父の説教でした
そして
「今度約束を破ったら手を切り落とすからな」
とわたしは脅されていました
(今なら児童虐待ですよね)
父のことは怖かったのですが
それ以上に軽蔑して嫌っていたわたしは
もちろん父の説教など聞きません
またライブに出かけて父にバレて捕まりました
「手を切り落としたら犯罪になるから
頭を丸刈りにしてやる」
と怒っていましたが
が、
「今後絶対にライブに行かないなら許してやる」
と条件を出されました
わたしは
許していらない。
ライブにはこれからも行く。だから丸刈りでいい。
と言いました(バカバカ!)
実は、手首も切り落とされなかったので
たぶん丸刈りもただの脅しだろう、と少しタカをくくっていました
ところが父は よし、分かった。と言って
さっさとバリカンを持ってきて
わたしの長かった髪を
おでこのど真ん中から
ジジジジィーと刈りだしたのでした・・・・
唖然でした
素行不良と怒られても
わたしは音楽好きなだけのただの女の子です
どうしてこんなひどいことを。。。
わたしの目から大粒の涙がぽろぽろ
泣くもんか、父の前で泣きたくない!
と思っても涙が止まりませんでした
父が刈り終わり鏡をみると、わたしの頭は
髪が一本もない正真正銘の丸刈りになっていました
わたしは当時16歳、女子高に通っていて
ちょうど夏休みに入ったところだったので
その夏は一歩も外に出ず、ずっと家の中で丸刈りにされた頭をみては
号泣しながら父を恨んでいました
夏休みが終わり学校に戻ったころは少し髪も伸びていましたが
それでも同級生は全員びっくりしていました
中には 真顔で
・・・甲子園、残念だったね・・と
高校球児へのセリフを言うひとがいて
おかしくてフッと笑ってしまい
少し癒されました
ユーモアは世界を救う (Googleから画像お借りしました)