小浜島からSUPが漂流したという報道がありました。琉球朝日放送の報道を引用させていただきます。
--------------- 琉球朝日放送からの引用 --------------------
石垣海上保安部によりますと10月13日午後6時すぎ竹富町小浜島の細崎海岸でSUPのツアーに参加していた20代の女性が強い風で沖合に流され行方がわからなくなっていました。
巡視船とヘリなどを使った捜索の末、一夜明けた10月14日午前8時前に流された場所から南西約40kmの海上でSUPボードの上で手を振りながら助けを求める女性を見つけることができたということです。
---------------- 引用ここまで --------------------------------
大変情報の多い報道で、文章を読んでも土地勘のない人間には何のことかわかりません。少しづつ読み解いていきたいと思います。
まず細崎海岸(くばざきかいがん)はどこなのでしょうか?
細崎は三方を砂浜に囲まれた半島ですが、細崎海岸と言えばヨナラ水道越しに西表を望む突端の事のようです。眺めも水質もよさそうな場所です。
ここから南西に40kmはどこでしょうか?
波照間島西方、島の人がよく釣りに出かける場所です。14時間漂流してここまで来てしまったのです。海保のヘリコプターが発見できなければ波照間に漂着することはなくバシー海峡をさらに漂流したでしょう。
当時の風向風速を波照間のアメダスで見ると、北北東の風となっています。
おそらくSUPは北北東の風に乗ってヨナラ水道を南下、大原東方から東シナ海に出たのでしょう。
海上保安庁の資料で当時の海流を見ると毎時ほぼ1ノットの流速で東から西に流れています。
東シナ海に出たSUPは海流の影響で波照間北方に到達することなく西方へと流されたのでしょう。
何故18時過ぎという時間に漂流してしまったのでしょう?海上保安庁が夕日の方角、時間がわかる資料を作ってくれています。
10月15日、日没18:18となっています。マジックアワーを海上で過ごすのがツアーの売りだったのでしょう。
さて、残る疑問は一つです。何故風上に向かって行かなかったのでしょうか?
「そんなの後知恵だろう」と言われるかもしれませんが、実際海に出れば大抵の人が本能的にそうします。何もしなければ陸地に戻れる、そういう行動を言われなくてもするのです。北側の海岸から出れば風上に行けます。
当時の潮位を見ると
満潮でも干潮でもなく良い頃合いで北側の海岸が浅瀬でも漕いで出られそうです。現地を見ていない人間のたわごとですが、不思議です。