戦車のサスペンション(その13)クリスティー式サスペンション①
戦車のサスペンション(その12)ホルストマン式サスペンション
前回の記述から1年以上たってしまった
でも説明しているが
走行装置(Running Gear::ランニングギア)としての外見上の分類は
上部転輪無しの大径転輪採用の走行装置は
クリスティー(クリスチー)形(型)としている
戦車開発の専門家の方々が、斯様に申しているのに
戦車好きの多くの方々が
「上部転輪無しの大径転輪がクリスティーというわけではない」
つまり
「ソ連のT-34戦車はBT戦車同様クリスティーだが
外見が同じT-55やT-62はクリスティーではない」
「無論、ティーガーや自衛隊の74式戦車は
クリスティーであるわけがない」
という見解であり、
多くの方が同意する意見であろう
では
クリスティー式サスペンションってそもそも何?
実は
ホルストマン式と同様にクリスティー式も様々な種類がある
なぜなら、単なる人の名前だからだ
クリスティー戦車M1919
上部転輪がある
クリスティー戦車M1921
上部転輪は無いが独立懸架ではない
さて、一般的に
「クリスティー式(Christie Type)」とされるのは
発明家J.ウォルター・クリスティー(John Walter Christie)
が考案した戦車(クリスティー戦車)に採用されていた
懸架装置(サスペンション)から命名されたものだ
上記のクリスティー戦車ではなく下記に示す特許により作成された
一連の上部転輪無しの大型転輪を独立懸架としたものだ
「Type」の和訳は専門用語としての「形、型」と一般的な「式」とあるが、
本記事では一般的な「式」を用いる
この懸架装置は1931年12月15日特許を取っている
US1836446A Suspension for vehicles (車両の懸架装置)
以下がその特許だ
読むと意外なことに気づく
T-55や74式戦車のような上部転輪無しのサスペンション形式を
「クリスティー式」と呼んではならないのなら
T-34のサスペンションこそ
「クリスティー式ではない」