【 右近詩集 「 なでしこの 花 」 】 (18) | 高山右近研究室のブログ

高山右近研究室のブログ

・右近についての、Q&A 
・右近研究こぼれ話 など

監修 右近研究家・久保田典彦
http://takayama-ukon.sakura.ne.jp/


     


       草枯れの まがきに残る なでしこを

       別れし秋の 形見とも見よ


       おろかなる 老の涙の うすければ

       夕日のかげの 大和なでしこ 

 

   http://www.hi-ho.ne.jp/luke852/ukon/sisyuu.html



  ※ 右近詩集 「 なでしこの 花 」 (18)


      ・ 天主堂             ( 151 / 419 )

      ・ 十字釜             ( 173 )

      ・ アブラハム           ( 154 )

      ・ りっぱな信仰          ( 155 )

      ・ ヨナ               ( 159 )


 【 天主堂 】  ※ 加賀乙彦 「髙山右近」の ことばによる

     木の香 かぐわし 天主堂
     十字の しるし 天に摩(ま)し
     聖霊の鳩 飛び交えり
     南蛮渡来の 楽の音は
     バテレン館(やかた)の 屋根越えて
     泉と森に 谺(こだま)せり

     椋の大樹の 下(もと)に建つ
     三(み)つの きざはし 備えたる
     大十字架は 輝けり
     雛菊 薔薇(そうび) 白百合と
     花々 池に 映ずれば
     天国かくやと 思わるる

     春 朝まだき 祝祭の
     十字導く 行列は
     天主堂より 進み出ず
     大群衆の 喜びは
     高槻の里 とよもして
     ゼス ・ キリシトを 讃えたり

     世は去りて また 世は来たり
     河の流れは 絶えずして
     キリシタン また 栄え出て
     天主堂には セミナリヨ
     池に映りし 十字架と
     繚乱百花の 彩りぬ


             【 十字釜 】

         十字架上の イエス ・ キリスト
         愛と救いの 神の みしるし
         十字の釜に 湯気立ち上り
         一服の お茶 心をこめて

         お茶の心の 教えを受けた
         招きし 宗及 宗易さま
         十字の釜に 湯のたぎり来て
         一期一会の 時は満ちゆく

         主の十字架に 心 息吹かれ
         殉愛祈る キリシタン達
         十字の釜に 湯気ゆらゆらと
         喜びあふれ 右近の点前


     


                 【 アブラハム 】

              受け取るべき地に 出て行くように
              召し出されると これに従い
              行き先知らずに 出かけていった
              見えない事実 確信をして

              天を仰いで 星を数えよ
              あなたの子孫は このようになる
              全能の神 主に従って
              全き者と なれますように

              愛するイサク ひとり子さえも
              モリヤの山で 神にささげた
              アドナイ ・ イルエ すべての民の
              祝福となる 信仰の人


        【 りっぱな 信仰 】

      カペナウムの町 百人隊長
      死にかけている 病気の しもべ
      イエスのことを うわさに聞いて
      使いを送り いやし 願った

      主の前に出る 資格などない
      主と話する 資格さえない
      主の御心は その通りなる
      ただ おことばを 与えてください

      主イエスの権威 認め信じる
      りっぱな信仰 主は驚かれ
      願い通りに みことばにより
      病気の しもべ いやされていた


       【 ヨナ 】

   ニネベの町に 向かって叫べ
   彼らの悪が 満ちあふれてる
   主の顔避けて タルシシュ行きの
   船でぐっすり 眠りこむ ヨナ

   激しい嵐 沈みそうな船
   くじに当たって 嵐の海へ
   三日三晩を 大魚(おおうお)の中
   祈りに答え ヨナを陸地に

   「 四十日後 ニネベは滅ぶ 」
   叫び続ける ヨナのことばに
   罪悪の道 悔い改めて
   神を信じる 王や民たち

   一夜で生えて 一夜で枯れた
   とうごま 惜しむ ヨナの心に
   ニネベの町を 惜しむ御神の
   愛の みこころ 注がれていく