全国野球場巡りの旅の続き。

 

■今回の旅の計画決定までの経過■

金木球場と藤崎球場は以前から存在を把握していたが、試合日程がつかみにくい球場で踏破できていなかった。金木は社会人軟式でも使われる。しかし青森軟式野球連盟にはホームページが無く、試合日程をつかめない。青森の軟式チームの中には、チームのHPに大会組み合わせ表を載せるチームがあり、そこも小まめにチェックしてたが、大会直前になってのアップが多くて対応できず、踏破できてなかった。そんな矢先、青森のリトルシニアの県春季大会で、この両球場が使われる場合があると見つけた。(ちなみにこの大会はリトルシニア東北連盟のHPにも載らない超マイナー大会)そこでこの大会で両球場を狙うこととし、青森県内のリトルシニアチームのHPを重点的にチェックしてきた。すると今年の大会は4月20、21日に開催されると判明。この時期は硬式高校野球のブロック大会と重なるので、硬式高校で使わないマイナー球場でリトルシニアは大会をやるはずと踏み、まずはバスのチケットを抑える。続いて、頃を見て、大会を主催する東奥日報社に電話。両日の使用球場を教えてもらう。20日は金木、21日は金木と藤崎と聞き「YESッ!」と叫ぶ。こうしてやっとこさ旅の日程が決まったのだった。あとは両日の好天を祈るのみ。一時「21日が雨」との予報が出たが、やがて両日とも雨の心配は無くなり、安心して旅に出た。

 

2024年4月18日 木曜日

明日から3連休なので旅に出た。心配事はあるがクサクサしてても仕方ない。

20:40 板橋の自宅出る。

20:50頃 板橋駅からJR。運賃230円。

東京駅に着いて、売店でオニギリとコーヒー買って食す。

21:00 鍛冶橋駐車場より夜行ツアーバス。運賃5000円。

金曜夜のバスは高いので木曜出発にした。

4列シート。最前列で隣空席。前も広々としていてゆったり寝れた。ラッキー。

 

2024年4月19日 金曜日

08:14 弘前駅前着。予定より16分早着。

駅近の「すき家」で牛丼中盛580円食う。

続いて弘前市図書館までゆっくり歩く。9時過ぎに着く。東奥日報見る。明日から、この新聞社が主催する中学硬式野球大会の選手名鑑が連載されている。見る可能性がある5チームの名鑑をノートに書き写す。これでいちおう選手名は把握できる見込み。

特撮関連本の品揃えが妙に充実している図書館。写真集『ウルトラマンの現場』(小学館、2016年)見る。スタッフが私的に撮影した撮影現場スナップなどを集めた本。こんなものまで商品化されるんだから「ウルトラマン」てスゲエよな。他に昭和期の「仮面ライダー」のメイキングが詳細に掲載された分厚い本『仮面ライダー1971~1984』(講談社、2014年)も見る。ライダーにはウルトラほど興味が無いのでパラパラと。『怪奇蜘蛛男』の台本が採録されている。まあ読んだことある台本だが。台本の記述が細かい。伊上氏の才能が満ち溢れた傑作台本。あのショッキングな名セリフ「誰もが最初はそう思う!」は台本にちゃんと書かれてある。ただしこのセリフを叫ぶように言う形で演出したのは竹本監督。台本に「!」は付いてない。なんて細かい部分をチェックして愉しむ。誰か伊上氏のシナリオ集出してくれ~。出すのがファンの心意気だろが。

他に野球雑誌も読む。あと居睡り。

19:00 閉館とともに図書館出る。近くの弘前公園は桜の名所で、ちょうど満開の時期。夜桜見物に向かう車で道路は渋滞。東京の桜はもう終わったので、また桜を見れて、これは野球旅の余禄である。

コンビニで弁当食って、歩き続ける。

20:01 ネカフェ入る。弘前来たらいつも使う店。22時を過ぎると満席となった。明晩は気をつけよう。

 

2024年4月20日 土曜日

04:00 ネカフェ出る。8時間ナイトパック(オープン席)950円。

少しづつ明るくなり始める空。完全防寒着を持ってきたので寒くなし。コンビニで食料買い、コーヒーとパンで朝食。もう慣れた道を歩く。

04:45 弘前駅着く。

05:40 弘前駅からJR。運賃510円。車窓見つつ、今日の計画。今夜も弘前泊りなので弘前に戻る予定。2022年に弘前来た時に気に入った古書店にまた行くぞ。文学全集の井上靖の巻(なんと100円!)を買い逃したので今回こそ買うのだ。全集といえば、西村賢太は藤澤清造の全集出すのが夢だったんだよな。電子書籍の時代に、なにが全集だよ、時代遅れもはなはだしいよ、バカだよ西村は……でも俺も、若い人がサッカーだバスケだって言ってる時に、野球で、しかも球場巡りだぜ……俺のほうが完全に時代遅れだよ……でもまあ俺は、時代にスイスイ乗ってる奴より、時代遅れの奴のほうが好きだったりするんだよな……などとつらつら考えるうちに、

06:24 五所川原駅着く。跨線橋渡り、津軽鉄道のプラットホームへ。

06:35 津軽鉄道乗る。運賃560円、金木駅まで。これはすごいローカル鉄道。(注 中泊球場行った時に終点まで乗ったことあり)切符も懐かしい硬券。車体前面に「祝優勝 尊富士」のボードが付いてる。そうか尊富士は金木の出身だ。車両内には同じ文言の中吊り広告も。あと珍しいのは、車両内に本棚があり、本を借りられるようになっている。駅でこういう文庫を見ることはあるが車両内文庫は珍しい。好感の持てる鉄道だが「津軽鉄道はまだ大丈夫 そう思っていませんか?」とのコピーの、支援金を募るポスターが貼ってある。経営は苦しいみたい。頑張ってほしいものだ。

06:55 金木駅で下車。駅にも「祝優勝 尊富士関」の大きな張り紙有り。金木で何か美味いもの食おうと思って構内に貼ってあるグルメ紹介を見ると「激馬かなぎカレー」というのが美味そう。「うまい」と「ウマ」をかけたネーミングも面白い。馬肉入りか。隣駅の芦野公園駅で食えるらしい。球場は二つの駅の中間地点にあるので、帰りは芦野公園駅まで歩き、カレー食うことにする。金木駅から30分歩いて球場。

 

金木町運動公園野球場。若干掘り下げ型である点と、ネット裏席が長イス席と芝生席の併用式になっている点が珍しいくらいの平凡な球場。観戦したのはリトルシニアの県内大会。最終回二死走者無しから逆転劇という珍しい試合だった。場内アナウンス有り。パンフあるが販売無し。通算1130球場め。

08:49~10:38 試合。審判員名の漢字表記を審判さんに確認させていただいて踏破完了。10:45ごろ球場出て歩き出す。

11:20ごろ 芦野公園駅着。知らずに来たが芦野公園は桜の名所。満開とあって見物の人々や屋台で賑わっている。旧駅舎が「駅舎」という店名の喫茶店となっており、そこで念願の「激馬かなぎカレー」(1000円)食す。あと「太宰ブレンド 昭和の珈琲」(650円。金木は太宰治の故郷)も飲む。いずれもとても美味。田舎の喫茶店だからと見くびっていたがお見それいたしました。

 

12:46 芦野公園駅発の津軽鉄道乗る。電車は桜並木の間を走り出し、多くの観光客が、車両が桜の間を走り抜ける様を撮影している。芦野公園駅のホームは「桜のトンネル」と呼ばれ、尊富士の化粧まわしにデザインされたことから全国的に有名となり、にわかに超人気観光スポットになっているという(翌朝付の東奥日報の記事より)。図らずもそんなホットなスポットで人気電車に乗るという「ベタな観光」をしてしまった。朝は時代遅れの男気取りでいい気になっていたくせに(笑)。

 

津軽鉄道で五所川原駅に戻り(運賃650円)、JRに乗り継ぎ。14:33~15:21JR乗車。運賃510円。弘前駅まで。

駅で少し休んで、狙っていた古書店へ。2年前に買い逃した文学全集の井上靖、まだ売れ残っていて100円でゲット。他に有吉佐和子と井上靖の単行本も100円で買い、あと筒井の文庫本180円、新潮文庫『キネマの天地』(山田洋次、100円)と「野球狂の詩 8巻」カバー無しを50円で買う。他にも買いたい本あったが旅先で荷物になるので買えず。もう弘前に来ることはそうそう無さそうなので残念。

駅まで戻る途中に大きなスーパーがあり、そこで1000円ほどのパック寿司買う。駅前のコンビニでビール買い、駅前ベンチで飲み食い。なにか道行く人々に目を背けられてる気がするがw、かまわず愉しむ。「野球狂の詩」読む。短編5本全て傑作で5打数5安打。この頃の水島さんスゲエな。

弘前駅から30分ほど歩き、

20:10 昨日と同じネカフェ入る。満席寸前。危ない危ない。

 

2024年4月21日 日曜日

04:06 ネカフェ出る。8時間ナイトパック・オープン席、料金1060円。

04:38 弘前駅着く。コンビニおにぎりとコーヒーで朝飯。

05:40 弘前駅からJR。運賃210円。

06:00 藤崎駅で下車。待合室で休憩。07:05から歩く。30分歩いて球場。

 

藤崎アップル球場。

観客席無し、バックスクリーン無し、場内放送設備無しと、「球場」というより「グラウンド」な感じ。しかしこの球場を紹介するサイトに「ホームランがリンゴ畑に飛び込む球場」との一文があるように、周囲をリンゴ畑に囲まれているユニークな球場なので来てみたかった。

この球場のウリはもう一つ、センター後方に雄大にそびえる岩木山の眺め。まるで富士北麓球場のようだ。しかしそのせいでかどうか不明だが、球場の向きが変則的。太陽光線が飛球捕球の妨げとなる。岩木山を外野後方に置くために球場をこの向きにしたのだとしたら、プレーする選手にしてみたら、いささか無理があったかも。

観戦したのは昨日と同じ大会。場内アナウンス有り(仮設の装置による)、パンフあるが販売無し。

試合は昨夏のリトルシニア選手権で全国ベスト4の青森山田が圧勝するのではと予想していたが、意外にも2-9で惨敗。競争の厳しさを物語る。

08:52~10:49 試合。通算1131球場め。

 

試合後、歩いて藤崎駅に戻り、駅近くのスーパーへ。

またパック寿司買って店前のベンチでビール。すっかりセンベロ野球旅になってしまった。

13:10 藤崎駅に戻るが電車が17時近くまで無い。全席指定席の快速電車ならあるが指定席料金がかかるので乗らない。待合室で寝る。

16:49 JR乗る。運賃330円、五所川原まで。

17:18 五所川原駅着く。駅近のローソンでカップうどん食う。また待合室で寝る。

21:00 五所川原駅前から夜行バス。運賃8000円。4列シート。隣いた。木、金、土曜とまともに寝てないので車内でよく寝た。この弘南バスの夜行は昨年9月にも同じ便に乗ったが、途中で猛烈にトイレ(小便)に行きたくなり、止まる予定でなかったSAに急きょ止まってもらうという大失態を演じてしまったバス。今回は迷惑をかけることなく乗れた。でも乗務員の感じが悪いのは相変わらずだった。

翌07:06 東京駅新バスターミナルで下車。6分遅れ。

07:16 東京駅からJR山手線。運賃210円。

07:40 池袋駅で下車。

 

今回の旅のMVPは「弘前、芦野公園の満開桜」。

東京の桜とは咲きっぷりの元気さが違う気がした。名所の桜はやっぱり違います。