【 キリストは 馬小屋で生まれた ?! 】 | 高山右近研究室のブログ

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監修 右近研究家・久保田典彦
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Q. イエス ・ キリスト は、馬小屋で生まれたんですよネ?

 

A. 多くの人たちが、そう 思い込んでいますが、一体 誰が そんなことを言い始め、

それを又、何の疑いもなく、多くの人たちが そのように思ってしまったんでしょうネ?

 

 よく、「 イエス ・ キリストは、馬小屋 で お生まれになった 」 とか、

まぶね に 寝かされた 」 という言い方がされますが、

 こういう言い方は、唯一の史料である 聖書には ありません。

 

● もう いつ、お腹の赤ちゃんが生まれ出るか わからない状態で、

なんとか ベツレヘムにたどり着いた ヨセフと マリヤでしたが、

 日も暮れてきています。夕やみが せまってきています。

 夜空に星が、きらめき始めました。

 

 しかし、宿屋はどこも いっぱいでした。

 ベツレヘムは、住民登録のために、方々から集まって来た人々で、ふくれ上がっていたのです。

 

 ローマ帝国が支配し、人々の往来が多くなった この当時、

 各地には、営利目的の宿屋がうまれてきて、旅人のための便宜が

はかられていました。

 イエス ・ キリストの語られた たとえ話 「 良きサマリヤ人の話 」 に

出てくる 「 宿屋 」 も、その一つでした。

 

 もともと、それほど多くあったはずのない宿屋は、どこも いっぱいで、

泊まる場所は勿論のこと、出産のための場所さえも ありませんでした。

 どこを訪ねても、断られました。

 

 そして、やっと 町のはずれにあった 一軒の羊飼いが 場所を与えて

くれたのです。

 ヨセフと マリヤが 落ち着いた場所 ━ そこは、家畜小屋 でした。

 

 その家畜小屋で、マリヤは 月が満ちて、男子の初子 ( ういご ) を

産みました。

 幼子は、家畜の臭いの中で、みすぼらしい状態で、人々にも知られず、生まれたのでした。

 

 そして、生まれたばかりの みどりごは、布にくるまれて、飼い葉おけ に寝かされました。

 

 救い主が お生まれになった時、

 この家畜小屋にいたのは、マリヤと ヨセフ、そして、手伝ってくれた 何人かの人たちだけでした。

 後から やって来る、「 羊飼いの話を聞いた人たちはみな 」 とあり

ますから、マリヤと ヨセフ 二人だけだったのではないことが わかります。

 

● ところで、イエス ・ キリストが生まれた場所が

“ 馬小屋ではなかった ” ということについてですが、

 

 もともと イスラエル人は 牧羊の民 ・ 羊を飼う民であって、馬の助けを必要としませんでした。馬を使うことがありませんでした。

 

 その理由としては、ここベツレヘムもそうですが、

 彼らが住んだ土地は、おもに山地でしたので、馬を使って仕事をするということが なかったのです。

 馬は、おもに 戦車 ・ 戦争のために使用されましたから、エジプト人 ・ ローマ人にとっては財産でした。

 

 一方、「 牛 」 は、耕作や脱穀、車を使っての運搬のために使われ

ましたし、屠殺された牛は、食肉としても用いられました。

 

 ですから、家畜小屋 といっても、馬小屋 とは考えられません。

 おもに、羊のためのものだったと思われますし、牛などは、近くにいたかもしれません。

 

 「 飼い葉おけ 」 というのは、家畜のえさを入れておく入れ物のことですが、

 これも、私たちのイメージとは違って、持ち運び出来るような物

ではなくて、石か しっくいで出来た、据え置きの 箱形のものが普通

でした。

 

 かたい かたい、冷たい 冷たい、石か しっくいで出来た 飼い葉おけの上に、

 生まれたばかりの 神の御子 ・ 救い主が、布にくるまれて 眠って

おられますよ!