上原氏追悼の意味でシャリバン35話見る。
前半で魔怪獣との戦いが終わる、このシリーズにしては異例の展開。後半は戦いで深傷を負った伊賀電が昏睡状態の中で見る不思議な夢の描写に費やされる。
スポンサーの力が強かったことが傍目にもありあり判るこのシリーズで、よくぞこんな異例な話をやれたものだ。吉川氏の上原脚本への惚れ込みようがうかがえる。

夢の中で、伊賀電は荒野を歩いている。やがて分かれ道にさしかかる。道標が立っている。片方は「生の国」、もう片方は「死の国」を指している。「死の国」は美女が舞い踊り、ご馳走や酒もあって楽しそう。伊賀電はフラフラと「死の国」に踏み入れ、美女が差し出す酒を飲みそうになるが、そこで「自分の星を再興する」という己の使命を思い出し、酒を振り払って「生の国」に向かう。(ここで「死の国」の美女の正体は悪霊だったことが明かされる)
伊賀電がやって来た「生の国」は、道も無い、ゴツゴツした岩だらけの崖を登っていかねばならない厳しい場所。「やめたほうがいい」との声が聞こえるが伊賀電は崖を登り始める。そして頂上で光をつかむ。その時、昏睡状態から目覚めるのだった。

「人間の使命」を描いたこの話は上原の人生観が色濃く出た話とみている。「生きることは、道も無い、険しい崖を這い上がっていくようなもの」と、番組を観る子供たちに説いている。また、自身のライフワークと定めていた沖縄小説を、病と闘いながら完成させた、上原自身の晩年を予見した作品にも見える。
今日は上原の七回忌。『宇宙刑事』は随所に上原の人生観が刻まれた作品だった。新作の『宇宙刑事』も、それくらいの覚悟で作られる作品となるか? 注目している。











映画『駅STATION』
大好きな映画で、もう何度も見ているが、またDVDで観返した。とりわけ好きな「桐子」の章だけ。年末年始が舞台となってるので、この時期観るのがふさわしい章。
今回は今まで気にも留めてなかった箇所が気になった。英二(健さん)が雄冬から増毛に戻り、桐子(倍賞千恵子)が船着き場で出迎える。そのまま札幌に帰る英二を桐子が増毛駅に送ってくる。待合室で話す2人。桐子が言う。「あたしもこのまま札幌まで行っちゃおうかな」。英二が答える。「来たっていいぜ」。桐子が言う。「ウソよ。あたしはしつこくしない」。
それでその会話は終わるのだが、ここで英二は「来たっていいぜ」じゃなくて、そんな桐子に判断を委ねる言葉じゃなくて、もっと強い言葉、「一緒に来てくれ」とか、何なら桐子のぶんの札幌行き切符も買っちゃうとか、そういうハッキリした態度に出るべきだった。そうすれば、英二と桐子は、札幌でであろうが雄冬でであろうが、きっと一緒に幸せになれたと思う。英二はあそこで強く出るべきだった。

ホントに書いてもしょうもないことを書いてしまった(笑) でもこういうふうに、人生で取り返しがつかない一瞬て、あるよな。それを描いてる点でも、やはり『駅STATION』は優れた映画である。

ブラック・ジャック「めぐり会い」手塚治虫
秋田書店公式サイトで無料公開されてるので久々に読んだ。手塚氏の凄さを再認識。傑作。ブラック・ジャック(以下BJ)に夢中になっていた中学生の頃は、BJが難病や難手術を鮮やかに解決するいわば“活劇編”にシビれていたが、歳を食った今になると、こういう“しっとり編”が心にぐっと染みてくる。
若き日のBJの“恋バナ”が明かされる。28ページ。いつもは20ページだから増ページ回ということで手塚氏も気合が入ったのだろう、入魂のドラマが描かれた。(調べたら連載50回記念作だった。掲載1974年。)
(あらすじ)
ずっと会ってなかった旧知の「男」と再会するBJ。「男」はBJが連れているピノコを見て、結婚したのかBJに聞く。(この時の「男」の表情が絶妙!)
ピノコの計略でBJは席を外す。ピノコは「男」から聞き出す。「男」の「妹」がBJの恋人だったという。
医学生時代BJは同窓である「男の妹」を密かに愛していた。「妹」も「冷たい男」と嫌われるBJの秘めた優しさに気づき(BJがモルモットにエサをあげている一コマの上手さ)BJに惹かれていく。(BJの愛情の示し方が最高に二枚目的でステキ。これならどんな女も落ちるだろう。手塚氏こういう描写も神ワザ的に上手い)
しかし悲しい運命が待っていた。「妹」は子宮癌になってしまう。BJはまだ研修医だったが「妹」の手術を自分一人で行なうと宣言、「妹」の子宮と卵巣を摘出することになる。手術前、2人だけの手術室。BJは「君が女であるあいだに言っておこう」と愛を告白。2人はキスを交わす。手術は成功した。
いま、「男」は船医として世界じゅうを周る人生を送っている。出港していく船を見送るBJだった。
(感想)
愛する女性を「女性でなくする」手術を自ら執刀するという過酷な運命。回想劇として描くことで人生の味わいが深みを増して描かれる。BJ中でも屈指の名編だろう。
「ジョー」の白木葉子もそうだが、昔の作品にはこうした「一度だけの告白」がよく出てくる。やはり最高のドラマが生まれるシチュエーションだから。
これだけの傑作を描いたのに読者アンケートで「ドカベン」や「マカロニ」に負けたら手塚氏もそりゃ悔しいよね。手塚氏の新作が毎週読めたなんて何ともゼイタクな時代。
今の時代だったら、この作品も「摘出手術による影響の扱いが大雑把過ぎる」などと批判されてしまうのだろうか? これを読んでそういうことを言い出す人とはあまりお近づきになりたくないですね。




今日2025年12月20日(土曜日)は、東京ドームにある野球体育博物館で行なわれた、NPB主催のイベントに行ってきました。

野球の学校2025 公式記録員が教える「NPB式スコアの付け方」教室(中級編)

講師はNPB記録部長・山川誠二さん。定員30人が満席で受付終了になってました。私はたまたま野球体育博物館のHPを見ていて気付き早く申し込めたのでセーフでした。参加費は2400円でNPBスコアブック付き。(スコアブック無しなら1100円)。野球体育博物館入館料800円が別途必要。
スコアつけを愛好する人がたくさんいるとわかって嬉しかった。しかも、私と同じく、「NPB式の記録法が早稲田式よりカッコいい!」と考える、いわば「同志」がこんなにたくさん。もう少し定員多くしてもいいのでは。
重要なことは、「どう書くか」の表記法もさることながら、それ以上に、NPB式であれ早稲田式であれ、どういう情報を紙の上に残すか、という点にあります。(記録に関する野球規則を頭に入れないと、書いて意味のあるスコアを付けることはできない)そしてNPB式、早稲田式の両者を比較した場合、よりスッキリと記せるのがNPB式、という点が私がNPB式に惹かれる理由です。
公式記録員の方の話を聞いてると、ホントに記録のことをよく考えてるなぁと感心させられます。まず見かけないケースについてもきちんと検討している。私もスコアつけるの好きですが、当然ながらプロ記録員の方々にはとてもかなわないと感動します。今日も感動して帰ってきました。とても勉強になった1日でした。またスコア教室が開催されたら行きたいと思います。




■2025年12月19日(金曜日)は横浜の、ぴあアリーナMMに、矢沢永吉さんのライブを見に行った。チケット取りは激戦で、ファンクラブに入ってないが、何度も落選しながら、しつこく応募し続けたら、運よく取ることができた。約16000円(手数料込み)。17時開演。19時終演。
■3階の後方席だったが、もともと後ろの方でゆったり見たいと思ってたので、逆にラッキー。しかもほぼ正面席。
■完全なニワカファンで(熱狂的ファンの方すみません)、有名な曲しか知らないが、それらはほとんど聴くことができた。特に「アイ・ラヴ・ユー、OK」。直前の武道館公演のセトリに無かったので聴けて僥倖。「時間よ止まれ」は聞けなかったが。
■白スーツ姿のファン多数。(注・白スーツは矢沢氏のアンコール時の衣装)カップルで白スーツ姿の方も。観客はすべて高年齢者。みなウキウキした顔。いい大人がいい意味で「ガキに戻っている」。微笑ましい光景。歳を食った方々にわざわざ足を運ばせる矢沢氏の偉大さを痛感。若い客を呼ぶより難しいと思う。矢沢氏は76歳。ずっと憧れの存在であり続けることも至難の業だろう。
■バラードとノリノリ曲の配合も絶妙、プロの構成力を感じた。
■とても楽しかったので、来年も切符が取れたらゼヒ行きたい。

■私が生で見たアーティストリスト
■自分でチケット代払って見た人々
チェッカーズ、アブラーズ、鶴久政治、藤井フミヤ、サザンオールスターズ、串田アキラ、渡辺宙明、冬木透、片桐麻美、矢沢永吉、ポール・マッカートニー

■仕事の関係でタダで見た人々
高杢禎彦、中島みゆき

■見たかった人々
八代亜紀、アリス、西田敏行、井上堯之バンド

■見たい
クレイジーケンバンド
『一私小説家の日乗 野性の章』西村賢太
角川書店、単行本・2014年初版、
本体1600円。ブックオフで860円で買った。再読。

また西村賢太の本を読んでしまった。この「日乗」シリーズ、来月(2026年1月)角川文庫から未文庫化の分が3冊合本という形で刊行される。持ってなかった分が多いので非常に有り難い。これが売れれば続刊もあるだろう。期待したい。
読んでて感じるが、これは全力疾走の記録だね。西村は仕事、酒、メシ、フーゾク、ケンカ、藤澤愛、やりたいことすべて全速力で行なってた。そりゃ早死にするわ。物凄い飲酒量に物凄い食事量が命を縮めたのは明らかだが、西村にとっては良い作品を書くためにはどうしても必要な「ストレス解消」であり「エネルギーチャージ」であったようなので、暴飲暴食と言っては失礼で西村も不本意であろう。やはり西村は「真っ白に燃え尽きた男」。命を削って書かれた彼の作品群はいずれも素晴らしい傑作。
飲み会が悪口大会になったとよく書いているが、必ず「悪口を言っていたのは自分だけ」と付記している。同席の編集者に迷惑がかからぬための配慮。こういうとこ西村はちゃんとしている。
田畑記者と仲良しだったようで微笑ましい。田畑氏が羨ましい。
私が愛したウルトラセブン メモ

一部だけ再見。やはり面白いドラマ。

突然のアクシデントが発生、TBSの三国プロデューサーが、手下の新人脚本家・石川を連れて局から円谷プロ文芸部室に駆けつけてきた場面。「昼飯ヌキで飛んできました」という三国に、上原が「何か取りましょうか」と聞く。三国が「天ざる」と頼む。石川も「僕も同じ物を」と言う。
台本では、「天ざる」ではなく「ざるそば」となっていた。これは「天ざる」への変更が正解。三国の押しの強さ、テレビ局と円谷プロとの力関係、石川の図々しさが、この変更によってよりクッキリ描かれることとなった。

その後、脚本打ち合わせのシーン。上原が三国らに向かって自作「300年間の復讐」のシノプシスを読み上げる。金城も初めて聞く内容。聞いていた金城(演・佐野史郎)の表情がサッと変わり、(こいつ、沖縄を書きやがったな……)という目で上原を見る。(注・画面はグループショットのまま)
台本では、ここに金城についてのト書きは一切無い。この佐野氏の演技が、佐野氏の独創か、菅野監督の演出か、それともホン読みの席で市川氏が指定したのかは不明だが、台本の意図を最大に膨らませたシーンとなっている。
番組開始時の脚本打ち合わせで「他人の星」「300年間の復讐」が俎上に上るのは事実に即してないがやむを得ないだろう。最も市川らしく、また上原らしい脚本であるから。

このドラマの出来が良すぎたがために、「脚本家たちは円谷プロ作品に自分の秘めた思いを込めていた」という見方が必要以上に定着することとなってしまった。
三国プロデューサーにモデルはいないと思われる。こんなトンチンカンな指示を出すTBS側プロデューサーは現実にはいなかったようなので。
『晩夏 少年短篇集』井上靖
中公文庫。2020年初版。中公文庫オリジナル編集。こういう本を編集する仕事が、本好きの人にとっては一番楽しい仕事かもしれない。

■少年を主人公とする短編集。少年特有の心理が描かれた作品を集めている。「あんたこの気持ちわかるだろ、あんただって元少年のハシクレだもんな」と微笑む靖先生の声が耳元で聞こえるようである。少年世界の物語なので大事件は起こらないが、小出来事に巧みに意味を込めてくる。淡い、つかまえにくい気持ちを描いて上手い。さすが靖先生。
■思い過ごしを描くことも多い。これも靖先生がよく書くパターン。この人が描く恋愛もそうだけど。「思い過ごしも恋のうち」と言うやつだ。
■収録作品中でも傑作は、家庭で厳格に振る舞い威張っている父の、愛人との逢い引きを意外な形で目撃してしまう「黙契」、大好きな姉が恋をし駆け落ちを計画してることに気づき密かに妨害してしまい、後悔の念に囚われる「白い街道」、村に現れた見知らぬ青年に、隣村の美女への連絡役を頼まれる「ハムちゃんの正月」。やはり男女問題が絡むと靖先生の筆は冴えに冴える。
他に、かつて隣村で華やかに行われていた草競馬、その英雄だった男の運命が一瞬で激変する「馬とばし」、苦労して中学の入学試験に合格、生活が苦しい中せっかく買ってもらった制帽を無くしてしまう「帽子」、主人公の家を訪れるたびになぜか物を壊したり騒ぎを起こしてしまう友人の想い出「魔法瓶」も印象に残った。

井上靖面白い。今後はこの人の作品だけ読んでいてもいいかもしれない。
『蝙蝠か燕か』西村賢太 (再読)
■完結した作品としては西村最後の小説。最晩年の心境が語られ、間近な死を予感していたような記述もあり、今となっては自らの人生を回想・総決算するために書かれているかのように読めてしまうフシもあり、意図せずして「最後の小説」にふさわしい内容となっている。実はこの人、「死に時」を心得た、「生き方の達人」だったのではとさえ思わせる。
■『西村賢太殺人事件』を読んだのでこれを再読した。『…殺人事件』を読んだ上で再読すると面白さが倍加して感じられる。『…殺人事件』は格好の副読本といえよう。西村は『蝙蝠か…』で、小林氏に対し愛想が尽きていたように書いてるが小林氏は『…殺人事件』で西村が自分に未練たらたらだったように書いている。こういう所も面白い。
■「秋恵もの」終了以降の西村の作品を読んでいると「何のために生きる?」あるいは「何のために書く?」について繰り返し言及しており、その真摯さ、自己への厳しさを見ていると「梶原イズム」の影響を非常に感じる。西村は世代的にはギリギリ梶原世代といった生まれ年(1967年)。日記やエッセイなどでは梶原氏に言及してないが、実際はどうだったのか非常に気になる。

http://www.hosojin.jp/kaihou/35.pdf


池中玄太80キロに関する貴重な文献を発見しました! これは貴重です!

というかこのイベント、絶対見に行きたかった! 何をボンヤリしてたんだオレは!(悔い)