第8話 厄災の世界樹 | rune,wird

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食堂につくと、ローキには人形用の食器で朝食が用意されていた。


「あれ?それ、使えないんじゃ…」


「大丈夫だ。加工した」


隣にはデインが座っていた。


「変化は、出来るだけしないようにして下さい」


タユナスが耳打ちする。

見回すと、使い手が全員席についていた。

もちろんロキも。

変化の禁止は、ロキへの警戒だろう事が予想される。


「あれ?」


ローキは昨晩の違いに気付いた。


ナイフは切れ味抜群だし、フォークもスプーンも普通に使える。

いや、むしろ使いやすくなっている。


「デインさんが朝一番に直してくれたんですよぉ♡」


マーガレットがパンに手を伸ばしながら言った。


「え、、肩の傷は…?」


ローキはデインを見た。


「痛い…が、問題ない。リハビリだ」


素っ気なく返されてしまった。


「ごめんなさいね〜、弟ってば無愛想で」


ティナが謝罪するが、さっきからやけに視線を感じる。

シャルロッテだ。


「ご主人様、なんて可愛らしい!ドレスがとても良くお似合いですわ!

しかも、デインと並んでなんて絵になりますの♡

あぁ、尊い…ワタクシ、幸せですわ…」


シャルロッテを見る度にローキは思う。

これがラファエルだなんて、やはり解せぬ。


マーガレットの料理と、デインの直してくれた食器で美味しく朝食を食べ終わると、タユナスがある提案をした。


「街への巡回はいつもデインくん、ロキさんが行っていましたが、デインくんが負傷してしまったので、代わりに私が巡回に行きますね」


するとロキは


「タユナスかぁ。なんか嫌だなぁ〜」


と呟いた。


「ロキさんは知らないだろうが、タユさんは俺より強い」


知ってるけど、そうじゃなくてさぁ。

と、ロキは明らかに嫌そうな顔をして見せた。


「タユナスと一緒が嫌なら、ワタクシが代わりになりましてよ?」


「シャルロッテは弱っちそうだからなぁ」


笑うロキに、シャルロッテは頬を膨らます。


「ワタクシだって腕に覚えはありますのよ!」


「お嬢様が不満なら、あたしが行ってもいいですけどぉ」


マーガレットが間に入るが、


「食材の買い出しはどうする?マーガレットさんが居ないと、善し悪しが分からん」


出来るだけ美味いものを食べたい。

と、デイン。


「買い出しなら、メモをくれたら私が行きますよ。

いつもマーガレットさんと行ってるから、選び方もだいぶ分かりますし」


「ティナは当てにならん」


姉に厳しいデインである。


仕方がないので、タユナスとロキとシャルロッテが巡回に行く事になった。

ローキを伴って。


「ワタクシがご主人様を抱っこしてますわ!」


多分、シャルロッテは抱っこしたいだけだろう…。