女性作曲家について | いつも心に音楽を

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クラシックの名曲等やピアノ演奏、音楽理論などを中心に展開。
また、尊敬する若きピアニスト牛田智大さんを応援します。

 

クラシック音楽の歴史を見渡すと

不思議なことに、有名な作曲家って見事にみ~んな男性ですよね。

何故なんでしょうか? 

 

歴史的には、

19世紀、ピアニストでは活躍した女性がけっこう居たようです。クララ・シューマンなどはその代表格ですね。がしかし、「職業」にしてた方達は男性に比べたら明らかに少なかったと言われています。男性と互角にその数が存在し、立派に仕事ができたのはおそらく声楽家くらいでしょう。


       
 

 

ヨーロッパでも、19世紀になっても未だ、女性が社会で活躍することはあまり見られなかったなかったという歴史的事実があります。

 

音楽以外の他の芸術、画家などももちろん、文学・小説の世界に至るまで、有名な作家は圧倒的に男性が多かったのです。そもそも女性が職業を持つという考え方が極めて珍しかったのでしょう。

 

 

 女性作曲家(有名ではなくても)について、音楽史の中で興味深い人を探ってみましょう。

(女性作曲家がウィキペディアで一応整理されてますので、興味ある方はどうぞ)

 

 

 メンデルスゾーンの姉ファニー・メンデルスゾーンは、弟と共に早くから大変優れた音楽的才能を示した人で、歌曲・ピアノ曲を中心に多くの作品を残しているそうです。しかし今日、それらが演奏される機会はまだ稀なようです。

 

メンデルスゾーンもまた姉を大変慕いながらも、女性が作品を世に送り出すことに、抵抗感を示していたと言われています。

 

           

                   メンデルスゾーン姉弟

 

           

 19世紀の最も優れたピアニストの一人だった クララ・シューマン( -1896)。作曲家としても早くから優れた才能を示していて、ピアノ曲を中心にかなりの数が残されています。しかし、当時は女性が作曲家になることは、はしたない などといった風潮があり、その為か彼女は後半生をピアニストとして専念する事となりました。               

 

         

              クララ・シューマン  3つのロマンスから第3曲

 

 

ピアニスト伊藤恵さんは、クララの作品もよく演奏されている事で知られています。今後、彼女の作品がもっと取り上げられられるといいです。

 

 

 クラシックの世界で、この1曲で知られている女性作曲家がいますね。

乙女の祈り のバダジェフスカ(1834?  -1868   ポーランド  ).

 

     

 

この方(近年再評価されてるそうです)、他にもピアノ曲を、小品ばかりですが書いてますが、専門家の間では、それらの完成度がアマチュアのレベルを超えてないことに頻繁に触れていました。(「乙女の祈り」自体、玄人筋では評価の低い曲でしたから・・) 若くして亡くなっているので、まだ楽しみな才能だったかも知れませんね。

 

         

              牛田智大さんも、この方の再評価に大きく貢献?

 

 

         

          バダジェフスカ    叶えられた祈り  

             どこかパターン化された感はありますが・・・

 

 

      

 20世紀初めから、音楽教育者として活躍し、多くの優れた音楽家を世に送り出した、フランスの ナディア・ブーランジェ(-1979  彼女も作曲家でもありました。)の妹、リリ・ブーランジェ(1893 -1918 )は、早くから驚異的な音楽的才能を示し、作曲の他ピアノはもちろん、ヴァイオリン、ハープも達者に演奏した神童でしたが、クローン病に冒され、僅か24歳で亡くなっています。同時代のドビュッシーなどの影響を受けつつ、優れた書式で高度に洗練された作品を残しました。

 

 

                   

                     ヴァイオリンとピアノの為のノクターン  この感性の素晴らしさ!

              

 

                   

         交響詩「哀しみの夜に」  亡くなる年に完成されました。

         とても前衛的で、かつ洗練されてます。

 

ローマ賞・音楽部門(フランスの若手芸術家への勲章。かのラヴェルも受賞を逃しています)を初めて受賞した女性でもありました。彼女がもう少し長生きしていたら、間違いなく女性(初?)の大作曲家となっていたでしょう。

 

 

 

 アメリカのエイミー・ビーチ(1867-1944)も、早熟の天才的な女性作曲家でした。その作品はこんにちまだ演奏会で取り上げられる機会は稀なようですが、アメリカでは当時から初の自立した一流女性作曲家として、多くの尊敬を集めていました。

 

 

20世紀に入り、女性作曲家は徐々に増え始めました。が、作品、作風は、男性作曲家に比べ、交響曲やオペラのような大作がとても少なく、歌曲やピアノ曲の割合が多いのが特徴的です。これについては、一般に創作面で男性のほうが構築性に優れているのに対して、詩的、情緒的な面を女性はすぐれて発揮しやすいのでは、とも言われています。

  

        

              エイミー・ビーチ  ロマンス

 

 

こんにち女性作曲家はとても増えてきていて、日本でも映画。ドラマ等の音楽で知られる大島ミチルさん、加羽沢美濃さんなど、多くの方が活躍されています。

 

また、昔では考えられなかった女性指揮者も、日本での草分けの松尾葉子さん以来、西本智美さん、牛田さんと一昨年共演した三ツ橋敬子さんなどが登場してきています。

 

       

 

 

現代、女性の社会進出が急速に進んできてる中で、特に音楽の世界では実力さえあれば、男性とほぼ対等に仕事ができる時代になりましたね。

 

 

 牛田さんにも女性作曲家たちの隠れた秀作、個人的にはクララ・シューマンやリリ・ブーランジェの作品などをいつか披露して頂きたいな、と思います。