松田優作さんは、この作品のデ・ニーロ推しだったそうです。
役柄からか各映画雑誌、評論家の多くが、デ・ニーロが肩の力を抜いた素の演技という評価をしていた所、
優作さんは、これこそ計算しつくされた演技だ!と喝破していました。
『ミッドナイト・ラン/MIDNIGHT RUN』
バディピクチャーでロードムービーの傑作。
『ビバリーヒルズ・コップ』のマーティン・ブレスト監督の1988年度作品です。
マフィアの首領ジミー・セラノの金を横領し、慈善団体に寄付した会計士ジョナサン・マデューカス、通称デューク。
保釈金保険会社から逃げた彼を賞金稼ぎのジャック・ウォルシュが追うことになった。
報奨金は破格の10万ドル。
FBIもセラノの逮捕を狙ってデュークを証人にしようとその行方を追っていた。
ジャックはFBIのモーズリーの身分証明書を盗み、彼の名を騙っていとも簡単にNYに潜伏していたデュークを捕縛、彼をLAに送り届けようと飛行機に乗せるが、マデューカスは飛行機恐怖症の為取り乱し、彼らは機内より追い出されてしまう。
仕方なく鉄道でLAを目指すジャックだが、単なる「ミッドナイト・ラン/(一日で終る)簡単な仕事」だったはずが混乱していく。
元警察官ながら仲間の裏切りに合い、警察を追われ、家族とも別れてしまった孤独なジャック。
一方、全く犯罪者に見えない家族思いで心優しい会計士ジョナサン。
彼らのキャラの差が「メシ」によって明らかにされていきます。
列車に乗り込んだ彼らはビュッフェで食事。
フライドチキンにかぶりつくジャックに、ジョナサンは
「コレステロール、血圧上昇・・・・・・私が献立考えよう」
とブツブツ注意します。
「そんなことは分かってる!美味いから食うんだ!」
と、イライラなジャック。
「分かってて食べるとは救いようがない・・」
立ち寄ったダイナーで、ジャックはチョリソーの付いた朝食セットを注文。
一方、チョリソーが何だか分からないデューク。ウェイトレスに聞き、その余りのコッテリさにあきれ顔。
残念ながら劇中にはそのセットのショットは無いんです。
そして53セントのコーヒーをジャックが頼むなら、同価格の紅茶を注文。
さらにジャックは砂糖をドバドバと。
荒野を歩きながらメシ談義。
デュークの語る「リヨン風ポテトフライ」
玉ねぎと一緒に炒めてステーキにすごく合うそうで。
一方、そんなセレブチックなものは聞いたこともないジャック。
完全に合いそうに無い二人が浮き上がってますね。
そんなマジメそうなデュークもジャックを出し抜き、何回も逃げようと試みる一筋縄ではいかない男。
単純にキャラの合わない二人がだんだん分かり合うと言うような進み方はしません。
物語は彼らとFBI、マフィア、保釈会社とそれぞれの思惑で巻き込み巻き込まれ進んでいきます。
【以降ネタバレ】
途中、一文無しになってジャックは、別れた妻に無心しに行くのですが、そのシーンのデ・ニーロの情けなさ満開の演技は必見です。
その情けなさは今、見れば泣かされてしまいます。
この作品ラストが本当に良いんです。
大金を手に入れたデ・ニーロの何ともいえない顔!
「来世でな」
スッと消えるデューク。
その後の余韻。
ダニー・エルフマンの音楽は、この作品が最高傑作かもしれません。
マネしたいポーズ!