夜が深くなる

星はより豊かになる

夜が深くなる

闇がほのかさを際立たせる

昼には蝉の

夜には鈴虫の鳴く声を聴いた

季語で区切れない一日

時と時とが混じりあう様を

僕は全身で見つめている

空が僕をそうするように

蝉が鳴いている

枯れていく夏に

しがみついて

鳴いているから

僕も夏から

離れられない

見えないものが

見える

不思議を知る

子どもの不思議

見えない心に

触れる

見えない妖精の

存在の輝き

二つは森で惹かれ合う

一つの秘密を共有するため

愚痴の一つでも

言わなくちゃ

体に良くないや

弱音の一つでも

吐かなくちゃ

強くなれないや

涙の一つでも

流さなくちゃ

思いきり笑えないや

お酒の一杯でも

飲まなくちゃ

それもできないや

真似されて

始めて気づいた

自分の喋り方

臆病で

傲慢で

少しこっけいな

僕の言葉は

誰を傷つけ

何を奪い

どこへ行ってしまったのか

今も記憶のどこかで

もう返るはずのない

こだまを待ち続けている

泡玉の中に

隠れているものを

疑ってきた

透けられなくて

悩んでいた

晴れた空の下

今なら

見つめられる

シャボンが映し出した世界を

シャボン玉が

弾けた向こうで

君がほほえむ

変りゆく

私がいて

この体は

絶対を拒む

いつか死ぬ

私がいて

この体は

永遠を拒む

生きている

私がいて

この体は

病すら抱ける

「さようなら」よ こんにちは

きっとこれからもなんどとなく

であいつづけることでしょう

「どういたしまして」を ありがとう

このきもちをうけとめてくれて

すこしほっとしているよ

「おかえりなさい」に ただいま

ろうかのむこうからきこえてくる

あったかいひびきにとびこめる

「いただきます」を ごちそうさま

あしたもおいしいごはん

いっぱいつくってあげるね

「こんにちは」よ さようなら

あのいつものまがりかどで

またおあいしましょう

失敗から

余計なことまで

学んじまった

増えた知識が

補ってしまう

暗い未来図

知れば

知るほど

分からなくなる

親しくなれば

親しくなるほど

ぎこちなくなる

僕の雨じゃ

花一つ育てられない

泥まみれの瞳に

小さな水溜りを作るだけ

僕の雨じゃ

虹一つ映し出せない

太陽の温もりに

心ごと乾かされていくだけ