【 ナザレ から ベツレヘム への旅 】 | 高山右近研究室のブログ

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監修 右近研究家・久保田典彦
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Q. ヨセフと 臨月近いマリヤは、どうして、ナザレから ベツレヘムまで旅をしなければならなかったのですか。どれくらい 離れているのですか。

 

A. 救い主、キリストは一体、どこで生まれるのでしょうか。

 このことについては、ミカ という預言者によって、紀元前700年も前に、すでに預言されていました。

 

 「 ベツレヘム ・ エフラテよ。あなたは ユダの氏族の中で、最も小さいものだが、あなたのうちから、わたしのために、イスラエルの支配者になる者が出る。

 その出ることは、昔から、永遠の昔からの定めである。」

 

 救い主は、“ ユダヤの ベツレヘムという所で生まれる ”

と預言されていたのです。

 

 一方、キリストの母となるマリヤは、9か月ほど前に、聖霊によって

受胎していることを告げ知らされ、

 お腹の赤ちゃんは、もうすぐ誕生しそうな状態にまでなっていました。

 

 しかし、ヨセフと マリヤの二人は、ベツレヘムから 140㎞ も離れた

ガリラヤの町 ・ ナザレという所に住んでいるのです。

 140㎞ と言いますと、私の住んでいる高槻から、京都 ・ 大津 ・ 草津 を過ぎ、米原 ・ 大垣を過ぎ、岐阜ぐらいになります。

 それ位 離れた所に、今二人は いるのです。

 

 さて、この 神さまのドラマは、どのように展開していくのでしょうか?

 

● その頃、「 全世界の住民登録 ・ 人口調査をせよ! 」 という、

 ローマ皇帝 ・ アウグストからの勅令が出されました。

 

 「 アウグスト 」 というのは、“ 尊厳なる者 ” という意味で、

 最初の ローマ皇帝 カイザル ・ オクタビアヌスに、ローマの議会で

ある 元老院 が贈った尊称でした。

 彼が、この当時の 最初の ローマ皇帝でした。

 

 彼は、この勅令によって、名前 ・ 職業 ・ 財産 ・ 親族 を登録させ

ましたが、その目的は、税金を徴収するためでした。

 

 当時のユダヤは、ローマ行政長官の支配領になっていまして、

 名目上は、ヘロデ王が 彼らの王でしたが、ローマ帝国に従属して

いて、兵役 ・ 兵隊にとられることは免除されていましたが、税金は

納めなければなりませんでした。

 

 そして、その 住民登録を 直接 ・ 実際に進めていったのは、

 ローマ帝国に属していた シリヤ州の総督に任じられていた

 「 クレニオ 」 でした。

 

 シリヤ と ユダヤ の位置関係は どうなっていたのかと言いますと、

 ユダヤ ・ ガリラヤ のすぐ北側、地中海に沿った一帯が シリヤで、

 現在の レバノン も、シリヤ に含まれていました。

 代表的な都市は、新約聖書の 「 使徒の働き 」 に出てくる

 「 アンテオケ 」 や 「 ダマスコ 」 という町です。

 

 当時、シリヤ ・ キリキヤ地方の総督であった クレニオが、まだ

ローマ帝国には属してはいませんでしたが、

 実質 従属していたにすぎない ヘロデ王国内の調査を強要してきま

した。

 

 それで、人々はみな、登録のために、それぞれ、自分の故郷の町に

向かって行ったのです。

 勅令には、“ 自分の一族の所属する町で登録するように ”

との 規定があったからです。

 

 それで、ヨセフ も、ガリラヤ の ナザレから、南へ 約140㎞ 下った所にあるユダヤの ベツレヘムに向かって、旅をしなければならなくなったのです。

 

 ナザレの町は、標高400m くらいの高さの所にある町です。

 かなり 高い所にあった町だということが わかります。

 しかし、ベツレヘム は、更に高くて、パレスチナ中央山脈に属して

いまして、標高775m の丘の上にある町でした。

 

 大阪の 生駒山が 642m、高槻で一番高い ポンポン山が 679m ですから、それよりも更に 100mも高い所にありました。

 エルサレム からは、南へ 8㎞ 行った所にありました。

 

 ベツレヘムは、まさに、山あり谷ありで、山地の中にあった町だったのです。

 ここ ベツレヘムは、ダビデ王の 故郷でありました。

 ダビデ王が、ここで生まれ、幼年時代を過ごした場所でした。

 

 そして、 “ メシア ・ 救い主 が生まれる地 ” として、

 700年前から 預言されていた場所でもあったのです。

 

 ダビデから数えて、ヨセフは 27代め、マリヤは 42代め の家系に

なり、二人とも、ダビデの血筋であったのです。

 

 ヨセフと、臨月が 間近い マリヤは、ナザレから 140㎞ の山道を、

ベツレヘム まで 旅していきました。

 一日 50㎞ 歩いたとしても、3日は かかります。

 

 辛い旅だったことでしょう。

 体が動く度ごとに、今にも お腹の赤ちゃんが 生まれてきそうです。

 

 よく 出産まで、 “ 十月十日 ・ とつきとおか ” と言いますが、

 これでは、早く 生まれてくることになりそうです。

 

 でも、万一、途中のどこかで 生まれるようなことにでもなれば、

 救い主 とは言えません。

 救い主は、 “ ベツレヘムで 生まれる ” と 預言されているのです

から。

 

 「 このことは、昔から、永遠の昔からの 定めである。」

 

  ━━ とまで言われているのですから。