現代音楽の低迷 | いつも心に音楽を

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クラシックの名曲等やピアノ演奏、音楽理論などを中心に展開。
また、尊敬する若きピアニスト牛田智大さんを応援します。

 

クラシック音楽の長い発展の歴史の末・・

 

中世~ルネサンス期、バロック、古典派、ロマン派を経て 20世紀、近代音楽に入り、その後のクラシック音楽はどうなっているでしょう?

 

19世紀末以降、後期ロマン派、さらに近代と進むにつれ、ハーモニーはモダンになってゆき(不協和音が拡大し)、リズムも複雑になり、メロディも美しさのみの追求はかなり難しくなってきました。

 

     
 

 

20世紀も半ば以降の、現代の純粋クラシック音楽作品の実態はどうなっているのでしょう?

 

芸術音楽であるクラシックは、常に新しい表現を開拓しなければならない運命にあるのか、様々な手法が取り入れられてゆきます。20世紀初めから、ドビュッシー、バルトーク、ストラヴィンスキーなどが、次々新しい技法で、これまでに無い斬新なサウンドの作品を発表していきました。

  

 決定的なのは、調性のない音楽 無調音楽の登場

 

シェーンベルク(1874 - 1951)が 十二音技法という画期的!(と見るか不幸と見るかは人それぞれですが)な手法、作曲技法を発表。

十二音技法は、音楽をある種数学的・机上での考え方から導き出しだと言えます。

 

 

 下の曲を初めて聴かれて、すごくいい!感動する! と感じる方

どのくらいおられるでしょう??                                 

 

         

            シェーンベルク  6つのピアノ小品 から

 

現在、アカデミックな音楽の世界では、調性がはっきりして、メロディ、ハーモニーが美しい音楽など幾ら作曲して発表しても、それは時代遅れの音楽と見なされ、もうたいして見向きもされなくなってゆきました。

 

いびつで強引な例ですが、牛田智大さんのデビューの年、「リヒテンシュタイン展」のテーマ曲、こういう曲を今のアカデミーの場で発表しても、たぶん・・只の過去の音楽の焼き回し(?)として扱われるでしょう←ってゴメンナサイ牛田さん。

        

         

  どこかでショパンやリストを理想?として作ったと書いておられましたが、

現代のポップなフィーリングも感じられますね。

     

 

20世紀初頭 ジャズが、1950年代にロックが登場し、音楽の世界は大きく変わります。クラシック以外の新しい音楽があっという間、にエンターテイメント性と商業ベースにも乗りつつ、多くの人々の心を掴んでゆきます。

 

 かたや伝統的なクラシック音楽では、1930年以後  ラヴェルの「ボレロ」、ストラヴィンスキーの「春の祭典」あたりを最後に、歴史的な名作、大ヒット作と言われる作品はほぼ生まれなくなってゆきます。 

              

 

                   

           大部分が無調の形ながら、大ヒットとなった「春の祭典」   

           (最後の部分)

                     

 

                    

                      現代音楽大家メシアンの大作 トゥーランガリーラ交響曲から

           調性を僅かに残してはいます。

 

 

 これは一体何ですか? という感じの音楽が続々登場・・・

 

 

                   

             ジョージ・クラム という方の作品から

              
                  

 

                   

             ベリオ   ♪シークエンザⅢ

                 

                  

 

                    

ジョン・ケージ  「 4分33秒」  

 何と!奏者は 4分33秒間、何の演奏もしません・・!!

 

前衛音楽の巨匠 ジョン・ケージのこの曲(?)は、究極の表現を突き詰めたら音楽はどうなるのか、を哲学的にも示してしるような・・。     

         

                   

                    

                   スティーヴ・ライヒ ♪The Four Section  これはちょっとイケそう?

 

 スティーブ・ライヒ(1936 -  )が、ミニマル・ミュージック というくり返しを基本とする新しい手法も試み、その後テクノミュージック等に相互に影響を与えたりしますが・・ 

         

 

         

 

   皮肉なことから人気を得ている現代音楽作曲家 新垣隆さんの作品中でも、完全な無調音楽作品には、どうも人気は集まってないそうです。 

 

 こうした現代の純芸術音楽・前衛音楽は、こんにち演奏会が開かれることは極めて稀です💀

 

権威ある作曲コンクールで1位を獲得した作品でも、発表(初演)されて、もう以後二度と演奏されない作品も多いそうです! 聴衆が極端に少ない(殆んどいないと言っていいレベル)のでは、お金になりませんしスポンサーも付きません。

 

 

現代ではクラシックの技法を学んだ作曲家の方々の多くは、映画音楽、テレビドラマやCM音楽、ミュージカルなどの作曲、また編曲業で事実上の仕事をされています。これらの方々のうち、本当に求めている 純粋芸術表現の前衛音楽作品は、アカデミズムのサークル的な場で、マニア的に語られ紹介されているのが現状のようです。

 

   

    

 

人の心を打つ音楽はと? と素朴に考えれば、無調が主流となっている現代音楽が、ほんの一握りの人にしか支持されないのは仕方がないでしょう。

最も、こうした前衛音楽のようなものから、ジャズやラテン、民族音楽など広く取り入れた、刺激的だが親しみのもてる現代音楽 も徐々に増えてきて、幅は広くなりつつあります。

 

 今のクラシック音楽シーンは、再現芸術の場となり、演奏家は過去の偉大な作曲家の優れた作品たちのみを、くり返し演奏し続けている・・・ 新しい作品が次々演奏されるような現象は、ほぼ無いですね。

それでも、エンターテイメント性も忘れてない意欲的な現代音楽の存在には、もっと光が当てられる事を♪

 

 

因みに最近の牛田さんは、クラシックは伝統芸能的な所があると思います。とコメントしていますが、過去の偉大な作品の再現・伝承のみでは、いま一つ寂しいかな、と個人的には思います。所謂、伝統芸能にも新しい要素(前述の のような音楽ジャンルの演奏等々)を積極的に取り入れていって欲しいと思います!

 

 (15日:記述の一部を整理・改訂 )

 

 

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 3月14日、牛田さんはデビュー6周年を迎えられました。

 

厳密には6年前のこの日、デビューアルバムがリリースされたことになります(^^♪

 

 

       

         この写真は ちょうどデビュー1周年頃のものになりますが・・☆

 

 

 小学6年の終わりに、日本人最年少クラシックピアニストとしてデビューされ、演奏力の他にも愛らしい容姿、驚く程丁寧な所作・言葉使いなどが人気で、テレビでもよく取り上げられていました。とても幸運なデビューと言えます。

 

あれから6年、プロピアニストとしての弛まぬ努力と探求心で、これまで数多くのコンサートで多くの支持を得続け、アルバムも6作リリース。

今月で高校を卒業されますが、これからの進路がいよいよ気になるところですね!

 

     

      

 

 

 広く世界へも羽ばたいていって、より多くの人達を感動させるピアニストになって行かれる事を!!

 

 次のアルバムも期待しています!