【 杉山元夫 ・ 著 「 文化祭 」 】 | 高山右近研究室のブログ

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監修 右近研究家・久保田典彦
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   ~ 仙台領の キリシタン遺跡 ・ 殉教地を巡る ~

● 2016. 9.21(水) 杉山元夫 ・ 著 「 文化祭 」 を 読了した。

 感動した! この感動を どのように伝えたら いいのだろうか?

 このような小説の 存在そのものを、まったく知らなかった。

 今回の、「 全国かくれキリシタン研究会 東北大会 」 で 杉山さんと
初対面し、本を出しておられる作家だ ということを知った。
 “ キリシタン物だったら ・・・・・ ” と 興味を持ったが、そうではなくて、「 文化祭 」 という タイトル だとのこと。

● 私は、フィクションである 小説には、ほとんど 興味がない。

「 髙山右近研究 」 を ライフワーク にしているが、史料 ・ 資料関係のものは、興味を持って どんどん読んでいけるが、「 小説 」 は そうは
いかない。

 ほとんど、取り扱っている題材が “ 罪 ” や “ 悪 ” の世界である。

 殺人 ・ 暴力 ・不倫 ・ 姦淫 ・ 好色 ・ 不品行 ・ 汚れ ・ 不正 ・ いじめ ・ 差別 ・ 魔術 ・ 偶像礼拝 ・・・・・・・

 こうした 罪や悪の世界 ・ 「 十戒 」 に対する破戒 ━━ の姿を、興味深く描きながら、
テーマ として、“ 愛 ” や “ 正義 ” を 追求していっているわけだけれど、

 その程度のことを言いたいために、こんなにも “ 罪悪 ” の世界を いっぱい いっぱい読まされ、頭の中に 不必要なものを いっぱい いっぱい詰め込まれなくても、

 単純に ・ ストレートに ・ 明解に、「 聖書 」 に記されているではないか!

 貴重な時間。余計なことに、多くの時間を取られるのは、モッタイないし、不必要である。
 その程度の 言いたいことなら、
“ 「 聖書 」 で、すべて、間に合っています! ”
━━ というのが、私の スタイル なのですが ・・・・・・・

● 杉山さんに、「 文化祭 」 の本を注文し、送ってきていただいた。

“ いつか 読もう ” と思って 脇に置いてしまうと、読まずに終わることにも なってしまうので、すぐ 読み始めることにした。

 うれしいことに、登場人物が 高校生たち ・ 若者たちである。

 主人公の 五味一生 ( かずお ) ・ 高梨 誠 ・ 青木和子 ・ 小林初枝
  ・・・・・

 高校生たち ・ 若者たちが しっかり 描き出されている小説なんて、他に 思い浮かんでこない。

 映画の 「 櫻の園 」 ( 中原 俊 ・ 監督 ) ぐらい。
 あれは、よかったなあ。 でも、あれは 女子高校の世界だった。

 この 「 文化祭 」 は、普通高校で、しかも、「 文化祭 」 前後の3日間の様子を、上 ・ 下 2巻に、時間進行と共に 描き出されていくという。
 ( 第一部 「 祭りの前夜 」 ・ 第二部 「 祭りの宴 」 )

 映画 「 真昼の決闘 」 を 思い出してしまった。

 あれも、よかったなあ。
 現実の時間と 映画の物語が、同時進行して 盛り上がっていく!
 町の人々の 心の本音が あぶり出されていき ・・・・・
 ハラハラ ドキドキ の 展開と結末。

 この 「 文化祭 」 は、
“ 若者の世界 ” “ 時間と共に進んで行く 三日間の 凝縮された内容 ”
━━ これは、「 小説 」 敬遠の 私でも、期待出来そう。

● 2冊の本を そばに置いて、他の しなければならない仕事の合間をみて、少しずつ、少しずつ 読んでいったが ・・・・・ これは いい! ・・・・・

 杉山さんが、高校の 社会科の先生だったことも あるのだろう。舞台となる 高校の描写も、群像としての 高校生たち一人一人も、生き生きとしている ・・・・・

 読み進む 私が、高校生の世界に入り込み、どんどん 感情移入していく ・・・・・

 私が、“ もう結構 ” と思っている、
 不品行 ・ 暴力 ・ 殺人 ・ 好色 ・・・・・ といった、罪や悪の世界ではない。
 夢や 悩みの中で 揺れ動く、若き 高校生たちである。

 そして、彼らは 悩みながら、真摯に、真理に向き合い、芽生えて
いく。

 進化論 ・ 原罪 ・ 赦し ・ 神 ・・・・・

 最初、少しずつ 少しずつ 読み始め ・・・ どんどん 読み続け
・・・ どんどん スピードアップ し ・・・
いよいよ 終わってしまうのか、と思いながら、ついに 読了。
 満足度 120%

● この感動を、どのように 伝えたらいいのだろうか?

 ある作家が 言っていた。
「 我々が、長い時間かけて やっと書き上げていったものを、
  読者は、わずかな時間で 読み終わってしまう。」

 このような 「 小説 」 の読み方をしたのは、
 ビクトル ・ ユゴー の 「 レ ・ ミゼラブル 」。

 あの時も、困ったなあ!
 明日 仕事があるというのに、やめられず、夜中を過ぎても 読んでいった。
 ここまで! と言って、やめるのが 大変だった!

 最近では、“ 三浦綾子文学賞 ” を 受賞された
 河崎秋子 ・ 「 颶風の王 」 ( ぐふう の おう)。

 「 文化祭 」、超 おススメ! ( Amazon で 入手可能 )

● 実力派の 有能な作家 ・ 杉山元夫さんに、

「 研究されている “ 隠れキリシタン ” を テーマに、
“ キリスト教を あれほど 徹底して 弾圧 ・ 撲滅しないといけなかった権力者 ” の側から、是非、書いていただけませんか? 」

━━ と、リクエスト しているんですよ!