デンマークが内向性を許すカルチャーだと思うことについて、私のなかに強く印象に残るある日の通りすがりのデンマーク人との会話があるんです指差し

 

ケニ子がデンマークという環境に馴染み切れていない時期のある日のことでした。

インター園のお迎えに行った帰りに通りがったデンマーク人のカップルに話しかけられたんですよね。

 

 

我が家のエリアはフレンドリーな方が多く、特にお散歩中の高齢の方というのはかなりの確率で声をかけてきてくれます目がハート

ケニアのように話しかけてくる相手に一定の警戒を抱かねばならぬ土地で子育てしてきた私にとって、ご近所に住む方々がにこやかに何気なく話しかけてきてくれる環境で子供を育てられることは至福でした。

 

が、当時のケニ子にとって見知らぬ人と対話するのは高いハードルだったんですよね。

「せめてお返事だけはしようね」ということを丹念に伝えてはいましたが、その日もまた心の準備が整っていない時に知らないおじいさんに話しかけられたものですからうまくお返事ができないケニ子ちゃんなのでした。

 

 

当時の私としては親の都合でケニ子の生活環境をガラッと変えたという負い目があるがゆえに、彼女が他人とうまく関われないことについて強く注意したりせずに彼女が自分で社会と関わり始めるタイミングを待とうと心に決めておりました(「返事をしない」ことについては時にかなり強く言いましたが)。

とはいえ「聞かれていることに答えない」のは話しかけてきてくれる人に対して失礼にあたるという感覚はどうしても捨てきれず、いつもうまく反応できないケニ子のフォローにまわったものでした。

 

この日も当然のようにフォローしました。

 

 

なんでシャイって言ったのか。

シャイって全く悪い言葉ではないですが(shyが悪いという捉え方がもうすでにextravert至上主義な気がするし)、私がケニ子の性格について話す時には「She's quiet sometimes」という表現を使うことが多いと思います。

でもこの時にはshyって言ったんですよ。

たぶん、私のなかの「彼女shyだからせっかく声をかけてくれたあなた方を無視してしまったけれども」みたいなへりくだる気持ち、声をかけてくれたのに申し訳ないという気持ちがとっさにそう言わせたんだと思うんですがね。

 

そしたらこのおじいさんこう言ったんです。

 

 

「こんなに小さいのに1人で言葉が違う環境で頑張ってるんだろう?毎日学校に行ってるんだろう?braveな子供であることには間違いないさ」

 

と、サラッと。

そこには「親であるあなたが我が子をshyだなんてラベル貼りして可能性を狭めてはいけないよ」みたいなメッセージの含みも一切なく、

おじいさんは単に本気で「マジスゲェ」と感じたのでそれを口にしただけの様子でした。

 

私はその時すごいハッとしたんです。

 

私、ケニ子が慣れない環境で頑張っているのは知っていました。

精一杯頑張っている子だとは思ってた。

 

頑張ってるね。すごいことだよ。

と、その気持ちをいつも言葉で十分伝えてきたつもりです。

 

でも、

ケニ子のその小さな小さな一歩の原動力が勇気だっていうところにまで想像が及んでいたかというと、たぶんはっきりとそう意識していなかった気がするんです。

 

「過程をほめてあげるといい」だとかそういう話は子育ての定石的に聞いたことがあったし、実際頑張るケニ子の頑張りをきちんととらえて拾い上げる私のやり方も悪いわけではなかったと思うんです。

 

でも、彼女の頑張りを生み出している源の部分に<勇敢さ>という資質がある事実に目をむけて「ケニ子いいモン持ってるねキメてるキラキラ」と言ってあげていても良かったのではないか。

 

あなたは勇敢な子だよ。

その勇敢さが、あなたが今後の人生で困った時にあなたを助けてくれるよ。

そういう強みを持っている人間だってことを本人伝えてあげてもいいのではないか。

 

そういうことに気づかせてくれたおじいさんでした。

 

この通りすがりのおじいさんともしも出会っていなかったら、いま、私は、娘のことをどう見ているだろうかとたまに思ったりします。

もともと内向的であることが悪いと思っていないので無理やり彼女をこじ開けたりはしなかったでしょうけれども、現在の私がなにかにつけて「…それでもケニ子は勇敢な子だからなァ」と感じるほどには、彼女の勇敢さを評価していなかったでしょう。

 

デンマークに暮らしているとこのおじいさんのように人間の内向性をある程度肯定している方と出会うことよくあるんです指差し

 

公園なんかで出会うママさんたちと話していても、

「私、小さい頃、もう出来上がってるお友達の輪に入るの苦手だったよーおねがい」とか。

「私、失敗するのが怖くて新しいことを始めるの避けてばかりだったわー笑い泣き」とか。

 

自分の自然な姿を自然なものとして受け止めて良いとしている。

自分の自然な性質を矯正していくのではなくて、それを保ったまま社会とうまくやっていくスキルを磨いていく。

 

デンマークのこういうところいいなって思いますひらめき飛び出すハート

 

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