お姉さんのクルマ


外へ出ると雪は止んでいた。然程積もっていないようで、これなら走行に支障は無さそうだ。蔵人と小野ユキは「シズカちゃん」に乗り込んだ。


『このクルマもう一人乗れるの❓️』



『はい、一応四人乗りですからなんとか…それより深入りしてもいいんですかねぇ

あの娘の人生に』



『顔だけであれだけ泣かしといて無責任ねスイッチ入っちゃったよあの娘』



『なんのスイッチですか❓️』



『あべこべの世界を揺るがすスイッチよ

揺れに揺れて北緯五十度カムチャッカ沖

ってところね』



『あべこべの世界❓️』



『主従逆転の世界、あんたはどうか知らないけど多くの人は自分を世界の一部だと思い込んでるのよ

別にそれでもいいんだけど、そうじゃなくて自分が見ている世界は自分が創り出した世界にすることも出来るのよ

これは私の世界の話だけど』



『私の世界❓️

世界は一つじゃないんですか❓️』



『ある人は世界が一つだと思っている

私は一つじゃないと思ってる

この二人が見ている世界は同じ❓️』



『そりゃぁ違いますね』



『違うってことは一つじゃないってことにならない❓️

あっお姉さん出てきたわ』



小野ユキはクルマを降りて声をかけた。


『お疲れ様、どこでお話しましょうか❓️』


『私の家でもいいですか❓️』


『もちろんいいわよ』


『それじゃクルマを持ってきますからついてきてください』


『了解』


小野ユキはクルマに戻って蔵人にお姉さんの家に行くことを告げた。

しばらくしてお姉さんのクルマが近づいてきた。


『アレは…』


そのクルマを見た瞬間、今度は蔵人の心の中が北緯五十度カムチャッカ沖になった。そのクルマは古い国産の高級セダンの2ドアクーペ版であのお姉さんの雰囲気に似つかわしくないクルマだった。

そして蔵人にとって特別なクルマでもあった。


『アレは父が乗っていたクルマと同じです

驚きました。』

蔵人は動揺を隠せなかった。


『運転大丈夫❓️』


『大丈夫です』


蔵人はシズカちゃんの屋根をオープンにしてお姉さんのクルマについて海岸道路を西へ向った。


つづく


 




 

 

 

 

 




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