Q. イエス ・ キリスト は、馬小屋で生まれたんですよネ?
A. 多くの人たちが、そう 思い込んでいますが、一体 誰が そんなことを言い始め、
それを又、何の疑いもなく、多くの人たちが そのように思ってしまったんでしょうネ?
よく、「 イエス ・ キリストは、馬小屋 で お生まれになった 」 とか、
「 まぶね に 寝かされた 」 という言い方がされますが、
こういう言い方は、唯一の史料である 聖書には ありません。
● もう いつ、お腹の赤ちゃんが生まれ出るか わからない状態で、
なんとか ベツレヘムにたどり着いた ヨセフと マリヤでしたが、
日も暮れてきています。夕やみが せまってきています。
夜空に星が、きらめき始めました。
しかし、宿屋はどこも いっぱいでした。
ベツレヘムは、住民登録のために、方々から集まって来た人々で、ふくれ上がっていたのです。
ローマ帝国が支配し、人々の往来が多くなった この当時、
各地には、営利目的の宿屋がうまれてきて、旅人のための便宜が
はかられていました。
イエス ・ キリストの語られた たとえ話 「 良きサマリヤ人の話 」 に
出てくる 「 宿屋 」 も、その一つでした。
もともと、それほど多くあったはずのない宿屋は、どこも いっぱいで、
泊まる場所は勿論のこと、出産のための場所さえも ありませんでした。
どこを訪ねても、断られました。
そして、やっと 町のはずれにあった 一軒の羊飼いが 場所を与えて
くれたのです。
ヨセフと マリヤが 落ち着いた場所 ━ そこは、家畜小屋 でした。
その家畜小屋で、マリヤは 月が満ちて、男子の初子 ( ういご ) を
産みました。
幼子は、家畜の臭いの中で、みすぼらしい状態で、人々にも知られず、生まれたのでした。
そして、生まれたばかりの みどりごは、布にくるまれて、飼い葉おけ に寝かされました。
救い主が お生まれになった時、
この家畜小屋にいたのは、マリヤと ヨセフ、そして、手伝ってくれた 何人かの人たちだけでした。
後から やって来る、「 羊飼いの話を聞いた人たちはみな 」 とあり
ますから、マリヤと ヨセフ 二人だけだったのではないことが わかります。
● ところで、イエス ・ キリストが生まれた場所が
“ 馬小屋ではなかった ” ということについてですが、
もともと イスラエル人は 牧羊の民 ・ 羊を飼う民であって、馬の助けを必要としませんでした。馬を使うことがありませんでした。
その理由としては、ここベツレヘムもそうですが、
彼らが住んだ土地は、おもに山地でしたので、馬を使って仕事をするということが なかったのです。
馬は、おもに 戦車 ・ 戦争のために使用されましたから、エジプト人 ・ ローマ人にとっては財産でした。
一方、「 牛 」 は、耕作や脱穀、車を使っての運搬のために使われ
ましたし、屠殺された牛は、食肉としても用いられました。
ですから、家畜小屋 といっても、馬小屋 とは考えられません。
おもに、羊のためのものだったと思われますし、牛などは、近くにいたかもしれません。
「 飼い葉おけ 」 というのは、家畜のえさを入れておく入れ物のことですが、
これも、私たちのイメージとは違って、持ち運び出来るような物
ではなくて、石か しっくいで出来た、据え置きの 箱形のものが普通
でした。
かたい かたい、冷たい 冷たい、石か しっくいで出来た 飼い葉おけの上に、
生まれたばかりの 神の御子 ・ 救い主が、布にくるまれて 眠って
おられますよ!