おじいちゃん


洋美はズラリと並んだ小野ユキの著作群を作家小野ユキ本人が見ている光景に感動していた。


『おじいちゃん、先生のファンだったようですね。』



『私が小野ユキだと知ってたのかな❓️

知らなかったのかな❓️

どっちだと思う❓️

洋美さん』



『聞いてみましょうか❓️本人に』



『えー⁉️本人に❓️

お祖父様は生きてらっしゃるの❓️』



『はいピンピンしてますよ

いま旅行中です

お盆と年末年始くらいしか

帰ってきませんが…』



『そういえば「元々祖父のクルマ」って聞いたんで、てっきり形見だと…

…お父さんの遺品と言ってたけど…

お父さんは亡くなっているんですよね❓️』


『それもちょっと怪しくなってきました

私が5歳の時に

亡くなったことになっています

父らしき男性としばらく暮らしていたような記憶もあるのですが

すごく曖昧なんです

あのクルマを大事にしていたというのも

おじいちゃんから聞いた話なので…

遺品もあの映画のビデオも

おじいちゃんから…あっ、わかった❗️』

洋美はアルバムを見ていた時の違和感の正体に気づいてしまった。



『おじいちゃんのアルバムに足りないもの…父と母だったんです

志乃さんや私の写真は何枚もあったのに

父と母の写真は1枚もなかった

おかしいと思いませんか❓️』



『確かにおかしいけど

僕らが立ち入っていい話だろうか❓️』

(厄介事は御免だ)

蔵人はそんな顔をして尋ねた。



『乗りかかった船です❗️

思いっきり立ち入ってください

下船は許しません❗️』



(なんだこの娘の得体の知れない力は)

蔵人は自白剤のような自分を憐れんだが西浦洋美の言葉が「やるからには徹底的やる」という30年「切」になっていたスイッチを「入」にした。



『ハイハイそれでは遠慮なく立入りますよ

それではまず最近のおじいちゃんの写真を

見せてもらえますか❓️』



『ちょっと待ってください』

洋美は隣の応接間からスマートフォンを持ってきて蔵人に見せた。

『これです』


そこには普通の老人が普通に写っていた。


『おじいちゃんはいつごろから

旅に出るようになったんですか❓️』


『私が物心ついた時にはもうそんな感じでした。』


『なるほど。他の写真も見せてください。』


『はい』

洋美はスマートフォンを持つようになってから祖父が帰ってくる度に写真を撮っていた。10年以上続けているので結構な枚数になっている。蔵人と一緒に見ているうちにあることに気がついた。

『あれ❓️全部同じ顔だ』


『一番古い写真と一番新しい写真を

比べてみましょうか』


『同じ顔だ』


『おじいちゃんと間近で話したことありますか❓️』


『小さい頃はありましたが

最近は離れて話してます

私に「おじいちゃんくちゃい」

って言われてから近寄らなくなったと

志乃さんが言ってました。』



『どんな匂いか憶えてますか❓️』


『はい、後でわかったんですが

ゴムとか接着剤の匂いを嗅いだ時

おじいちゃんの匂いだと思いました』


『やっぱりそうか

これはおそらく特殊メイクですよ

何の為かはわかりませんが…』



『おじいちゃんに訊いてみますか❓️』


『今度はいつ頃お帰りになるの❓️』


『そろそろ帰って来る頃です

単刀直入に訊いてみますか❓️』


『特殊メイクかどうか確かじゃないから

自然に打ち明けてもらう形が良いと思うわ』



『そんな事が出来るのは…』

洋美と小野ユキは同時に蔵人を指差した。


『厄介事ならお任せください』

蔵人は満面の笑みで応えた。


つづく




 

 



 

 



 

 



 

 



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