Fender 1963年製 Jaguar フロントPU修理 その3 | RE/F-TECH の足あと by u-tak

RE/F-TECH の足あと by u-tak

RE/F-TECHとは、ビンテージ、アンティークをこよなく愛するミュージシャンu-takが、
旧き良きギター、アンプを中心に、修理、カスタムする小さな工房である。。。
子供たち(子役)の成長記も、ぼちぼちとお届けします。

NHK-BSで朝7:15から再放送されている、朝の連ドラ「まんぷく」。

年始ごろから大阪池田での話の時期に入っています。

調さんの神部大介が徐々に近づいてきました~♪

 

見たことが無いよ~と言う方、是非見てみてください。

神部大介登場まで、後1-2週間くらいかな。。

神部大介はおかしなキャラで、ツボです。ww

 

当時、神部大介botも登場しました。

https://twitter.com/daisukekanbe

まだ時々、思い出したようにつぶやきがあります~

 ※ログインがいるみたいですので、Xやっている方は、そちらで検索した方が早いです。。

 

さて、1963年製FenderジャガーのフロントPU修理の続きです。
前回は手回し巻き線機にSETしたところまででしたね。

ここから解いたオリジナルのコイルを巻き戻して行きます。

 

コイルの断線部は、コイルと同じ様に巻くことが出来る様に接続します。

方法は・・・企業秘密です。

表面は絶縁性担保のためエナメルコートを施しています。

 

261ターンでしたので、あっさり巻き終わり。。

実際はここから後ろのコイルが巻かれていたボビンまでの長さで1ターンプラスで262ターンです。

 

コイルを解いた時は269ターンでしたので、差分が7ターン。

これは、主に接続部2点での長さロスによる差です。

コイルの巻き終わりをハトメにはんだ付け。

このハンダもオリジナルを回収しておいたものです。

 

コイルの仕上がり状態。

反対面。

コイルの接続部も全く見えない様に処理しました。

表面の質感もほぼオリジナル通り。

 

打痕部分も分からなくなりました。

反対面。

上面

裏面

元通りにリード線を取付けます。

もちろん、オリジナルの回収したはんだを使用しています。

(フラックスは使用しています。)

 

PUカバーとヨークを取付け、マイナス線のヨークへのはんだ付け位置を確認します。

熱にはあまり強くないのでPUカバーを取り外し、マイナス線をヨークへはんだ付け。

PUカバーを取り付ければ、修理は完了!

なのですが、依頼者様から固化したスポンジもオリジナルに近く接着して欲しいとのご依頼。

押しつぶされたチョコレートケーキの様な、半生?半練り?の状態ですので、どの様な方法で接着するか・・・

 

先ずは小さくなったスポンジのかけらを使って実験。

 

溶剤のメタノールで表面を溶かして接合すれば、揮発して後はベトベトしなくて良いかもと思いましたが・・・

なかなか反応しなかった上に、溶けた部分は結構いつまでもベタベタ。。

で、却下。

 

次に依頼者さんが当初やってみようとしていた、瞬間接着剤。

 

カチカチ、かつボロボロと割れ。

で、却下。

 

ある程度、柔軟性のある接着剤が良いかと思われ、木工用ボンドかタイトボンドで。

良さそうです。

 

ボロボロになったスポンジの粉を、更に細かく砕いてタイトボンドに混ぜたもので貼り合わせます。

ヨーク側にスポンジが残っている部分を接合します。

合体!

はみ出てくるタイトボンドは拭き取っています。

 

乾燥すれば、完成!

反対面

ヨークにマイナス線をはんだ付けした付近だけはスポンジが無くなっています。

この部分の粉々なったものが、タイトボンドに混ぜたモノになります。

 

今度こそ、修理自体は完了です。

DC抵抗値は6.19kΩ at 16℃です。

テスターは0.07kΩ低く出ています。

 

サウンドチェックできるジャガーは無いので、いつものストラトテスト機にて。

いつもリアポジションで音を聴いているので、今回もリアに。

ジャガーのPU自体は本来、ボディー側に細長い木ネジでダイレクトマウントされるものですが、今回はピックガードにネジ留めです。

フロントPUですので、TONEも効かせてみようと思い、セレクターはTONEの効くフロントに接続。

サウンドチェックの結果は、TONEの回路を通してもストラトよりかなりドンシャリで、かつアンプ直でも歪み感が強いサウンドです。

 

ストラトのリアでも低音がしっかり出ていますので、かなり使えそうな、なかなか良いバランスの音と感じました。

このままストラトで使いたい~~

 

これは、PP(ポールピース)の着磁も結構しっかりあったのと、ヨークの効果かもしれません。

 

そうそう、最近は各部の寸法データなども残していくようにしています。

米国の過去の研究熱心なショップや修理屋さんたちも、ビンテージPUの寸法データを持っている様ですし。

 

将来、ビンテージPUの再現や、オリジナルか否かの判断が必要な時に役立つと考えています。

今回のデータを特別に。

ベースプレート  (単位はmm)

 厚み t=2.505、幅 15.85、長さ 83.30
TOPプレート

 t=1.70、 幅 15.85、長さ 67.20 
PP径 Φ4.75

PPピッチ 10.20(TOPプレートに反りがあり各PPピッチはバラつき)

PP着磁 S-TOP、 磁力 105~125mT

コイルワイヤ Φ0.067 AWG42

コイル巻き方向 CW(PUボビンの上から見て時計回り)

 

今回は掲載しませんが、LCRのデータも取っています。

これは、サウンドの傾向と数値を参考にするために取り始めたのですが、現在は惰性で取り続けている感じです。(笑)

 

しかしこの数値も、オリジナルのコイルかどうかを判定するには使えそうな感じです。

 

最後、話が脱線してしまいましたが、以上で今回の修理も無事に完了です。


RE/F-TECHの修理では、少しでもオリジナルを残せるように様に、様子を見ながら修理、復元をさせていただいております。

今回は、コイルの解き数も少なかったため、ほぼオリジナルに近い状態に修理出来たのではないかと思います。

 

リワウンドに出してしまうと、新しいコイルかつ多くの場合は電動のワインダーで巻かれてしまいますので、音は出る様にはなりますがオリジナリティーは損なわれてしまいます。

 

ビンテージギターやパーツはオリジナリティーも重要な要素となりますので、今回も貴重な部品が再びオリジナルに近い状態で使っていただけるようになり、良かったと思います。

 

 

 

追伸


昨日の自由が丘バトンクラブのクラブコンテスト、調さんは3年連続でソロトワール優勝でした!

返還したトロフィーは、再度、我が家のリビングに戻ってきました~♪

 

 

 

 

 

 

では、また。

u-tak