あなたに見えない

優しさがほしい

あなたに聞こえない

優しさがほしい

あなたが気づかず受け取れるような

優しさがほしい


僕に見えない

優しさがほしい

僕に聞こえない

優しさがほしい

ラベンダーの花の香りのような

優しさがほしい


あなたに与えない

優しさがほしい

あなたに贈れない

優しさがほしい

同じ空気を分け合うような

優しさがほしい

さよなら僕の

もう一つの未来


君と分かり合えてた

もう一つの未来


昨日はもう

やり直せない

やり直したくもない


僕は一つの僕しか

引き受けていけない


あの頃の僕と君だけを

未来につれてはいけない

守りたいものは何なのか

戦えば守れるのか


誰が始めた戦いだ

その原因ももはや

涙と怒りで見えなくなってる


この戦いは

終われるだろうか

争いを終わらせたいという願いも

戦うことの理由になっていく

人はいつか

無力になる


全てを失っても

自分をなくせない


忘れていく昨日

忘れられていく明日


愛した過去が

切ない望みを支える


心を超えたところで

通じ合えてることを願いながら

何も知らない子どもらは

傷つけられたことも気づかずに

傷つけた者に笑顔を振りまく


何も知らない子どもらは

起こった悲劇にも気づかずに

ただぼんやりと空を見上げる


何も知らない子どもらは

命を奪われたことにも気づかずに

焼け野原を駆け回る

思い通りに生きれなかった

思い通りに死ねなかった

想いを誰にも手渡せなかった


誰の目にも入らなかった

誰の記憶にも残らなかった

破滅は未来を生き残れるか


彼らの想いは息づく

例えば一枚の置き手紙から

僕らの想像によって


涙とともに

流してはいけない過去

海の底から

僕らに呼びかける

敵は増えるもので

味方は生まれるもの


味方は殺されるもので

敵は始末するもの


どれだけ過去をたどれば

憎しみの素を消せるだろう

奪い返した瞬間から

奪われる恐怖に駆られて


復讐の連鎖の中でも

小さな命は生まれてくる

柔らかすぎる皮膚を

大事に触れる


与えられた幸せと

奪われるかもしれない不安


僕らが重ねた復讐までも

受け継がれるかもしれない命

思ってることと

違うことが

口をついて出てくる

こんな言い方しかできなくて


互いを想うほど

恋になれない

愛をしてきた


相手に贈れる物を

懸命に探してた

すぐ傍にあることに

気づかずに


互いの想いに気づいた時

想いは自分のものじゃなくなった

そこに漂うものに


「ありがとう」の代わりを

「ごめん」の代わりを

言葉じゃなく伝えられる

毎日を過ごす

二人が近づいていけば

二人の間にある壁が

はっきりと見えてしまうことに

僕はたぶん気づいてた


突然訪れた非日常は

ゆっくり途絶えていくのだと

この恋が終わるのを

きっと君は知っていた


あの頃の喜びは

今では苦味で

あの頃の痛みは

今では輝いて


君との日々を思い出しながら

僕は今日を生きている

君もきっとそうだろう

生きる場所が違うだけで

どこからだ

仕掛けたのは


いつからだ

仕組んだのは


始めると言った時には

手品はとっくに始まっていた


呪文を唱えた頃には

手品はとっくに終わっていた


手品のタネは握られている

手品師の人生の中に


人々は望んでいる

ホントノヨウナウソノハナシ