扁平足は治る?最近の子どもに多い扁平足の原因と改善策
先日、患者さんとお話する中で「扁平足」についてのご質問を受けました。
「最近の子どもに多いと聞くけれど、自分は大丈夫?」「扁平足は治るの?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、扁平足の概要から最近の子どもに扁平足が多い理由、そして改善策について、エビデンスを交えながら解説していきます。
扁平足とは?
扁平足とは、
足の裏にある土踏まず(内側縦アーチ)が低下し、足の裏全体が平らになっている状態を指します。
土踏まずは、歩行時の衝撃を吸収したり、地面からの力を効率よく伝えたりするクッションのような役割を担っています。このアーチが失われると、足だけでなく膝や腰にも負担がかかりやすくなり、痛みや疲労の原因となることがあります。
最近の子どもに扁平足が多いのはなぜ?
近年、子どもの扁平足が増加傾向にあると言われています。その主な要因として、以下のような点が挙げられます。
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運動量の減少: 外遊びの機会が減り、運動不足になることで足の筋肉が十分に発達しないケースが増えています。足のアーチを支える筋肉が弱いと、扁平足になりやすくなります。
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歩行環境の変化: 舗装された平らな道での歩行が多くなり、足裏への多様な刺激が減少しています。土や砂利道など、不整地を歩く機会が少ないと、足の指を使った本来の歩き方が身につきにくくなります。
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靴の影響: 足に合わない靴や、クッション性が高すぎる靴を履くことで、足本来の機能が十分に働かないことがあります。特に、サイズの合わない靴は、足の指がしっかり使われず、アーチ形成を妨げる可能性があります。
扁平足は歩行で治る?直し方はある?
「扁平足は歩けば治る」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。しかし、ただ漠然と歩くだけでは、扁平足が劇的に改善するとは限りません。重要なのは、「どのように歩くか」そして「どのようなケアをするか」です。
扁平足の改善には、主に以下の2つのアプローチが有効とされています。
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足の筋肉を鍛える:
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足指を使う運動: タオルギャザー(床に置いたタオルを足の指でたぐり寄せる運動)や、足の指でグー・パーをする運動は、足底の筋肉を強化するのに効果的です。
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裸足での運動: 安全な場所で裸足で過ごす時間を増やすことで、足裏が直接地面からの刺激を受け、足の指や足底の筋肉が活性化されます。例えば、芝生の上を裸足で歩くなどは、足裏の感覚を養うのにも良いでしょう。
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不整地での運動: 公園の砂場や小石の多い場所など、少し不安定な場所を歩くことで、足の裏が様々な刺激を受け、アーチを支える筋肉が自然と鍛えられます。
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適切なフットケアと装具の利用:
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インソールの使用: 扁平足の程度によっては、オーダーメイドの**インソール(足底板)**を使用することで、足のアーチをサポートし、正しい歩行を促すことができます。インソールは、歩行時の衝撃吸収を助け、足への負担を軽減する効果も期待できます。
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靴選び: 足の指が自由に動き、かかとがしっかり固定される、ご自身の足に合った靴を選ぶことが重要です。クッション性だけでなく、サポート性も考慮した靴選びを心がけましょう。
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小児期の扁平足は、足の骨格がまだ成長段階にあるため、適切なケアと運動を継続することで改善が見込めるケースが多いです。
しかし、成人になってからの扁平足は、骨格が固まっているため、完治は難しい場合もありますが、症状の緩和や悪化の防止は可能です。
まとめ
扁平足は、生活習慣や運動不足が背景にあることが多く、特に最近の子どもたちに増えている傾向があります。
ただ、適切な足のケアと運動を取り入れることで、症状の改善や悪化の予防が期待できます。
ご自身の足の状態が気になる場合は、専門医や理学療法士に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。足の健康は全身の健康にも繋がりますので、ぜひこの機会にご自身の足と向き合ってみてください。