"Masquerade Syndrome"
『どうしてそんな特殊メイクなんかしてるんですか❓️』
自分だけ仲間外れにされた気分の蔵人が久蔵に質問した。
『蔵人さん、私も小野先生と同じように歳を取らない人間だということはご理解いただけますね。』
蔵人は黙って頷いた。
『多くの人が採用している時間の流れでいうと私は85歳です。どうしてそうなったかは未だよくわかっていないので、今は説明出来ませんが、25歳の頃からこの見た目は変わっておりません。35歳頃そのことに気が付きました。いつまでも若いということは良い事ばかりではありませんでした。周囲の人達はどんどん老いていきます。若く美しかった女性もすぐに私を老い越していく。結婚などとても考える気にはなれませんでした。そして私は経営者でもありました。社員の皆さんは口には出さないが私に対して強い違和感を抱いているようでした。体調が悪くなる人もいました。この若さが原因だと思った私は髪を少しずつ白く染めてみました。するとだんだん社内の雰囲気も元に戻ってほっとしました。しかし白髪を増やすと顔とのバランスが取れなくなってきます。齢に合わせて少しずつ顔も変えなければならなくなってきたので、いろいろと考えた末に、特殊メイクを施すことにしたんです。』
『なるほど、社員の皆さんのお気持ちわかります。僕も先生の顔を見てると頭の中に「100歳」の文字がチラついて消えないんですよ。それで、そのメイクはどこでやってもらってるんですか❓️』
『自分でやってます。』
『本当ですか❓️とても信じられない』
『そうでしょうね、最初は映画の製作会社に行って無理を言ってやってもらいました。変なヤツだと思われながら何度か通っているうちに、その先生と親しくなってやり方を教えてくれるようになったんです。しばらく弟子入りしてました。そこで憶えた技術を基に、自分の顔に施す技術を自分で開発したんです。』
『弟子入りって、その間会社の経営はどうしてたんですか❓️』
『その時間を作るために私が居なくても業務に支障をきたさない体制の会社に作り変えました。その結果、前より業績が上がりました。おかげで心置きなく勉強することが出来ました。修行中に蔵人さんのメイクのお手伝いしたこともありますよ。』
『えーっ、それはいつですか❓️』
『あの映画の時です。』
『もしかして、その先生っていうのは、花井千鶴先生じゃないですか❓️そういえばあの時のアシスタントさんだ❗️思い出しました。』
『思い出していただけましたか、嬉しいなぁ』
『特殊メイクのおかげで、会社の業績が上がった。あの映画が大ヒットしたのも久蔵さんのおかげですよ。』
『そうなんですよ蔵人さん。映画はともかく、会社に関しては本当にそう思いました。老いたり若返ったり自分でコントロール出来てたら特殊メイクなんて思いつかなかったでしょうからね。怪我の功名って言ったらいいのかな。でもそれはまだ応急措置でしかありません。』
『応急措置ということは、根本的には治っていないということですか❓️病気みたいですね』
『蔵人さん、いつまでも若いというのは病気でしょうか❓️』
『そんなことはありません。いろんな機能が低下するという点ではむしろ老いの方が病気に近いと思います。』
『やはりそう思いますか。私は老いを体験していないのでどんなものかわかりません。蔵人さんは……』
と話しかけたところで
♪🔔
ホームバーのドアチャイムが鳴った。
『もう一人、老いを知らない御仁がいらっしゃった。』
つづく
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勝手に遠隔ヒーリングをさせてもらっています
今回のテーマは"感じる"
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