花くらべ狸道中 | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

花くらべ狸道中 [DVD]/市川雷蔵,勝新太郎,若尾文子
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内容:後に娯楽時代劇の名手となった田中徳三監督が「狸」シリーズに初参加した時代劇ミュージカル。タヌキの国の大王選挙で、江戸の文福党と阿波の徳島党が激突。党主の代理で江戸に行くことになった雷吉狸と新助狸の珍道中が繰り広げられる。 (Amazonより)


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はい!今週の若尾文子様 は、これまた“狸御殿”シリーズの一作ですねー、

1961年製作「花くらべ狸道中」です! 

監督は「悪名」シリーズで知られる田中徳三、主演は先日の「初春狸御殿」 と同じく

市川雷蔵勝新太郎でございます。<(_ _)>





タヌキの国の大王選挙で、江戸の文福党と、阿波の徳島党が激突。徳島党の雷蔵タヌキと新助タヌキは、有名人の弥次喜多コンビ=弥次郎兵ヱと喜多八に化けて、江戸への旅へ。雷蔵の恋人たよりも彼らの身を案じて後を追う。が、文福党首の娘きぬたは、色っぽい旅絵師お伝に化けて2人の旅をじゃましようとしていた・・・(goo映画より)




ほい、弥次喜多モノをベースにしたオペレッタ喜劇です。


時は江戸時代。任期満了に伴う狸の国の大王選挙が執り行われる事になり、強引なやり口で

勢力を伸ばす江戸狸の文福(見明凡太郎)が次期大王候補として有力視されていた。

しかし手段を選ばない文福に危機感を抱く阿波狸の文左衛門(葛木香一)が立候補を表明、

怒った文福は刺客を放ち、文左衛門は負傷してしまう。

選挙までに江戸の狸御殿に到着できなければ文福が大王になってしまう。やむなく文左衛門

率いる徳島党は、若狸の雷吉(市川雷蔵)新助(勝新太郎)を代理として派遣する事に。

道中では文福党の放った刺客が待ち受けると予想されたが、雷吉と新助は時の有名人

「弥次さん喜多さん」に化けて一路江戸へと向かう・・・ってなお話。



そこに2人(2狸?)の江戸行きを妨害せんと企む文福の娘きぬた(中田康子)や、雷吉を

一途に慕う阿波狸のたより(若尾文子)、同じく雷吉を慕う文左衛門の娘しのぶ

(近藤美恵子)らが絡んで弥次喜多道中記よろしく珍騒動を巻き起こしていくワケですが、

まぁ例によってストーリーはあまり気にする必要はありません(笑)、あくまでメインは

唄や踊りですからね。

ただその点からすると本作には若干不満が残るんだよなー。楽しい唄や踊り、

そして絢爛豪華な衣装やセットといった要素が、いずれも「初春狸御殿」と比べると

いささか地味に感じるんですよね。ゲスト出演者に関しても、江戸家猫八やトニー谷が

カメオ出演していた「初春~」と比べるとコチラはこれといって名前はあがらないし

(歌姫の一人として五月みどりさんは出てくるけどね)、全体的に予算縮小した感は

否めないですね。



主要キャストに関しては、W主演だけあって勝新さんの出番は「初春~」から飛躍的に

増えてます。ドラマ部分では女ったらしのちゃらんぽらん男を演じながら、唄の場面になると

急にシブくダンディーな声になるのがなんか可笑しかったッスw

一方で賢くてしっかり者の弥次さんを演じた雷蔵さんも素敵だったのですが、残念なのは

肝心の若尾さんの見せ場が今回はあまり多く無かった事だなぁ、むしろ喜多さん(勝新)を

執拗につけ狙うきぬたを演じた中田康子さんの方がはるかに見せ場は多かったですよ。

まぁそれでもひたすら純情可憐な娘狸たよりを演じた若尾さんはやっぱり

可愛かったですけれども―♪ :*:・( ̄∀ ̄)・:*:




総評。

京都で池田屋騒動に絡んだり、峠の茶屋で森の石松に遭遇したりと歴史上の人物が

登場するのはなかなか面白かったし、唄も「踊る阿呆に見る阿呆♪」ちゃっきり節など

耳馴染みのある曲が多くて楽しめたけど、やっぱり「初春~」と比べるとちょっと

見劣りするかなぁ。ってか狸御殿シリーズはおそらく本作を最後に、鈴木清順監督が

「オペレッタ狸御殿」 を撮るまで長らく製作されなかったようなので、ボチボチ岐路に

達してたんでしょうねぇ。

ってワケでコチラを観るなら「初春狸御殿」の方をオススメしたいですね。

以上、興味のある方はドゾ。