調性について | いつも心に音楽を

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クラシックの名曲等やピアノ演奏、音楽理論などを中心に展開。
また、尊敬する若きピアニスト牛田智大さんを応援します。

 

音楽、厳密には西洋音楽(クラシック、ジャズ、ロック、ポップスなど)にはそれぞれ調性があります。

12種類の長調(メジャー・キー)12種類の短調(マイナー・キー、計24種類

 

 

 

   調性と調号(wikipediaより引用)

 

 

 

音楽史的には、バッハが「平均律クラヴィア曲集」を発表したことで、平均律(難しいので説明は省きます)の楽器(鍵盤楽器)で24の調を均等に、自由に演奏できるよう確立した事が、今日まで続く画期的な音楽のシステムとなったようです。

 

 もっとも、20世紀以降になると調性自体がはっきりしない音楽、また現代では調性が全く無い音楽も多く登場しています。クラシックの世界の新しい作品には、特にこの傾向が強いようです。

 

  無調音楽の小品   ウエーベルン ピアノのための変奏曲から

 

 

 

ともあれ、音楽のこの調性というシステムはいろいろと面白いものです。

 

皆さん、カラオケ行かれますか? その時、自分の声域に合わせる為、キーを+1高くして、とか-2低くしてとか・・

あれは悪く言えば曲の元の調性を無視してる行為なんですよね・・

 

クラシック音楽では、作曲家が考えた曲の調性を伝統的にとても尊重するすし、それを容易に変えたりは、編曲などの場合を除いて殆んど無いようです。

 

ポピュラー音楽では、歌手の声域によっていとも簡単に別の調に移してカヴァーしたり演奏されます・・それはそれで面白いものですが。

 

 

 またクラシック音楽では短調の曲が、とても上手く作り出されてる気がします。

  長調に比べ、明らかに暗く、寂しい感じがしますね。

長調の曲を短調にアレンジすると、とたんに暗く、悲しい感じになるの、おわかりでしょう。

 

 

   メンデルスゾーン:結婚行進曲を短調に

 

 

    色んな行進曲を短調で弾くと・・

 

 

モーツアルト長調で大半の作品を書き続けていましたが、数少ない短調の曲は特に大傑作ばかり。

 

ロマン派の作曲家たちは、短調を、燃え上がる情熱とか悲哀、感傷、不安などをを表現する為に好んで使いました。しかし曲の最後には歓喜や勝利を表すよう長調に転じている事が多いように思います。(交響曲や協奏曲、ソナタなどの最後はたいてい長調で曲を結んでいるようです

 

 

そして、長調、短調のそれぞれ12種類の中にも、

違った味わいがあると言われていますし、調によって色を感じるという方もけっこう居るそうです。

 

古今の作曲家は、各調性による雰囲気の違いや色彩までも熟慮の上、調性を選んで作曲を進めていくと言われています。

 

 

    吉松隆さん

 

 以前、題名のない音楽会で、作曲家吉松隆さんが、調性と色というテーマについて語っおられ印象的でしたが、吉松さんは、このテーマで面白い本も出しておられます。

 

 

 

 

 

    ハ長調のクラシックの名曲

 

 

僕も個人的にこの感覚を少し持っていて・・

ハ長調は白、灰色、堂々としてるがどこか薄味、ニ長調(パッヘルベル・カノン、第九・歓喜の歌、威風堂々etc)はスカイブルー、晴れ渡る空、変ホ長調(ピアノ協奏曲「皇帝」、華麗なる大円舞曲、「木星」中間部  etc)はオレンジ色、夕日、一番ロマンティックな長調?、へ長調(交響曲田園、トロイメライ、弦楽四重奏曲「アメリカ」etc)は黄緑、やすらぎ、変イ長調(英雄ポロネーズ、愛の夢、フィンランディア etc)はピンク系・・影のある明るさ。

ハ短調(交響曲運命、悲愴ソナタ、革命のエチュード、チゴイネルワイゼン etc)は赤、ワインレッド、深い悲劇性、ホ短調(ショパン・ピアノ協奏曲1楽章、モルダウ、新世界交響曲、禁じられた遊び etc)は枯葉の色、穏やかな感傷、イ短調(トルコ行進曲、エリーゼのために、グリーグ・ピアノ協奏曲 etc)は薄い紫、一番悲劇色が少ない短調 ・・等々

そんな感じを受けることが結構あります。

 

 

他にも、曲の調性によって色やイメージを感じられるという方はぜひ教えて下さい!

 

 

         

また、♯系の調は、硬い表情、明快な表情をもっている、それに対して♭系の調は、柔らかい感じ、柔和な表情を持っているともよく言われます。

 

 

楽器の機能の制約として、ジャズや吹奏楽では主に金管楽器(トランペット、サックス等)の特性上、♭系の調の曲が圧倒的に多いようです。

 

 

牛田智大さんはピアニストですが、音楽家ですから、好きな調性とか必ずあると思います。

 

牛田さんがデビュー1年目に作曲した(初めて作ったそうですね)あの曲♪

 

  遥かなる時をこえて

 

この曲は変ロ長調。牛田さんが敢えてこれを選んだのか個人的に興味深いです☆ 

ピアノ曲では多いほうの調で、クセのない素直な明るさが特徴かな。

 

彼は今ではきっと、変ニ長調の穏やかめな曲(雨だれ、小犬のワルツ、パガニーニラプソディ18変奏、月の光etc)を弾いてると最も心が落ち着くのではないかなと、、想像してるんですが・・違ったらスミマセン牛田さん・・