悲しみをこらえている君に
かけられる言葉を探して
想いを散々巡らせた挙句

やっと言えたのは
世間が用意したような
ごもっともな結論

何の足しにもならない言葉が
紙くずのように空を舞う

君も僕もその行方を
ただ呆然と眺めていた
二人の沈黙に
口を挟める者はいない

煙草が灰皿をこする音が
小さな空間をやり過ごす

過ごした年月の長さが
踏み込ませない
二人の感情に

割って入れるのは
注文通りのメニューだけ
人々は歩き出す
それぞれの足取りで
年の暮れへと向かって

店から漏れる音楽に
鈴の音が混じりだす
故郷の懐かしさ

大ざっぱな希望で
この町に移り住んで2年半
今頃になって理由を探す
いつもなんとなく楽しいし
いつもなんとなく寂しい

いつもなんとなく嬉しいし
いつもなんとなく虚しい

いつもなんとなくもどかしいし
いつもなんとなく慌しい

いつもなんとなく
生きてきた僕だけど
なんとなく
優しくはなれない
ほこりかぶった
去年の手帳から
こぼれ出る

詩になれなかった
言葉の切れ端

無理にくっつけようとして
接着剤代わりに使った
行間が

きしきしと
苦しい音を立てている
寒さで伸ばした背筋が
ぼやけていた今日を
見やすくさせる

散らばっていた
時間と記憶が
一直線に繋がる

名前を呼ばれることはない
冬の桜の静けさに
包まれ足を止める散歩道

当たり前にしてることを
あえてやってみたくなって
深呼吸
空腹を満たした気になりたくて
空っぽの冷蔵庫を
開いては閉じ

賢くなった気になりたくて
難解な推理小説を
開いては閉じ

拒めない明日を拒もうと
薄暗いカーテンを
開いては閉じ
気持ちを伝えれば
それで全てが終わると思ってた

でも気持ちを伝えた後に
全ては始まった

動き始めた心は
高鳴りだして

また違う言葉を僕に
伝えようとさせる
教科書に載せられて
教師が語り継ぐ
歴史の上に
僕らは立つ

時間に葬られて
語り継ぐ人のない
歴史の上にも
僕らは立つ
保険のつもりで
誤解される前から
弁解して

必要のない言葉を
付け足したりするから
逆に怪しまれる

本当はこんな
よけいな先読みばかりして

まだ一言も
喋れてない状態