短編『捜査圏外の条件』松本清張

16年ぶりの再読。

ネタバレあります。

「流行歌」には「流行年」という切離し難い特性がある。それは人体でいえば「指紋」のようなものである。清張先生は流行歌のこの特性に着目、「流行歌によって年月が特定され、それが犯人の命取りになる話を書こう」とまず着想したと思われる。その「詰め手」を最大限に生かすために、犯行実行まで年月を空ける犯人、転職までして遠くに引っ越す犯人、等の道具立てはあとから逆算して考えていったと思われる。それらの道具立てが大げさであればあるほど、流行歌の流行年という「ちっぽけな事柄」により犯人と被害者が一気に結びつけられてしまうダイナミズムが大きな反動と共に生じてくる。結果、「完全犯罪瓦解もの」として理想的な作品が完成した。
小説『白い闇』松本清張

ネタバレあります。

16年ぶりの復読。16年前はあまり感心する出来でないと感想書いてる。やはり16年前も馬鹿である。伏線ビッタビタ、まるで小久保監督の采配が次々的中するホークスの試合を観るような快感がある。さすが短編集巻頭作に選ばれるだけのことはある(新潮文庫『駅路』)。
読者に先を予想させない(最重要容疑者が犯人でない可能性の保持)。ページをめくる手を止めさせない。西村賢太も親しい人には清張先生を「天才」と評してたようである。
この作品、今の若い人の目には古典としか映らないかもしれぬ。だけどそう言ってバカにして見過ごすにはこの「必勝黄金パターンの快感」はあまりにもったいない。しかもこれはその「黄金パターン」が産み落とされた作品なのである。
この作品は映像化難しいだろう。クライマックスの舞台が真っ白な濃霧の中だから絵にならない。
最近ショート動画ばかり見て読書の習慣をすっかり失なってしまった。それで習慣を取り戻したくて面白い本を読もうと清張先生を選んだ。期待通りだった。
■松井秀喜新監督が巨人ナインに初訓示する映像を見たが、ソフトなムードだった。あれで選手がビシッと動くか心配。ホークスの戦力をもってしても優しい監督の下では勝てないのがプロ野球の厳しさである。松井監督には成功してほしいと願っている。成功者なのに人々の妬み嫉みを買わない。「アンチ松井」って居ない。これは松井氏の人徳でこんな人は松井氏しかいない。正直監督やってほしくなかった。
■テレビ東京『世界!ニッポン行きたい人応援団』という番組は2026年11月2日、ゴジラ大好きなスペイン人女性を来日させる内容。国内各地のゴジラ像や東宝本社・スタジオ内部、初代ゴジラに関する貴重な資料(絵コンテ、オキシジェン・テストロイヤー現物など)を見れた特撮ファンには有り難い内容(ゴジラ新作公開に合わせての企画)。それはいいのだが奇妙だったのは番組中、円谷英二の名が一切出ず。本多猪四郎も同様。伊福部昭は出てきた。これは『ゴジラ』を扱う際は英二、本多の名は出さないでというのが東宝の意向なのか? 今後ゴジラを製作するうえで伊福部メロディは不可欠だが英二、本多は不要だし。英二不在のゴジラ番組は大いに不思議だった。東宝だって企業だからそういうこともあるだろうが。
福島県須賀川市は英二の故郷で「英二の生涯を朝ドラにして町おこししようと動いている」というニュースをたまに見るが、もしも東宝が協力しないとなると朝ドラ化はなかなか困難であろう。

■サンモニが巨人の話題を扱ってコーチ陣の名前は出すのに松井秀喜の映像や名前は一切出さないことが野次馬衆の話題となっている。以前フジテレビが大谷翔平を怒らせたことがあったが同じようなことが起きてるのか? サンジャポは松井新監督を扱ってるのでTBSがダメというわけではなくサンモニだけが扱えないようである。松井は寛容な人物と知られるがその松井がNG出してるとしたらこれは相当なことをサンモニはやらかしたのか? それともNG出してるのは巨人か? 今週発売の文春が楽しみ。また、上原浩治が「投手コーチ就任の打診があったが断った」的な発言をしたようだが、そういうことバラされたら実際コーチしてる人からしたら面白くなかろう。これは上原らしからぬ失投なのか? 文春さん、これについても詳報お願いします。

■ちばてつやさんが亡くなって、『あしたのジョー』に関する書き込みがSNS上で多し。しかし『ジョー』をアニメ版で語る人が多いのにはいささか驚き。これが世代間ギャップか。アニメ版もそりゃ頑張ってるとは思うが、ちばさんのあの繊細なタッチの魅力の前には比較にさえならぬと思うが。特に『2』はジョー、葉子、紀子の顔が綺麗過ぎて大人っぽ過ぎて縦長過ぎてノレない。あの顔は世界観に合ってないのでは。やはり『ジョー』はちば版ですよ。中には原作にないアニメオリジナルエピソードを持ち出してちば氏を讃えてるヒトまでいるが、これにはちば氏も「そこはワシ関係ないんだよな〜」と苦笑なさっているのでは。


第4戦は前田悠が先発。初回佐野に先制2ランされたが5回途中までこの2失点だけで踏ん張った。5回のピンチは鈴木豪太が締める。6回からはヘルナンデス、オスナ、松本裕、杉山が無失点リレー。
打線は4裏、栗原敬遠の後の山本祐大の2点三塁打で同点(山本ってホントよく打つな)、柳田のタイムリーで逆転(この時横浜はまた内野手を大きく右に寄せる極端なシフトを敷いていた。第3戦で大きな効果を上げたシフト。柳田は構わずまたセンター方向に打った。遊撃手のグラブ弾き安打。第3戦シフトのせいで中前安打2本損したのにまたセンターに打つ柳田の強情さには感服)。6裏また山本祐大が犠飛で4点め。4-2で勝った。
この試合の一番の感動ポイントは2点リードの8表、小久保が松本裕を登板させたところ。1、2戦で牧、筒香に本塁打され自責点4(1人でチーム全失点)。第3戦はベンチ入りしなかった。この状況で松本裕を今日登板させるのは「この試合松本裕にくれてやる」くらいの度量が無いと出来ない。小久保の肝っ玉には感心する。今日の松本裕は球は1、2戦の時のほうが良かったと思うが無事抑えて雪辱した。小久保が去年の日本シリーズで打てない栗原を最後まで我慢して五番で使い続けたのを思い出した。松本裕登板時、客席からも大きな声援が上がった。みんな松本裕を信じてるし好きなのだ。
両軍打線に最後まで火が着かなかったシリーズ。横浜投手陣が良かった。ホークスは少ない点を取り合う展開に慣れている。それで勝てた気がする。

早くも来年の話。
ヘルナンデスが抜けるらしい。メジャー行き。藤井が戻ってくればこの穴は埋まるかもだが(年齢的心配は有り)、ヘルナンデスのパワフルな投球が見れなくなるのは寂しい。杉山は防御率がよくない。とてもじゃないがクローザーの数字じゃない。来年は抑えをめぐり苦労する年になるかもしれない。代役候補はチーム内には見当たらない。松本裕か。
今年苦労した先発ローテは、モイネロ、前田悠、松本晴、上沢、大津は確定。あと1枠を上茶谷とか大関、今年ドラフトでたくさん取った大学生勢で争う。広島の森下をFAで取るとのウワサも。
正木は来年が勝負の年。2年続けて活躍できたら本物。
来年は柳田、今宮のダブルラストイヤーになるのか。そこも注目。
■ちばてつやさんが亡くなった。骨髄異形成症候群のため。87歳。
■『あしたのジョー』『紫電改のタカ』『のたり松太郎』『蛍三七子』『ひねもすのたり日記』が好き。
■ちばさんの漫画には、『ジョー』におけるサチのようなワンパク女の子がよく出てくる。この女の子の成長した姿が、『ひねもすのたり日記』に出てくる「奥ちゃん』のような気がしてならない。
■ちばさんの一番すごい場面はどれだろう、と考えたが、やはり『ジョー』のジョーと紀子のデートの場面かなと思う。この場面は原作に無く、ちばさんが加えた場面ということが知られている。梶原原作にこんな的確な挿入出来る人他にいない。西と紀子の結婚式もたぶんちばオリジナルと思う。さらにはホセ戦の試合前、葉子がジョーの控室を訪れたり、最後グローブを葉子に渡すくだりも梶原原作に無いのでは?と推測している。原作原稿はほとんどが廃棄されており真相を知ることは出来ないが。
■『あしたのジョー』は、梶原氏とちば氏の「試合」だったんだなと思う。梶原氏の原作にちば氏が的確なカウンターを撃ち返し、見事な「試合」として完成している。梶原氏が作った「骨格」にちば氏が「肉」を与え作品は屹立した。こんなすごい2人は今後現われないし、ましてやその2人が組むなんてことは絶対あり得ないだろう。
■最後の『ひねもすのたり日記』の熟達した味わい。漫画技術を極限まで磨き上げ、ちば氏自身こそ真っ白に燃え尽きたのではなかったか。あの「ビッグコミック」ラスト4ページは次は誰がやるのか。弘兼か。イヤ江口にやらせろ江口に! それなら単行本買います。イヤ本が出るほど原稿たまらねーなw

ちばてつやさんについての七月鏡一さんの証言。貴重な話なので保存。もともとは七月さんのXにおける記述。


以下転載。


今日はちばてつや先生に「あしたのジョー」の長年疑問に思っていた点についてお答え頂き、更に私の解釈をお話しすることが出来た。ポンと肩を叩かれ「そこまで深く読み込んでくれて嬉しいです!」と言って頂いたので、「死ぬまでに実現したい事」リストの一つが埋まった。

確かめたかったのはこれなのです。世田谷文学館の特別展で見た「あしたのジョー」の原画。西と紀ちゃんの結婚式の回。彼女の目の下にあるホワイトによる修正痕。これは果たして涙を一度描いてから消したのかどうか?

ちばてつや先生のお答えは「描いてるうちに涙は流してない方が良いのではと考えて修正した」と言うものでした。ホワイトの修正は印刷物では消えてしまいますが原画には残ります。私はそういう部分にこそ創作者の試行錯誤の足跡が残っていると考えています。

つい先程発表された文化庁による「漫画原画やアニメのセル画」の収集事業の意義の一端はこういう部分にもあると思っています。

大発見って言ってくれる人がいるけど、ちがうんだよ。前々からこの修正痕のことは原画の展示を見た人の間では知られてて、もしかするとちば先生がこれについて既に語っているかも知れないけど私はそれを知らないもんで、今回直にお聞きすることが出来たというそんだけのお話なのですよ。

原画の保存ってしばしば高精細なデジタルデータ化って手法がよく取られていて、美術品という観点からはそれは正解なんだれど、一方でその時に省かれてしまう修正痕や青鉛筆の書き込み等にも実は価値があるんです。そういう部分にも目を向ける保存事業であって欲しいなと思っています。


漫画家のちばてつやさんの訃報を受けて、SNS上では代表作『あしたのジョー』のある場面に注目が集まっています。


話題となっているのは、主人公・矢吹丈(ジョー)と親しかった紀ちゃん(紀子)が、マンモス西と結婚する場面です。


結婚式でジョーは「まあせいぜいしあわせになってくれや!」と祝福。一方、ウエディングドレス姿の紀ちゃんは、言葉を飲み込んだような“無言の表情”を浮かべています。


紀ちゃんはかつてジョーに想いを寄せており、このシーンを改めて見た人たちから「このエピソード、大好きでした」「ジョーの心にも紀ちゃんに対するモヤモヤがあったのだと思います」「痛々しいシーンですね」といった声が広がっています。


さらに、紀ちゃんの目元に残された“修正跡”にも注目が集まっています。


漫画原作家の七月鏡一さんは10月28日、「初めて読んだ時、この紀ちゃんの微笑みが怖かった」と振り返りながら、世田谷文学館の展示で見たこのシーンの原画を添えた2024年6月の投稿を改めて紹介。


その中で「彼女の目の下にあるホワイトによる修正痕。これは果たして涙を一度描いてから消したのかどうか?」とちばさん本人に確認したというエピソードを明かしていました。


七月さんは「ちばてつや先生のお答えは『描いてるうちに涙は流してない方が良いのではと考えて修正した」と言うものでした』と説明しており、SNSでも「貴重な創作秘話」と驚きの声が寄せられました。


また、漫画家の森川ジョージさんも2021年、紀ちゃんの表情などに関してちばさん本人に尋ねたという同様のエピソードを投稿していました。


ちばさんの表現手法について「女性の決意をなんとも言えない無言の表情にします」と説明し、その理由について「わからないから描けない」「わからないものは自分の安っぽい憶測で描くより読者に答えを出してもらう」というちばさんの言葉を紹介。ちばさんの手法や表現に対して、森川さんは「背筋が凍りました」と感銘を受けたと明かしていました。



ちばてつやさんに関する森川ジョージさんの証言。いい話なので保存。もともとは朝日新聞の記事。


以下転載。


 ちばさんは優しい、とみなさん口々に言います。その通りです。けれどおそらく、漫画についてはものすごく厳しかった。

 ある日、ちばさんと食事に行ったときのことです。ちょうど僕は「はじめの一歩」の、一歩が負ける場面の下書きを描き終えていました。


 「一歩が今度負ける」と話したら、ちばさんに「それ、まだ決まっていないよね?」と言われました。いえ、もう下書きを描きました、と返すと「まだペン入れていないでしょ、担当編集者に渡していないでしょ。じゃあ、まだ分からないよ」。


 ゾッとしました。ちばさんは最後の最後まで、考え続けるのだなと。「マンガはガマン」が座右の銘のちばさんらしいとも言えるかもしれません。


■日シ第3戦はまたも劇的な試合。0-1の9裏二死二塁から牧原大が抑えレイノルズの直球をライト前に同点タイムリー。ライナー性の打球。牧原大さすが中村晃の愛弟子。この場面は二塁ランナー栗原を二死になってから代走イヒネに代えていた小久保采配が実はお手柄。小久保は第2戦9表にも山川を代打に送り同点ホームランが飛び出すなど神采配炸裂中。牧原大は3安打。1、2戦でバントミスしたマイナス評価を完全払拭。延長10裏正木がサヨナラホームラン。先発し6回1失点の松本晴はもはや左のエース。軽く投げてるように見えて速球キレあり。これをドラ5で獲ったスカウトは殊勲甲。日シ初出場のイヒネが好走塁。ホークスの層の厚さよ。9裏先頭打者で栗が二塁打。これもさすが。みんないいぞ! ホークスは「このメンバーで負けるならしゃあない」と思えるチームになった!

■第3戦は、横浜の守備シフトがズバズバ的中し普通なら安打コースの打球が併殺打に変えられダブルプレーをたくさん取られた。あのまま負けてたら、とてもイヤな負け方で、シリーズの流れが一気に逆流するところだった。横浜はよくあんな大胆なシフトを敷けるな。その覚悟の座りようがたまらなく不気味なチームだ。

■これで3勝0敗となり、いくら何でももう大丈夫と思いたいところだが、過去何度もそういうところから痛い目に遭っている。まだまだ油断しません。前田悠第4戦で決めてくれ!

■両チームとも打線が爆発しない。投手戦がずっと続いてる。投手戦好きなオレにはたまらんシリーズ。第1戦から3試合連続延長戦は史上初。横浜打線を抑えれてるのは投手の頑張りもあるが山本祐大からの情報が大きいんだろう。