こんにちはー。
最近ホント映画づいています。近畿大学に在学しているので学生料金で観れるというのが大きいです。
今回の映画は中川陽介監督の最新作『コザママ♪うたって! コザのママさん!!』です。公式サイトから宣伝を貼り付けます。
かつて一世を風靡したJK バンド「銀天ガールズ」。時は過ぎ、それぞれが家庭を持つ中で、街起こしイベントで再結成することに。だが、そこには大きなハードルが待っていた!
厳しい現実の中で、夢を追い明るく逞しく生きる女性たちと、それを支える家族と仲間たちの物語。
奇をてらうこともない、沖縄市のコザ地区にある銀天街の日常に取材した映画。銀天街は歴史的事件である「コザ暴動」の舞台から近い場所でもありますが、この映画は全然説教臭くない(ここ大事)。 ハレ=日常のなかの「祭り」=町おこしイベントであるコンテスト、に参加したヒロインたちの心情変化を丁寧な描写で浮き彫りにします。
作品中に80年代の主人公たちの姿が何度か織り込まれているんですがそのディテールの細かいこと。過去と現在が交錯する場面って不自然さが溢れたり、ギャップそのものを逆に売りにするケースもあるんですけど、この作品は本当に自然な日常の風景に紛れ込ませる手法を取っています。これだけ緻密な計算で背景を組み立てているのにその苦労を画面に全くといっていいほど出してない。違和感を感じさせない。それだけでも十分素晴らしい。
民俗学でよく言われますが、日本をはじめ世界の「祭り」=ハレ、は、「日常」=ケと対立する概念ですね。中川監督は「日常」=ケのさびれた商店街である銀天街に生きる4名のヒロインたちにも、「祭り」=ハレの場であるコンテスト会場ではじけるヒロインたちにも寄り添いの姿勢を見せている。監督の愛が感じられます。脇を固めるベテラン陣の演技も良かった。
ここでちょっと #みげか診断 をしちゃうと:
キーボード・ななえ(上門みき) 1:6:3の共感特化。メンバーたちの個性を大事にしつつ、観客へ訴える新曲の作詞作曲もこなす。
ベース・りか(畠山尚子) 1:4:5な「実行者」。街の子供達の居場所づくりに奔走、堅実な経営と演奏を繰り広げる。
ドラム・真澄(新垣美竹) 1:2:7の再現特化。どこまでも安定志向、旦那様にも忠実な「よき奥様」。
ボーカル・由起子(jimama) 6:1:3の創造特化。「歌で生きたい」という信念を持ち夢に向かってひたすら突き進む。
3タイプの特化が集まる、ズバリ売れる組み合わせです(断言)。「銀天ガールズ」は全国的にも有名だった、という設定ですが、この組み合わせならうなずける。だって、創造型と共感型と再現型が組めば、普通では考えられないようなとんでもないパワーが生み出されるのですから。
さて、映画の中盤でヒロインたちにスカウトの話が舞い込みます。それぞれにオシャレをしてプロデューサーとの面談に訪れたヒロインたちですが、プロデューサーがかけた言葉は辛辣なものでした。
「あなたたち、自分の実力わかってるの? シロウトよ。シロウト」
映画を観ている大半の観客だけでなく、沖縄の歴史を知っている方々なら誰でもピンとくるでしょう。
この言葉の真の意味は、平和を望むうちなーんちゅに向けられた「知的でクールな(と思っている)日本人が投げかける蔑視的な発言」です。平和を望む無邪気さをあざ笑い、地政学とか国際政治とか専門用語を繰り出して沖縄の住民の尊厳を値踏みしつづける、上から目線な心無い発言なのです。
家庭に帰ったヒロインたちは、それぞれの家族の前で涙します。くやしい、かなしい気持ちを彼女たちは隠さない。クルミさんはそんなヒロインたちが泣くシーンが一番好きです。等身大の沖縄の姿をそこに見るからです。
やがて、メンバーのボーカル・由起子だけがデビューを果たして舞台に立ち、他の3名は彼女を祝福します。デビューライブを中継するテレビの前で、新曲を歌う由起子を揶揄する男性に、ヒロインたちはこう言います。
「夢を追う人を笑うな」
世界のあちこちで戦闘が沸き起こり、台湾海峡に隣り合わせた沖縄の地で防衛活動が繰り広げられています。沖縄の住民たちの尊厳を掛けた闘いのゴングが鳴り響いていることに、どれだけの日本人が気づいているか。ゴングを聞かないふりをつづける人々の方が沖縄の住民より圧倒的多数を占めていますし、インターネット上での沖縄ヘイトは一向に衰える様子がありません。そんな中でこの映画が封切りされヒットしている現状を、決して過小評価しないでほしい。
映画の最後に「銀天街は本日も営業中」というクレジットが出ます。どうか「沖縄は本日も平和を願っている」というココロの文章も一緒に読み取ってください。
今回はじめて沖縄市のシネマプラザハウスを利用しました。シネマパレットもそうですが、レトロ感覚をコンセプトにした小劇場チックな映画館です。ロビーにカフェも併設されてますよ。また行きたいな。
「銀天街は本日も営業中」であるように、日本のあちこちの街にある小さな映画館もまた元気に営業中なのですね。どうか、かけがえのないそれぞれの人生が本日も平穏でありますように。
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小説「わたまわ」を書いています。
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