第7話 厄災の世界樹 | rune,wird

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次の日、朝早くティナに起こされた。


「邪神〜!おはようございます♪」


「…………まだ眠ーい」


ローキはゴソゴソと布団に潜った。


昨晩は、いつの間にか自分の部屋にドールハウスが設置してあり、寝具も完備されていた。

どうやら、シャルロッテが用意したものらしい。


「邪神!邪神!起きて下さい!お話しがしたいんですよ〜」


半ば強引に起こされ、


「ウリエル(デイン)はどうでした?

彼は、天使の時と同じ姿なんですよ。何故かは知りませんが」


「あー、、、天使らしい天使だったねぇ〜」


眠い目を擦りながら、また布団に潜り込もうとする。

そんなローキを阻止しながら、ティナは続ける。


「美しいでしょ〜?ウリエルは『光』ですから〜」


「ウリエルがそんなにイケメンだなんてイメージないけど…って、布団返して!」


いよいよ布団を取られてしまう。


「…で、本題ですが…」


本題はこれからなのか…。

さっきのやり取りはなんだったのか?


「デインがうわ言のように寝言を言っていたんです。

“八本脚の馬”と」


八本脚の馬?


「心当たりはありませんか?

この物語は、随所随所に北欧神話をモチーフにした名前が出て来るんです。

八本脚の馬も北欧神話から来ていたとしたら…」


「プニたんだね!」


プニたんではなく、正確には『スレイプニル』。

ローキが産んだ馬で、オーディンの乗り物になっている。

オーディンとは、北欧神話の主神であり、戦争と死の神だ。


「プニたんが居るの?会いたいなぁ〜」


「デインはもしかしたら、馬の鳴き声と一緒に八本脚の馬も見たのかも知れません。

それが邪神のお子さんなら、デインはオーディンに刺されたのかも…」


「プニたん!プニたん!プニたん!プニたん!」


会いたがるローキには悪いが、まだ推測だ。


「ご主人様!洗顔のお水です〜」


すると、ティナはいきなり態度を変え、小皿に水を注いだ。

と、ドアをノックする音が。

タユナスが「失礼します」と部屋に入る。

ティナはタユナスの気配に気付いたのだろう。


「デジャブ…」


昨日もこんな事があったような…。


「ご主人様、ティナさん、おはようございます。

昨晩はよくおやすみ頂けましたか?」


「うん、ぐっすりだったよ〜」


顔を洗いながら答える。


「そうですか、それは良かったです」


タユナスはニッコリと微笑むと、どうしてティナがここに居るのか首を捻った。


「ご主人様がゆっくり寝られたかどうか、様子を見に来たんです」


よくそんな嘘をヅケヅケと…。

ローキは呆れる反面、感心していた。

ロキより嘘が上手いからだ。


「ティナさんは優しいですね。まるで天使のようです」


そりゃ、本物の天使だからね。

タユナスはティナを信頼しているようで、心の底から尊敬の眼差しを向けている。

ロキの時とは大違いだ。


「ではご主人様、お召しかえを致しましょう。

どれが宜しいですか?」


と、タユナスは人形用の服をズラリと並べた。

これもきっとシャルロッテが用意したのだろう。


「…なんでドレスばっかりなの?」


ラインナップを見て、ローキは不満を口にした。


「申し訳ございません。シャルロッテさんのお人形が女の子なもので…」


「大丈夫ですよー!ご主人様ならドレスも似合いますから♡」


ティナに無理矢理着せられ、頭にリボンまで付けられ、二人に似合うと褒めちぎられ、

最初は不満そうにしていたローキだったが、最終的には気分良く着こなしていた。


「やっぱり可愛いからね、素材がちがうよね〜♪」


「本当にとても可愛らしいです」


「ご主人様ほど似合う人は居ませんね〜!」


上機嫌になったローキは、タユナスに抱っこされて食堂へ向かった。