【20年運転歴の結論】あの記事の後、私が「左足ブレーキ」に確信を持ったワケ。〜患者さんの悲劇が教える、切実な安全対策〜
前回、「『左足ブレーキ』の衝撃!20年運転歴の私が、今さらペダルの踏み方を変えた理由」という記事を公開しました。
長年の運転習慣を変えることの難しさや、私が感じた「踏み間違いリスクの軽減」や「運転姿勢、心の余裕」といった予期せぬメリットについてお話ししました。
しかし、私がこの「左足ブレーキ」の習得を絶対にやめるべきではないと確信し、決意を新たにした、ある出来事がありました。それは、ある患者さんとの、非常に衝撃的なやり取りです。
今回は、そのエピソードを交え、なぜ今、長年の習慣を変えることが、私たちベテランドライバーにとって最も切実な安全対策なのかをお伝えしたいと思います。
運転歴20年の私を凍りつかせた「悲劇の連鎖」
私の患者さんは、車検で愛車を預けている間、代車で事故を起こしました。
それは、自宅の敷地内でバック駐車をしようとした時のことでした。アクセルとブレーキを踏み間違え、車はそのままバックで側溝に落ちてしまったのです。
代車には50万円の修理代がかかる大きな事故となりました。
「一生懸命ブレーキを踏んでいるつもりだった。でも、車はどんどん加速していったんだ。パニックだった。」
その言葉を聞いたとき、私は全身の血の気が引くのを感じました。
前回の記事で私が抱いた「漠然とした不安」は、この瞬間、現実に起こりうる、具体的な恐怖へと変わりました。本人の「止まりたい」という強い意思とは裏腹に、体が無意識の習慣に支配され、逆の行動をとってしまう。これこそが、高齢ドライバーの事故報道で度々耳にする「踏み間違い」の核心だと痛感しました。
命の危険と、運転を諦めた理由
さらに、患者さんの言葉は続きます。
「事故を起こした道は、小学生の登下校で使う道だったんだ。もし敷地内じゃなく、あの道で起きていたら……。そう考えると怖くて、もう運転をやめました」
運転の判断力が衰えたわけではなく、「踏み間違い」という一瞬のミスが、取り返しのつかない事態を招きかねないという恐怖。
これにより、患者さんは長年の運転を諦めざるを得なくなったのです。
左足ブレーキが「命を守るロジック」である理由
このエピソードは、私に「左足ブレーキ」の必要性を、技術論ではなく、安全のロジックとして再認識させました。
右足一本の操作の場合、パニック時に足がペダルを踏み込むという「動作」自体は間違っていなくても、アクセルとブレーキのペダルの選択という「判断」を誤ります。この一瞬の判断ミスが、加速という最悪の結果につながるのです。
しかし、左右の足に役割を分離する左足ブレーキならどうでしょうか。
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右足 アクセル(進む)
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左足 ブレーキ(止まる)
緊急時に「一生懸命ブレーキを踏む」という患者さんの強い意思は、ほぼ間違いなく左足の動作に直結するはずです。
踏み間違いが、ペダルの選択ミスではなく、役割分担の徹底によって根元から防げる。このロジックに気づいたとき、「左足ブレーキ」は単なる運転技術ではなく、誰もが直面するかもしれないリスクから自分と他人を守るための、最も確実な防衛策だと確信しました。
左足ブレーキ継続で得られた、揺るぎない「運転の質」
前回の記事でお伝えした、左足ブレーキを始めて得られたメリットは、この安全の確信の上で、より大きな価値を持つようになりました。
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姿勢の改善と疲労軽減:
左足を常にブレーキペダルにスタンバイさせることで、深く座る姿勢が習慣化しました。この安定した姿勢は、長距離運転の疲労を軽減し、運転操作の安定性にも貢献してくれます。
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心の余裕と視野の拡大:
「いつでも止まれる」という確信は、運転中の焦りを消し去ってくれました。以前より車間距離を多めにとり、周囲の状況を冷静に判断できる心の余裕。これにより、安全の「質」が格段に向上したと実感しています。
踏み間違いという最悪のリスクをロジックで回避し、さらに姿勢と心の余裕まで得られる。左足ブレーキは、運転の基本動作を根本から見直し、人生の安心を守るための、有効な手段だと私は声を大にして言いたいのです。
結び:漠然とした不安から、確実な対策へ
「左足ブレーキ」は、教習所では絶対に教えてくれない運転技術です。しかし、患者さんの事故のように、いつか誰もが直面するかもしれない「踏み間違い」という現実を前に、長年の習慣を変えることこそが、最も賢明な選択だと確信しました。
もし、この記事を読んで、以前感じた「試してみたい」という気持ちが、私と同じように「今すぐ対策しなければ」という強い決意に変わった方がいらっしゃったら、ぜひ安全な場所で少しずつ練習を始めてみることをお勧めします。
皆さんは、この左足ブレーキの必要性についてどう考えますか?安全運転への取り組みについて、ぜひコメントでご意見を聞かせてください。


