伝言のようでもあり

暗号のようでもあるが

考えすぎだと言われれば

それまでかもしれない

新聞がある

それぞれの事件を

見出しの大きさに応じて受け止める

いちいち一つの事件について

追究できる立場でもないから

見出しの言葉に噛み付いて

一気に飲み込んだ

後味の悪さ

表現できないような苦味と

表現できなかったことへの苦味

目を開く

目をこする

この世界にピント合わせて

止まっていた心が

体に流れてくるまで

もう少しぼうっとしていよう

古びたトースターから

引き出される

新しい朝食

匂いに釣られて

やって来た

今日という日に

愛とか

夢とか

ひとことで言ってしまえば

くだらないことなんだ

だから何年もの間

溢れる想いを漂わせて

伝えようとしている

いつか

そのひとことを

超える輝きのために

体を宿にして

激しく出入りする命

水や記憶や血液

決して所有できないものたち


さっき吸い込んで

吐き出したばかりの

二酸化炭素も僕です

俺が作ったガラクタに

誰か名前をつけてくれ

俺が作ったガラクタに

誰か理由をつけてくれ

そしたら

壊しちまえ

そんなガラクタ

台風の日

閉めきった家が

空気を重くしていく

網戸の震えが

肌のほうまで伝わってくる

どこへも行けない日ほど

どこかへ行きたくなる

カーテンの隙間から

うずうずとした気持ちで

荒れていく庭を覗き込む

窓の外側にいる僕は

大きな風を渦巻かせたまま

散らかした心の後片付けもできずに

留まっている

台風の目

夕闇の中で

紛れ込めないでいる

得体の知れない感情


僕が昨日まで

悲しみと

呼べていた感情


帰りを急ぐ

車の慌ただしさを

横目に


僕の足取りは

あまりの軽さで

沈んでいる

みっともない言葉だからこそ

さらけ出す価値がある

弱っちい言葉だからこそ

闘わせる価値がある

投げやりな言葉だからこそ

握りしめる価値がある

やせ細った言葉だからこそ

研ぎ澄ませる価値がある

死にかけの言葉だからこそ

息を吹き込む価値がある

すぐに使える表現だからこそ

使わない価値もある

明日の入り口に

取り付けたドアは

自分で開けたいのに

どうしてあなたは

ノックもせずに入ってくるの?

一人で笑いたい時があります

一人で泣きたい時があります

本当の一人になりたい時があります

一人で握手したい時があります

一人で抱擁したい時があります

一人で二人したい時があります

一人で集会したい時があります

一人で合唱したい時があります

一人で全員したい時があります

一人でいなくなりたい時があります

一人で風になりたい時があります

一人で0になりたい時があります