「台風が熱帯低気圧に変わりました」
「台風が温帯低気圧に変わりました」
ニュースを見ていると、こうした報道をよく耳にします。🤔
あれ?台風と熱帯低気圧、温帯低気圧って何が違うんだろう?
もしかして、報道のミス?いえいえ、実はそれぞれまったく違う性質を持った「低気圧」なんです。
今回は、この3つの関係性と、なぜ報道が使い分けられているのか、そのメカニズムについて調べてみました。
台風と熱帯低気圧は「仲間」だった!
まず、台風と熱帯低気圧の関係から見ていきましょう。
この2つは、どちらも暖かい空気だけで構成されている点が大きな特徴です。
熱帯の海上で発生し、海水から蒸発した大量の水蒸気をエネルギー源としています。水蒸気が水滴に変わる時に放出される「潜熱」と呼ばれる熱が、巨大なエネルギー源となっているのです。
では、何が違うのか?
それは、最大風速です。
気象庁では、熱帯低気圧のうち、最大風速が17.2m/s以上になったものを「台風」と定義しています。
つまり、「台風」は「熱帯低気圧」の一種なのです。
そのため、台風が勢力を弱めて最大風速が17.2m/s未満になると、再び「熱帯低気圧」と呼び名が変わります。ニュースで「台風〇号は熱帯低気圧に変わりました」と報道されるのは、単に風が弱まったことを意味しているんですね。
まったくの別物!温帯低気圧の正体とは
では、温帯低気圧は何者なのでしょうか?
温帯低気圧は、暖かい空気と冷たい空気の温度差をエネルギー源としています。
中緯度地域で発生し、温かい空気と冷たい空気の境目にできる「前線(温暖前線・寒冷前線)」を伴うのが最大の特徴です。
温帯低気圧は、台風と異なり、中心から離れた場所でも強い風が吹く傾向があります。また、前線の活動によって広範囲で大雨をもたらすことも少なくありません。
なぜ台風は温帯低気圧に変わるのか?
台風が北上すると、徐々に海水温の低い海域に進みます。これによりエネルギー源を失うとともに、北からの冷たい空気を引き込むようになります。
すると、これまで温かい空気だけで構成されていた台風に、冷たい空気が流れ込み、次第に温帯低気圧の性質を持つようになるのです。
報道で「台風が温帯低気圧に変わりました」と聞くのは、単に勢力が弱まっただけでなく、その構造そのものが変化したことを意味しているんですね。
このように、台風と温帯低気圧はまったくの別物であり、エネルギー源や構造が根本的に異なります。
私たちは「台風が温帯低気圧に変わった=もう安心」だと思いがちですが、実は風の強い範囲が広がったり、大雨の危険性が継続したりするケースも多いため、決して油断は禁物です。
今回のブログを書いてみて、普段何気なく聞いている気象用語にも、ちゃんとした理由とメカニズムがあることがわかり、とても勉強になりました。皆さんもぜひ、これからの台風シーズン、ニュースの報道を気にしてみてくださいね。