お読みになる前に

ささやかなプレゼント

"息抜きドライバー"
これで頭のネジを少し弛めると
読みやすくなります


花のお江戸は大宇宙


"未来からやって来た青いネコ型ロボット "
西浦洋美は手に持った玉にその言葉を書いた。

"タ〇〇プター" "ど〇〇〇ドア"
そんな言葉が浮かんでは消え、玉は静かに光っていた。

(そういえば、あのロボットは机の引き出しの中から出てきたんだ。そしてあの引き出しは"タイ〇〇シン"だったはず)

そう思っていると子供用の学習机が眼の前に現れた。

(しめしめ、この世界は本当に何でも思ったらすぐに出てくるのね)

洋美は早速引き出しを開けて中に入った。
引き出しの中は案の定"タイ〇〇シン"だった。

(うわーっ、嬉しいー‼️どの時代に行こうかしら)

洋美は赤い服の女性のことをすっかり忘れてしまっていた。


『どの時代に行きますか❓️』


声がする方に振り返ると青い水玉模様のスーツを着た、四角い眼鏡をかけたちょび髭の男性が立っていた。。水玉はよく見ると猫の顔になっていた。


『あなたは❓️』


『私は時間旅行の添乗員でございます。』


『あら、3頭身じゃないのね、それに、なかなかイケメンじゃん。ロボットなの❓️』


『3頭身❓️いいえ、ロボットではありません。フォログラムです。』


洋美は男性に触ろうと手を伸ばしたが、すり抜けてしまった。


『あらホントだ』


『ご理解いただけましたか❓️あらためてお尋ねします。どの時代へ行きましょう❓️』


『お父さんとお母さんが出会った頃に行ってプロポーズの瞬間が見たいの』


『承知しました。それでは出発します。シートベルトを締めてください。』


『そんな簡単でいいの❓️』


『はいよろしいです。到着しました。約22年前の世界です。お帰りの際はあなたが入れそうな引き出しや扉に向かって"ゲロゲロ"と言って開けると帰れます。ではごゆっくり。』


『えっもう着いたの❓️それに説明はそれだけ、ゲロゲロって𓆏❓️過去の世界での注意点とかないの❓️ウッカリ人と関わったら歴史がかわってしまうとか』


『過去に行こうが未来に行こうがあなたにとっては"いまここ"に変わりありません。あなたの世界のことですからお好きなように楽しんでください。歴史が変わるならそれはそれで、いいじゃ"あ〜りませんか。"』


『その"あ〜りませんか。"ってなんなのよ❓️』


『気になりますか❓️先にそれがわかる時代へ行ってみますか❓️』


『気になるわね……いやいや、この時代でいいです。』


『それでは存分にお楽しみください。』


『ついてきてくれないの❓️』


『はい、フォログラムですから』


『わかったわ、行ってきまーす』


『いってらっしゃいませ』


サフラン色のドアが現れた。
そのドアを開けて中に入ってみると、どこかで見たような部屋だった。誰もいないようだ。

(なんだウチの社長室じゃないの、相変わらず殺風景ね。ン❓️この場合相変わらずでいいの❓️未来を先に見て過去を後に見た時は……う~ん、頭が痺れてきた。)

部屋の外から話し声が聴こえてきた。だんだん近づいてくる。
(お父さんの声だ、入ってくるわ)
洋美は慌てて机の下に潜り込んだ。

ドアが開く音が聴こえた。

『どうぞ、そこへ座って』

経理担当の藤澤沙織は西浦久蔵社長に声をかけられ少し緊張していた。

『藤澤さん、あなたは入社して何年になりますか❓️』


『13年と4か月になります。』


『もうそんなになりますか、こうしてお話するのはいつ以来でしょう、あなたは全然変わっていませんね。』


『社長、それは私が社員として成長していないとおっしゃりたいのですか❓️』


『社員としてではなく、人間として成長してい…もっとマズイな……そうだ、いつまでもお若いですねと言いたかったんですよ。それに美しい。』

(お父さん、それセクハラじゃないの……22年前はセーフだったのかな…)


『社長、その発言はセクシュアルハラスメントにあたりませんか❓️』

(やっぱりそうだ、お母さん怒っちゃよ、どうするのお父さん)


『言い方がマズかったですね、すみません。言い方を変えます。今、あなたは職場で孤独感というか、疎外感のようなものを感じていませんか❓️』


『しっかりと感じています。』


『やっぱりそうでしたか。以前私も経験したのでわかるんです。その感覚はだんだん大きくなって周りの人が病気になったりしますよ。』


『はい、既に一人具合が悪くなって昨日から休んでいます。私が歳を取らないことが原因なんでしょうね。』


『おっと、先刻ご承知の助ですかい。そいつぁ話が早えや❗️』

そう言って、久蔵は嬉々として鬘を外し、特殊メイクを一つ一つほどいていった。


『お頭、面接ん時から気になってたんだけどさ、なんで爺さんぶってんのさ❓️』

(なに❓️この即席江戸っ子の二人、いきなり、あ・うんの呼吸ってヤツ❓️


『なんでって?そりゃあ、まわりがホッとできるようにってわけよ。
それに、そんな前からご存じだったとはねぇ……なんだか、こっぱずかしいや。』


『ご心配には及びやせんよ。気づいてんのはアタイだけでさァ。  
それにしても、こんなに若ぇとは思わなかったねぇ。しかも、アタイの好みのいい男ときたもんだ。』


『いやぁ、ありがてぇこって。男冥利に尽きるってもんでさ。  
おめえさんも、オイラの好みど真ん中のべっぴんさんで、こりゃもう言うことなしでさぁ。
へっ、好み同士が出くわしたってんなら、いっそ一緒になっちまうのが筋ってもんじゃねぇかい❓️』


(これプロポーズ❓️)


『ちょいと待っておくんなさいな。アタイが歳を取らないって気づいたのは、ほんの最近のことなんだけどね。  
でもね、この部屋であんたと二人きりでこうしてお話してる場面
ずっと昔に、どこかで見た覚えがあるんだよ。』


『ほぉ〜、そいつぁ不思議な話だねぇ。  
して、オイラとおめえさんは、どんな話をこさえてたんでぇ❓️』


『それがね……アタイがおまいさんに言ってたんだよ。  
“アタイを女房にしてみちゃくれませんかい❓️”ってさ。
それなのに、なんだい、先に言っちまうなんて、ずるいじゃないか。  
どうしてくれるんだい、おまいさんのせいでアタイの見せ場がなくなっちまったよ❗️』


(おいおい勢い余って通り過ぎちまったよ)


『おめえさんとこうして話してるこの場面、昔見たってぇなぁ、いつのことでぇ❓️』


『あれはアタイが二十のときに見た夢でねぇ……それからってもんは、時々ふいに、何度も何度も目に浮かぶんでさ。』


『へぇ、そうかい。二十の頃ってぇと、ほとんど変わっちゃいねぇ感じだな、いまでも二十で通っちまうぜ』


『あらそうかい、嬉しいねぇ、アタイとしても、ほとんど変わりゃしないと思ってるんでさ。』


『けどよ、変わらねぇってのは、変わるよりもよっぽど見えづらいもんでね。  
長ぇこと生きて、周りの移り変わりと見比べて、ようやっと気づくって寸法さ。  
“変わり続けることだけが変わらねぇ宇宙の真理”なんて、もっともらしいこと言われちまうと、  
オレたちみてぇに歳を取らねぇ、変わらねぇ者は、まるで矛盾の塊みてぇなもんになっちまう。  
いてはいけねぇ存在ってことになっちまうんでさ。』


『それ、どっかで聞いた覚えがあるんだけどさ……本で読んだんだったかねぇ❓️ 
“変わり続けることだけが……”ってヤツ』


『へぇ、そいつぁ小野ユキ先生の昔の作品に出てきた言葉でさ。オイラ、あの言い回しが大好きなんでさ。  
おめえさんも、小野ユキ先生の本、よく読むのかい❓️』


『社長、余興はこれくらいにして、本題に入りましょう。机が痺れを切らしてますよ』

(しまった❗️気づかれた)


『机が❓️』


『そこは気にしない、それより私の夢を叶えてくださいますか❓️夢で見た通りに』


『もちろん叶えて差し上げましょう。
どうぞ』


『私を妻にしてみませんか❓️』


『してみます。喜んで』


『あらまぁ、机が見張ってるみたいだねぇ。こっから先は、もうちょい静かなとこで話したいもんだよねぇ、おまいさん』


(お母さんカッコいいお父さんありがとう)


洋美はこのいつまでも待つことができる途轍もなく気の長い二人の子供で良かったと、しみじみ思いながら"ゲロゲロ"と言って、隠れていた机の引き出しを開けた。

『お帰りなさいませ。如何でしたか❓️』

『なんだかよくわからない不思議なプロポーズだったわ。
ねぇ"変わり続けることだけが変わらないただ一つの真理"っていうもっともらしい言葉、百年後にもあるの❓️』

『ある百年後も、ない百年後もあります。行ってみますか❓️
ただ一つだなんて笑っちゃいますね。それが真理だとしたら、時間旅行なんて夢のまた夢ですよ。』

『そうなんだ。気になるけど今はやめとく、ありがとう、楽しかったわ。じゃあね👋』

洋美はいつの間にか眠るように…睡った。


               つづく

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