マイナスをゼロに、高性能は人に優しい【276】広島から2年半越し! | 「うえしまクリニック」〜縁の下の整体師〜

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20年弱、サスペンションとセッティングに明け暮れて、いつの間にやら職人と呼ばれるように。

コンプリートセットアップしてこそクルマは変わります。

2022年9月。フリーランスとして起業しました。
足回り調整屋さんです。



12月19日


今回実走現車合わせセッティングに来られたのは、NA8フルチューンのTAKAYOさん。


なんとはるばる広島から。


この車輌は大阪大東市のオートショップCar'sさんの力作。



 

 


・2,000cc 168馬力(tcf1.0)つまりシャシダイ(tcf1.25)で200馬力くらい


・ハルテック制御


・AT車輌をMT換装


と、とんでもない額のお金が注入されてる。




そして脚は2020年6月にCar'sさんに送ったFLEX改。


エンジンは凄いのにどうしてFLEX改なのかというと、デフをメンテナンスコストの低いトルセンデフ仕様にしてるから。


トルセンデフでイン掻きを抑えるとなれば、あまり高いレートの脚は使えない。


ただ、うえしまとしてもこんなパワーのある車輌でFLEX改が事足りるのかの心配はあった。


なのでこの2年半、ずっとTAKAYOさんがセッティングに来るのを待ってたのだ。


やっとそのマッチングが診れる事になって嬉しい!!






というわけでTAKAYOさんとも初対面。


ようやく逢えましたね。


クルマはとても綺麗にまとまってるが、ちょっと気になるのはリヤの車高。


あれ?FLEX改ですよね? なんでこんなシャコタカなんすか?車高自分で上げました?




「いや別に車高は上げて無いんですが、巷で評判のGENさんのFOSを入れたんですよ。そのせいで少し上がってますね。」


なるほど。アレを買ったんですか。それはなんだか嬉しいです。




現在大評判のGENさんのフリクションオフセットスペーサー。


そもそもはGENさんがうえしまに「ウチのリヤダンパー寿命が短い」と悩んでる話を聞いたのが発端。


スプリングアッパーシートを付ければ解決するがアッパーマウントの厚みが増えてしまうのでシャコタンしずらいが、

側圧がダンパーロッドに結構掛かってるので悩んでると。


「あー、ロッドの側圧言うか、シャコタンするとアッパーマウントとダンパーの位相差がキツくなるからバネが曲がりながら伸縮してるからですよね。




例えばホラ、ロードスター界隈にはアッパーマウントスペーサーって、アッパーマウント厚くしてシャコタカにするパーツがありますやんか。


アレをハスに切った様なモノ作ってアッパーマウントとボディの間に挟んだら改善するんと違います?




ボクは10年以上昔にそこの角度の位相差に着目してネタを思いついてはみたんですけど、


どのくらいの角度が必要なのか、

どこに製作を頼んだらええのか、

ロット制作の費用がいくら掛かるのか、

装着によりどの程度の効果が出るのか、

それに付随する諸問題がどれだけ出てどう解決したら良いのか、


その辺浮かばなくて諦めてたんですよ。


もしGENさんやるんでしたら【GENさんのネタ】でええですよ。ちょろっと開発協力者として名前だけHPに書いてくれたら嬉しいですけど。


という話をしてたんですわ。


その後GENさんはそれをメチャクチャ頑張って製品化し、効果もバッチリで大評判に。


うえしまも陰でニコニコするという感じで現在に至ると、そーゆー訳なんです。



ただやっぱりシャコタンしたい(ダンパー全長短くしたい)所に厚みのあるモノを挟む。


しかもロードスターはレバー比が(NAは1.33/NBは1.4)あるので、意外に車高が上がってしまうんですよね。


車高を下げてると余計にそれが目立ってしまう訳です。


今回はそれをなんとか吸収して、こちらはこちらでFLEX改の真髄を味わって貰える様に改善しないとですわ。


では、ヤりましょうか。




TAKAYOさんと相談をして、現状よりシャコタンにする策を講じる。


その後改めて車高前後バランスや減衰設定バランス、アライメントなどを再構築。


ネチネチと諦めずにセッティング。


ただ、車輌側の思わぬ問題(ジョイントのガタ)も見つかったのでそれは宿題とし、今回はその中でもなんとかどうにか妥協点を探る感じになった。










よし、なんとか出来た。


さすがのFOS効果で後ろ脚の動きのスムーズさはいまだかつてFLEX改では味わった事のない感じ。


スムーズ過ぎて減衰足りるかなと心配したけどなんとか足りて良かった。


そしてまたこれはエンジンが素晴らしい。


精密に緻密に回る、Car'sさんの人柄が出てるとんでもなくスムーズに下からトルクがモリモリ出るエンジン。


2,500rpmも回してれば普通に走れてしまう。こんなNA8なかなか無いぞ。


そしてそこからグイッと踏み込めば怒涛のパワー!


気持ち良いのが4,000から上にもう一段「キマる吹け上がり」がクる事。


(アレっ?俺はこの感じ知ってるw ははぁなるほど!!そりゃヤバいわこのエンジン!)


後からCar'sさんに確認してみたら、やはりハルテックのセッティングの詰めは、インパクト!さんも協力してるとの事。


いやーコレは堪らんわ。あの2人がタッグを組んだフルチューンエンジンなんて本当に宝物ですやん。


「えーと、TAKAYOさんもし降りる事になったらこのエンジンくださいね!」


「いやいや降りませんから!あげませんし!w」






というわけでさわやかを食べてセッティング完了となった。



 

 


 

 


 

 


 

 

今回は妥協点セッティングだったけども、随分と喜んでくれて良かった良かった!



さて、TAKAYOさんが問題点を解決して浜松にまた来るのが先か、


広島県民にクリニック脚を布教しまくって「広島出張クリニックに呼んでもらえる」ようになるのが先か。


今後もちゃんとするまでお付き合いしますので、どうぞ頑張っていただきたいなと。


また再会できる日を楽しみに待つ うえしまです。


ありがとうございました!