「血糖値が高いってどういうこと?」健康のサインを読み解く | umetarouのブログ

umetarouのブログ

はじめまして
ブログはじめて見ました


看護師の知識や経験を活かした内容
3人の子ども・かわいい妻の事
日常の気になった事
大好きなゲームの事
などなど

いろんなことを綴っていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

血糖値と健康のつながり、改めておさらいしましょう!

 

「今日の血糖値、高いね」「低いね」という会話、透析の現場ではよく聞かれますよね。

 

患者さんと交わすそんな一言が、実はとても大切な健康のサインだったりします。食事の後の血糖値が高いとどうなるのか、そしてなぜそれを下げる工夫が大切なのか、一緒に復習していきましょう。


 

血糖値とは?

 

私たちの体は、食事から得たブドウ糖をエネルギー源として利用しています。

 

このブドウ糖が血液中にどれくらい含まれているかを示す値が「血糖値」です。

食事をすると血糖値は上がりますが、健康な人であれば、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンが働き、細胞にブドウ糖を取り込ませることで、血糖値は適切な範囲に戻ります。

 

この血糖値を一定に保つ仕組みを「血糖の恒常性」と呼びます。

この恒常性が崩れ、血糖値が高い状態が慢性的に続くのが「糖尿病」です。


 

血糖値の標準値と異常値

 

血糖値は測定するタイミングによって基準値が異なります。

  • 空腹時血糖値(食事をしていない状態で測定)

    • 正常値:99mg/dL以下

    • 境界型:100∼125mg/dL

    • 糖尿病型:126mg/dL以上

  • 食後2時間血糖値(食後2時間後に測定)

    • 正常値:140mg/dL未満

    • 境界型:140∼199mg/dL

    • 糖尿病型:200mg/dL以上

  • HbA1c(過去1~2ヶ月の平均的な血糖の状態)

    • 正常値:5.6%以下

    • 境界型:5.7∼6.4%

    • 糖尿病型:6.5%以上

**HbA1c(ヘモグロビンA1c)**は、過去1~2ヶ月間の平均的な血糖の状態を示す指標で、糖尿病の診断や治療のコントロールに不可欠な数値です。

 

血糖値が日々の食事や体調で変動しやすいのに対し、HbA1cは長期的な血糖コントロールの目安になります。


 

食後の血糖値スパイクが引き起こす問題

 

「食後に血糖値が高い」状態が続くと、いくつかの問題が起こります。

 

食事によって急激に血糖値が上昇し、その後急降下する現象を「血糖値スパイク」と呼びます。

この血糖値スパイクは、健康に様々な悪影響を及ぼすことがわかっています。

  • 血管へのダメージ: 血糖値が高い状態が続くと、血管の内皮細胞が傷つきやすくなります。これにより、動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。

  • 肥満の原因: 血糖値が急激に上がると、インスリンが大量に分泌されます。インスリンには、余ったブドウ糖を脂肪として蓄える働きがあるため、太りやすくなります。つまり、「食後に血糖値を下げる=インスリンの過剰分泌を抑える」ことは、肥満対策にもつながります。

  • インスリン抵抗性の進行: 高い血糖値と大量のインスリンが常に分泌される状態が続くと、細胞がインスリンに対して鈍感になっていきます。これを「インスリン抵抗性」といい、この状態が進むと糖尿病の発症リスクが高まります。


 

食後の血糖値上昇を穏やかにする工夫

 

では、食後の血糖値スパイクを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。日々の少しの工夫が大きな効果を生みます。

  • 食事の順番を変える: 最初に食物繊維が豊富な野菜やきのこ、海藻類を食べ、次に肉や魚などのタンパク質、最後に炭水化物(ご飯やパン)を摂るように意識しましょう。食物繊維がブドウ糖の吸収を緩やかにしてくれます。

  • よく噛んでゆっくり食べる: 早食いは血糖値を急上昇させやすいので、一口を30回噛むなど、時間をかけて食事を楽しみましょう。

  • 食後の軽い運動: 食後30分~1時間以内に15~30分程度のウォーキングなどの軽い運動をすると、ブドウ糖がエネルギーとして消費され、血糖値の上昇を抑えることができます。

  • 飲み物の選択: コーヒーや緑茶に含まれるポリフェノールには、血糖値の上昇を緩やかにする効果があると言われています。特に食前にブラックコーヒーを飲むことは、血糖値スパイクの抑制に役立つとされています。ただし、砂糖やミルクをたっぷり入れたものは逆効果なので注意が必要です。


 

まとめ

 

食後の血糖値が高い状態が続くと、糖尿病はもちろんのこと、動脈硬化や肥満のリスクを高めます。透析患者さんにとって、動脈硬化の進行を防ぐことは、シャントや心血管系の合併症予防にもつながるため、特に重要です。

 

毎回の透析で測定する血糖値は、その日の体調を知る貴重な手がかりです。

 

 

 

 

 

「今日は高いね」

 

という一言から、生活習慣を見直すきっかけにしていただけたら幸いです。患者さんの健康維持のために、医療者として血糖値の正しい知識を伝え、サポートしていきましょう。