まあ、そんなわけで、
今ほどインターネット情報が手に入りやすいわけではなかった20年前、「日本という国について一番知識がある人の多いヨーロッパの国はどこでしょう?」と問われたら、きっと躊躇なく「フランス人」と答えていたであろうサラマです
もひとつ面白いのは、これもたまたま私が出会った人がそうだったっていうだけで一般論として語るべきではないと承知の上で言うんですけどね、アフリカ大陸出身の方でも、元仏領の国の方は元英領の国の方よりもやっぱり漫画やアニメについてなんらか知っている人が多い印象がある
これはやはりフランス圏で日本作品の翻訳がそこそこメジャーになった(「面白い」と評価する人が多かった)時期が早かったがゆえに元仏領にわりと早い時期に根付いたってな解釈ができとサラマは思うのですが、え、その解釈って違う?
さて、20年前にスペインで断片的に得た偏っている(かもしれない)フランス人の印象。
私のなかでのそれを確たるものにしたのがそこから10年後のパリでのワーホリ生活です
実は、サラマ、パリでは、フランス人のクリエイター5人と郊外の一軒家をシェアして共同生活していたんです
私は百貨店のブランド販売員のアルバイトというそこまでクリエイティブでもない職種だったんですがね。一軒家に入るコネがあってだな。
ある程度フランスについて知ったように言うても許してもらえるかなって思ってるのはこのワーホリにて1年近くもガッツリ同世代のフランス人5人に埋もれてフレンチスタイルの洗礼を受けてたからなんですよね。
この時期ってなかなかに刺激的で、しょっちゅうフランス人が出入りするそのクリエイターズハウスで、訪れるフランス人たちとよくいろんなことについておしゃべりしながら夜を明かしたものでした
もうフランス語とか一切しゃべれないのでびっくりするけれど、この時にはしゃべってたのね。
で、結局は、そういう「なにか創造すること」が好きな住人たちのお友達にあたる人たちですから、ハウスに集うのはわりとアンテナ感度が高いというかプロアマ問わず創造することが好きな人たち、自分の感性で世界をジャッジできる人たちに集約されていくわけです。
フランスには、もちろん、異文化にまったく興味がない人もいれば異文化に興味を持つほどの暮らしを営めていない人もいますよ。
ただ、私の当時住んでいたレイヤーには、異文化や新しいことに興味を持ってなにかを創り出すことを是とするフランス人が多く、というわけでどうしてもフランス人の印象が前投稿で描いたようなものになってしまうのでした。
そんな環境で感じたのは、別に誰しもが特別日本志向ではないけれども、そしてそう思う理由は人によってさまざまだとしても、基本的に「日本はクリエイティブな国である」という意見がうちにくるフランス人のなかでリスペクトとともに概ね一致しているな、ということです。
そして、皆と話せば話すほどに、作品の根底にある文化の違いが、視点の違いや捉え方の違いを生み、ヨーロッパから見たときのある種の斬新さを日本の作品に与えているんじゃなかろうかということを思うわけなのでした。
例えば、私の大好きな大好きな辻邦夫さんの歴史小説『背教者ユリアヌス』
彼を背教者とする意見はキリスト教の立場に立った時のものなのですね(新興で伸びていこうとしていたキリスト教に対し、古くからあるギリシアの価値観を復興しようとしたから)。
これは本っっっ当に面白い小説なのですが、おそらく、欧州の出版業界では、時代によっては出版までこぎつけなかったと思います。欧州の文化基盤がこれを許さない。
こんな珠玉の作品がもしかしたら世に出なかっただなんて可能性を考えただけで私的には「すごい文化的損失じゃない!?」なんて思いますが、ありがたいことに、辻邦夫さんは日本人で、日本の出版社から、日本語で出版しているのでした
宗教に限らず「その国の文化が許さないから」その国では世に出ない、なんていう作品は、特に意識していない私が知っているだけでもそこそこあるんです。
対して、日本はなにかを創造するにあたってストッパーがあまりないというか、ある意味無節操に、善悪のはっきりした文化圏おいて人々に刷り込まれていて無意識的にブレーキをかけてしまう “タブー” みたいなものを軽々越えた作品みたいなのが多い気がするのですよね。
クリエイターが育つには申し分ない土壌だと思うサラマです。
宝石っていうのは希少性である程度価値が決まるところがありますが、日本っていう国も世界から見たら相当希少性の高い文化よ
「人と違う」という感性が評価されるフィールドで戦おうと思ったなら、その舞台が欧米であればあるほどに、日本で育まれた独特で自由な感性って武器になるのではないかと思うわけです。
逆に言うと、感性完全無視でお勉強だけに振り切るんだったら日本で育てなくてもいい気もしますが。
さて、Pちゃんは、そういうクリエイターズハウスに出入りしていた同世代のフランス人の女の子でした
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