備忘録程度に書いていきます。
Ambisonics(アンビソニック)というのは360度の球体状の音場を再現するための技術で、VRやYoutubeやFacebookで採用された360度動画の音として利用されたりしています。最近ではソニーの360 Reality Audioで採用されています。ソニーのやつは専用のツール(360 WalkMix Creator)が必要なのでここでは除外。
もっともシンプルなのが1次Ambisonicsで、4chのオーディオを使って前後、上下、左右を表現します。Youtubeなどで採用されているのもこのタイプです。
逆に現状もっとも複雑なのが7次Ambisonicsで64chを使用します。
1次とか7次の「次」は英語だと"Order"と書かれており、FirstOrderAmbisonicsとか7thOrderAmbisonicsと記述されます。略語は頭文字から1OA、3OAなど。
種類 | 必要チャンネル数 |
---|---|
1次Ambisonics | 4ch |
2次Ambisonics | 9ch |
3次Ambisonics | 16ch |
4次Ambisonics | 25ch |
5次Ambisonics | 36ch |
6次Ambisonics | 49ch |
7次Ambisonics | 64ch |
リバーブなどの空間処理は、Ambisonics空間内で行う場合と、通常のミックスのようにオーディオからセンドバスで送られたリバーブをEncorderで配置する場合の2種類があります。後者の場合は単純なステレオだと空間に違和感があるので、せめて前後各2ch、上下各2chで合計8chくらいは用意した方が無難かも。
プラグインに関しては以下に羅列。
Ambisonics対応のプラグインは種類が少ないので選り好みは難しい。特にPro ToolsユーザーはIEMが使えないのが痛い。逆にVSTが使えるDAWならフリーウェアだけで結構なことができそうな気がする。
IEM Plugin Suite
定番のフリーウェア。ただしVST2、VST3のみなのでPro Toolsでは使えない。
Dear Reality
こちらもフリーウェア。dearVR proなど、有料の製品も扱っている。
dearVR MICROは単体で完結するエンコーダー/デコーダー。オーディオを立体的に配置するエフェクターみたいなもので、Ambisonicsデータを出力することはできない。昔はAMBEOという名前のフリーウェアだった。
dearVR AMBI MICROはデコーダー。フリーながらかなり高機能で最大3次Ambisonicsまでをデコードできる。出力はバイノーラル(HRTFオプションあり)とBフォーマットのAmbisonics。ヘッドトラッキング機能はさすがに無い。
audio brewers
有料だけど、かなり安い単価でいろいろ揃っている。
SSA Plugins
有料でちょっとお高い。1次、3次、7次とランクを分けてプラグインを販売している。
Noise Makers
有料でちょっとお高い。
Audio Ease
老舗メーカーのプラグインセット。上記のメーカーと同じくらい高いが、こちらは360度動画と一緒に編集できたりする。動画上の音を出したい物体(ヘリコプターとか)をマウスでトレースするとAmbisonics空間に自動でオートメーションを書いてくれる機能とかもある。最大3次Ambisonicsまで対応。