ダントウボウと同様、この魚もチャレンジ始めてから4年かかってようやく手にすることが出来た。公開情報の提供者の方には感謝に堪えない。

 

今年も恒例の春の本州遠征へ。

 

遠征四日目となったこの日、早朝から岡山県内の某川を訪れた。

 

あちこち探って空振りに終わった後、開始から6時間が経った頃に、ようやく「ここだ!」と言えるスポットに辿り着いた。

 

ヤリタナゴが居付き、カムルチーボラが出たり入ったりしているそのスポットを覗いていると、数尾の、素早く泳ぎ回る魚が入ってきた。

 

すかさずアカムシを投入するが、気付かれず、群は去った。

 

それから4時間、自身の水分補給や周辺を探ったりした後に、スポットに戻って来た。時刻は4時前。そろそろライズが始まってもおかしくはない時間だった。

 

スポットの上流に立ち、水面を凝視していると、来た!上流側から、数尾の群が水面スレスレに泳ぎながらゆっくり下流へ移動している。

 

そのうちの一番下流にいた個体が目の前で水面に波紋を起こした。間髪入れず、そこへアカムシを投入した。

 

使ったのはひなた九尺に繋いだたなご用ウキ仕掛けで、ウキ下は20センチほど、ハリスは4センチほどで、ハリは金袖2号に替えていた。

 

すると、親ウキの下の目印が斜めにスーッと動いた。アワセる。

 

魚の手応え!強い引きの後に引き抜くと、目の前で銀輪が舞った。

 

ワタカではないことを確認し、「釣れたー!」を連呼していた。

 

ついに辿り着いた一尾

 

初めて釣ったカワイワシ、約12センチ

 

初カワイワシ別影。側線のパターンなど、亜科までが同じのワタカに似るが、ワタカよりも鱗が大きい。

 

初カワイワシ俯瞰。背びれは背部の中間よりも後方から始まっているので、表層でゆっくり泳いでいる場合にはオイカワと見分けられそうだ。

 

初カワイワシの腹側。ワタカとは違い、胸びれの付け根付近から肛門にかけてキールが走っていて、英名シャープベリーの元になっている。

 

初カワイワシ近影。眼が大きい。

 

初カワイワシ正面

 

カワイワシは外来魚の一種で、本来の分布は極東ロシアからベトナムにかけての一帯。英名sharpbelly、学名はHemiculter leucisculus。最大全長28センチ強。地味ながらへミクルターの名で観賞魚として日本国内で流通しており、それが遺棄されたのが、岡山に侵入した経路だと考えられている。2013年ごろからネット上で存在が噂されるようになり、2017年の論文により公式に棲息が確認されている。

 

私がカワイワシが岡山県にいることを知ったのは、あるブログの管理人さんが本種を採集したと投稿された記事を読んだ時で、4年ほど前のことだった。

 

それ以降、論文に記載された採集地点とその周辺を探索したものの、それらしき魚影を見たのは一度だけで、ある用水路の小堰の下流の表層に数尾で泳いでいたが、釣れなかった。オイカワだった可能性も十分ある。

 

定着せずにいなくなったのではないかと思い、追うのをやめようかと思っていた矢先、耳寄りな情報を目にし、今回の初物に繋がった。定着しなかったどころか、分布を広げているようだ。今後もモニターしていきたい。