出し惜しみして

貯めておいた感情が

干からびていく井戸

太陽に照らされて

枯葉のようにかさついた肌

搾り取れるものなど

何もないはずの僕なのに

水はすくい上げられ

涙は頬を潤した

今この時間でしか

生まれない言葉を

あなたへ

この場所でしか

歌えない言葉を

あなたへ

新鮮な気持ちで

受け取った言葉は

息絶えることなく

明日へ

なさすぎる時間が

想いを正確に伝えられなくしている

ありすぎる時間が

その分嘘を混じりやすくしている

だからといって

寸分の狂いもない真実を目指して

巡らせている心でもない

ほんの一瞬

照らし出されては

見えなくなる

人々の顔


花火は

開いては

暗闇に散り


人の群れに

埋もれぬように

手を伸ばす

帰り道


花火に

取り残されて

地球の上を歩く

僕は捨てていく

髪の毛や爪

かつての自分だったものを

記憶や感情

かつての自分だったことを

切り離したものが

あまりに生き生きとして映るから

何だか自分の方が

抜け殻みたいだ

ないものを

「ない!」と言われると

何かあるのではないかと

勘繰りたくなる

無題

心を澄まして

聞こえる歌を

風や波

心地よく乱れたリズムを

あるがままのメロディーを

肌が感じたら

思うがままの曲を

体は奏でる

心を分かってあげようと

覚えたはずの言葉なのに

増えすぎた言葉が

心を分からなくしている

自分の口から出た台詞に

首をかしげる

きれいなものだけを

見える場所に置いて

醜いものは

見えない場所に追いやって

美しい世界を維持するために

たくさんのゴミを生み出している

汚れない瞳を保つために

人の痛みに見向きもせずに

最も長い時間を

共に過ごしてきた

それ以上の関係はなく

愛とか友情とか

そんな言葉を置いてけぼりに

もはや好き嫌いではなく

一緒にいる

同士と呼ぶにはあっさりしすぎて

空気に例えるにはごつごつしすぎる

何だか憎めないあいつ