バッハ 平均律クラヴィア曲集 | いつも心に音楽を

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クラシックの名曲等やピアノ演奏、音楽理論などを中心に展開。
また、尊敬する若きピアニスト牛田智大さんを応援します。

 

J.S.バッハは「音楽の父」、正確には「近代音楽の父」と呼ばれ、後世の多くの作曲家の作曲技法の礎にもなりました。

 

          

                     

 バッハの作品の多くは、対位法を駆使して作られていました。

 

あるメロディに、うまく調和するメロディを重ねる、、それがうまくいけばまた一つそれらの上、または下にもう一つ重ねる・・・ こういう音楽をポリフォニー(多声)の音楽と呼びます。

(対して、ハイドンやモーツアルト以降の音楽は、ホモフォニー(単声)音楽で、簡単にいうと、メロディは一つで、それに伴奏和声でできている音楽)

 
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フーガは、対位法を駆使した最も高度な作曲法で、最初のテーマを他の声部が違った音程で模倣して現れ、元の声部は対旋律を奏でつつ、全体はテーマの追いかけ合いをしながら進んでゆくもので、2声、3声、4声フーガと声部が増えるに従ってより複雑で高度になります。                             

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 フーガ編曲の面白い例を

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              レディ・ガガ  Bad Romance  原曲

               

 

                    

             レディ・ガガ のテーマによる 3声フーガ 

                 

 

 バッハの鍵盤楽器の作品中、とりわけ有名でかつ重要な、クラシックピアニストが必ず向かい合わなければならない 平均律クラヴィア曲集 第1巻、と第2巻で、ピアノの旧約聖書とも呼ばれている程です。

 

  ※この記事では第1巻をメインに展開します

 

 

 それぞれ24の長調と短調全てで書かれた前奏曲とフーガが一組になっています。

 

前奏曲は、即興的な書法で比較的自由に書かれ、形式も自由なものが多いですが、既に対位法を使っているものもあります。

フーガは、3声、4声のものが多いですが、稀に5声フーガもあります。

 

              

             バッハ  平均律クラヴィア曲集 第1巻 全曲   演奏:アンドラーシュ・シフ

 
 
 もともとチェンバロの為にかかれた音楽ですが、現代、ピアノでフーガを演奏するには指先の神経を、各声部に均等に行き渡らせてかつ別々にコントロールし表現しなければならない、独特の難しさがあります。
ピアニストによっては、どんな超絶技巧の曲を演奏するより難しい・・・とも言われています。
 
 
   第1巻のほうがよりポピュラーで、こんにち頻繁に演奏されますが、第2巻のほうが、音楽的円熟味を更に深めた内容になっています。
 
 
      
 
 
 牛田智大さんは、これまで第1巻の第3番 嬰ハ長調(変二長調)を数多く、第5番二長調を1回、リサイタルで披露されています。しかし個人的にはもっと多くの曲を聴いてみたいと思いますね。

                

 

                   

                  第1巻  第3番  嬰ハ長調

 

 

 第1巻 第1番ハ長調の前奏曲は、のちにグノーがその上にメロディーを作曲し、有名な アヴェマリア となりました。

原曲は声楽ですが、ヴァイオリン、チェロなど様々な演奏形態があります。

                     

                    

               バッハ / グノー  アヴェ・マリア 

 

 

 第1巻を見渡してみると、長調で書かれた前奏曲やフーガは、短調のそれに比して短めのものが多く、楽し気で遊戯的な内容を兼ね備えたものも多いです。

 

短調の作品の中では第4番嬰ハ短調、第8番変ホ短調第20番イ短調第24番ロ短調フーガは大変複雑な構成で、特に充実した内容をもっているとされています。

 

   

                   

              第1巻 第20番 イ短調  前奏曲&フーガ

      

      

 

 バッハの音楽全般がそうですが、平均律クラヴィア曲集もまた現代、新しいジャンル(特にジャズ)の演奏スタイルや編曲でも親しまれています。

 

 

                    

             第1巻 第2番 ハ短調  前奏曲&フーガ           

                        ↓

                       

                  

            第1巻 第2番 ハ短調 フーガ 

               スウィングル・シンガーズのジャズスキャット

  

 

 平均律クラヴィア曲集   に刺激を受けて 後世の作曲家によって書かれた代表作に、ショパン有名な24の前奏曲があります。フーガこそありませんが、24の長調短調全てで書かれている前奏曲集である点、ショパンのバッハへの尊敬が感じられます。

他にも、ショスタコーヴィチ24の前奏曲とフーガが、明らかにバッハのこの曲集へのオマージュにもなっています。       

 

 

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 月刊ショパンの表紙を久々に飾った牛田さん、巻頭インタビュ記事も5ページと充実していましたね。

 

海外での演奏会も増えてきてるとはいえ、国内のコンサートが今年は少なめかな?と思うので、今後はこれまでのように国内コンサートの充実と併せて、世界でも活躍して頂きたいです☆