長い雨の向こうで

待っていた

夏は目覚め

光は伸び

濡れた空を乾かす

雲から解き放たれ

太陽は

疑いのない輝き

じっとしていられず

心は

海へと走る

したいことは

やり尽くした

暗闇の中で

すべきことが

待ち構えている

光の中で

できることを

探して人は

人ごみの中へ

冷たいプールに入り

皮膚で涼む

舞い上がる花火を見て

目で涼む

風鈴の音を聞き

耳で涼む

夏草の香りを嗅いで

鼻で涼む

冷やしそうめんを食べ

舌で涼む

怖い話を聞いて

心で涼む

それでも暑いから

図書館に通う

昼休みのランチから

卒業後の進路まで

無意識にあるいは意識的に

人は未来を選び取っていく

あの時

こうしていれば…

どうなっていだろう?

違う今を想像したり

何かを必要として

何かに必要とされて

僕はここにたどり着いた

迷いながら

答えを出せずにいたことも

一つの答えになる人生

素直さが少し足りなくて

少女は上手に笑えなかった

ずる賢さが少し足りなくて

少女は上手に泣けなかった

嘘と真実の狭間で

少女はちょっぴりはにかんだ

分かっています

あなたに何もかも伝えようとするのは

無茶なことだって

僕が話しかけた言葉が

あなたの耳をすり抜けていったとしても

僕があなたに伝えたいと願っている気持ちだけは

心に留めておいてください

彼はベンチに座ったまま

決してそこから動こうとしない

落ち込んでいるのかと尋ねたら

「違うそんなんじゃない」と答える

彼は決意したような無表情で

今にも立ち上がりそうな雰囲気で座っている

誰かがわっと叫んでも

「今はびっくりしたい気分じゃない」と呟く

彼はぼんやり暮れていく空を

じっと視線を逸らさず眺める

背中から翼が生えてきても

「飛びたくない」と空を見る

見送る人のない

無人駅


出迎える人のない

無人駅


呆然と立ち尽くす

あの日の僕に

立ち止まることもなく

快速電車は過ぎていく

ぷあーっと膨らますことも

ぺっと吐き捨てることもなく

噛み締めることしかしないで

君は想いを飲み込むの?

募らせた日々は

簡単に消化できないやしないから

飲み込んじゃうのは

体に毒だよ

いつかなくなる命だからこそ

世界は果てしなく感じられる

いつかなくなる命だからこそ

心に謎を余らせている

この体に限界はない

僕らは知り尽くすことのないまま

燃え尽きることのないまま

ゆっくりと老いて行くだけ

やり終えたことを

今日の癒しに

やり残したことを

明日の望みに