「きっと」という言葉を使う

出来上がった瞬間から

不完全な言葉だから

繰り返し繰り返し使いたくなる


不安げな希望の音と

可愛げな絶望の響きの

区別がつかなくなるくらい

目に見えないものを

僕は上手に使えない

投げたい時に掴みきれず

使いたい時に取り出しきれず

目に見えないものは

僕を上手に振り回す

目に見えるものに乗り移って

僕の心にひっかかるのを待っている

目に見えないものを

僕は上手に確認できない

明日へ連れて行けない

目を覚ました朝の

ぼんやりとした空の中から

一つずつ探り当てていくしかない

1から始めて

どこまでも1を目指す

式の途中で


たまには

違う数字を求めたくなる


選べない風に触れ

選べない熱を受け


そろばんよりもためらいがちに

僕の全てが

御破算する

重ね着するたび

重くなっていく

昨日の意味

子どもの頃は

今日しかなかった

年中薄着ではしゃいで

いやいや履き始めた靴下を

欠かせなくなった

この頃

網戸の季節が終わり

忘れていた秋を思い出す

朝の鳥肌

君がここにいる

僕はどこへも行けない

行きたくない

君がここにいない

僕はどこへも行けない

行く力もない

始めて産声を上げた時の勢いで

話せたなら

こんな沈黙はなかった

始めてはいはいした時の勢いで

歩けたなら

こんなに立ちすくむこともなかった

始めて生まれた時の勢いで

生きていけたなら

こんな過ちなんてなかった

交差点ですれ違う人にさえ

運命の出逢いを感じて


距離よりも遠い

背中が映るだけなのに

振り返る


信号が赤 黄

すぐに青に変わり

もう永遠の別れ

暗いリングの上を

駆け巡る閃光

もうろうとした意識の中

向かい合うのは誰だ

敵か

自分か

レフェリーか

観客か

それともカメラの向こう側で

チャンネル変えながら見ているお前か

教えてよ

ごはんの食べ方を

空気の吸い方を

教えてよ

上手な眠り方を

明日の目覚め方を

教えてよ

人の愛し方を

目の前の子どもの育て方を

教えてよ

雷の音に怯える臆病を

思うより先に動く勇気を

教えてよ

まっすぐな欲望を

僕が見失った本能を

死ぬことを忘れて

生きる方法を

生きることを忘れて

生きる方法を

何かを踏まずには

歩けない足を持ち

誰かを傷つけずには

喋れない口を持つ

悲しみの隙間から

優しさに続く道へ

その足跡

その言葉が向かっている途中だと

信じている

どこかで