どこかで手にした訳じゃないのに

僕の心に

いつしか

増えていった秘密


言葉にならず

言葉にしないまま

秘密が育っていく


隠しきれないほど

大きくなったけど

見せようのない姿


言葉にできず

言葉にならなかったからこそ

生きている秘密

僕が僕であることの

僕にもよく分からない証明

前に見たような悲劇だ

僕らが前に

受けたのと同じだ


憎しみを行動で示すことを

一度覚えた体は

かつての仲間にさえ

平気で


前に見たような悲劇だ

僕が味わった痛みを

お前にくらわせる日が来るなんて

どこで付いてきたのか

分からないかすり傷がある

どうして付いたのか分からないけど

消えないでいるんだ

ここに


いつ何が起こったのか

分からずにかすり傷がある

何と擦れあったのか分からないけど

まだ痛み出すんだ

たまに

彼女がやっと言い出せた言葉は

彼にとっての唐突だ


彼がついに返せた言葉は

彼女にとっての「今さら」だ


告白がもたらす結末を

時がひそかに取り替えていた


それぞれの夜に消える二人

自らが出した結論に

戸惑いながら

満ち満ちた月と

満たされぬ心が

落ち合うよ

夜に


まばゆい光は

感情を引き寄せて

叫びたくなる

月よ


終わりゆく日の

ささやかな完成が

こぼれ落ちた涙の

意味も変えた


こんな夜ほど

光を求めて

歩きたくなる

月夜

薄雲に見え隠れする

鮮明な赤

なまめかしくて

優しい


誤解を

解きほぐせずに

しこりを残した日

今日の夕陽は

なんだかひりひりとして


明日

持っていくべき心を

見つけらない胸は

微かな夕陽を

いっぱいに浴びる

とりとめのない話を

まだしていたかったのに

もう行っちゃうのか


眼にした風景に

ケチ付けたり

通り過ぎた女の

好みを言い合ったりしていたかったんだよ


「用事あるから」って

急に大人の顔しやがって

俺はこれからどうすりゃいいんだ


逃げるように迷い込んだ

寄り道はいつの間にか

本道に戻りつつある


昼下がりの木漏れ日が差して

この街も意外にいいもんだって

もう行っちゃうのか

風景にフレームをつけた写真

情景を五七五で区切った俳句

五感で見つけた世界

の切れ端


区切られたものを手がかりに

追憶は始まる

区切りの外にあるもの

僕が感じた世界を


その一部が

全てを呼び起こす

通り過ぎた季節の足跡

気にも止めていなかったようで覚えていた

心じゃないものが

僕らは過去を物語にする

美しい思い出の章を開いて

いつでも読み返せるように


僕らは過去を物語にする

誰かに読み聞かせられるように

少し楽しく誇張しながら


適当な筋立てなのに

読み返すとなぜか

まとまってるように思える

ここにいることが

偶然じゃないかのように


僕はあの子に読み聞かせる

僕と君のこれまでの物語

どこか間違ってたらごめんね

何でもある豪邸より

住み慣れた家のほうが

居心地いいや


開かれたパーティーより

閉じた仲間との集まりのほうが

盛り上がれるな


憧れる自由さと

現実の自由さは

食い違ってよじれてる


自由って

不自由さに慣れることかもしれない

僕が不自由さを感じるのは

この世界に慣れてないだけかもしれない


好きな人に会った時の

どうしようもない不自由

居心地悪くて

名残惜しい不自由