夢だったものが

義務に思えてくる


願いだったものが

無駄に思えてくる


宝物だったものが

偽物に思えてくる


困難に疑いは生じ

こんがらがる目的


ためらいなく

未来を選んでいた


あの時の自分を

分かってやれない

後ろめたさで

直視できない

その笑顔を


人を傷つけた記憶を

自分の傷にして

申し訳なさげに

生きて


何をしても

ついてくる罪悪感が

僕を無気力にする

言い訳になる

思いが深まるにつれ

恋は恋ではなくなり

長年連れ添うにつれ

愛は愛ではなくなり

言葉にできないものになる


年老いた二人

通りを並んで

歩いていく姿

その微笑ましさは

周りをも幸せにする

寒い夜には

明かりが温もりに見える

コンビニやイルミネーションに

心引かれながら歩いて


のれんの先にある

ごく普通の味のおでんと

ジョッキ一杯のお酒

それだけで格別


人々の盛り上がりが

自分にも暖かく染みてくる

かちこちに固まった頬が

緩むひととき

秋の深まりは

つまり

終わりでもある


街の色は

嫌がおうにも

落ち着きを取り戻してくる


花は毎年咲き

毎年枯れる

人はその命の行方に

たくさんの想いを重ねてきた


秋色は儚さを呼び

儚さは僕に

秋を気付かせる


心は時に寄り添い

人は自分によく似た

季節と出逢う

悲しくなんかない

ただ泣いているだけさ


面白くなんかない

ただ笑っているだけさ


理由なんかない

ただ生きているだけさ


奇跡なんかない

ただここにいるだけさ


希望なんかない

ただ明日があるだけさ

目に見える景色が

人には

言葉に見える


耳に入る音が

人には

言葉に聞こえる


腕を触る風が

人には

言葉に感じる


語らないものの

語りに

励まされた


その希望は

口には

言い表せない

岩壁に

ぶつかりたい

荒波があるんだ


誰にも

癒せない

衝動があるんだ


この激情の

居場所は

何処にあるんだ


朝はまだ

見えてきやしない

いくら走っても

雲で太陽が見えない

空は寂しいが

雲ひとつない空も寂しい


晴れの日には伸びやかに

雨の前には不気味に

夕暮れには温かく

雲は姿を変えつつも

群れをなして空を渡る


横の流れは

突然縦に変わり

空を落下


街に降り注ぎ

川を流れ

蛇口から

僕らの体を流れる

雲の旅の続き

組み立てる部品は

誰のためになるのか知らない

手にした給料は

どこから来たお金か知らない

組みかけの部品が

次から次に

流れてくるから

考える暇もなく

黙々と処理して

次の工程へと流す

苦もなく

楽もなく

時が経っていく

人が用意してくれた

安定の上で

不安を募らせて